心房細動という不整脈は、一定の確率で脳梗塞（塞栓症）を引き起こす。
それを予防するために、サラサラ薬である、ワーファリンを飲む。
サラサラ度のチェックと、納豆などの制限が無くなる。

心房細動と脳梗塞の関係を知らない人には
某元巨人軍監督、某外国人サッカー監督、
そして急逝された某総理たちを思い出して欲しい。

サラサラ薬を飲んでいたならなー。
長尾クリニックにかかっていてくれたらなー。
モッタイナイ。

もちろん、ワーファリンにも大きな欠点があった。
脳出血のリスク。
しかし、ワーファリンを超える薬が日本でも来週、デビューする。

以下は、医療者向けサマリー。

心房細動の塞栓予防
―新規抗凝固剤ダビダトランへの期待―

関西学院大学　佐藤洋教授

 

【ＪＡＳＴ試験とＣＨＡＤＳ試験】

アスピリン会用と脳塞栓予防効果の検討、

などから出た結論。

 

・心房細動による脳塞栓症予防法研究において

アスピリンの効果は疑問視された。

・抗凝固療法の有用性が強調されてきた。

 

【抗凝固剤の臨床研究のジレンマとは？】

イベントが無い時は　効果が不明

ある時は、　副作用（消化管や脳の出血）が問題となる。

 

【プラザキサの特徴】

・食物（納豆など）の影響がない

・ＰＴのモニタリングが不要

・脳内出血の頻度はわずか

 

【併用薬剤問題】

Ｐ－糖蛋白阻害剤、すなわちベラパミル等投与中の
プラザキサ服用（血中濃度が上昇する）が問題となる。
しかし時間をずらせば問題ない。

３日間のみベラパミル服用前に、２時間以上前に服用する

 

併用禁忌としては、まず抗真菌薬があがる。

 

服用し忘れに気が付いたとき、

できるだけ早く１回量を服用する

次の服用まで６時間以上空ける。

 

【抜歯時の抗凝固剤中止の是非】

抜歯時にワーファリンを中止すると・・・

約５００例での検討では、

約１％に脳塞栓症が起こった（すごい確率）

そして５例中４例が死亡した！（致命的脳梗塞、お―怖）

 

【抜歯時や内視鏡時のワーファリン中止のアンケート調査結果】

循環器の医者の半分が中止する。

しかし脳卒中医は誰も中止しない。

⇒心源性脳塞栓症の本当の恐ろしさ（致命的）を知るか知らないか。

抜歯は押さえて止血できるが、内視鏡は圧迫止血出来ない。

 

現在、小手術時には、ワーファリンは止めない。

大手術時には、止めてへパリンに一時置換する。

 

【プラザキサの腎機能別にみた手術前における中止時期】

普通は手術１日前、腎機能低下者は２日前に中止する。

 

プラザキサは

・残念ながら非弁膜症性心房細動症例のみが適応

・しかし少ない副作用で優れた塞栓予防効果を発揮する。

 
通常は、１５０ｍｇ（７５ｍｇ２錠）を１日２回
腎機能低下者は、１１０ｍｇを１日２回。

７５ｍｇｘ４錠、のコンプライアンス問題が課題。