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相馬が揺れている

2011年03月24日(木)

毎日変わっていく相馬の情報から目が離せない。
避難区域の拡大も謳われるなか、相馬市長は頑張っておられる。
避難か、残留か。究極の選択を迫られている相馬の昨日の様子。
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福島県職員会津保健所の尾形眞一さんの報告を転載します。

 

3月23日(水)本日の相馬市・南相馬市(医療機関を中心に)


 今日はこの震災後で一番長い日に感じました。いろいろなことがめまぐるしく起きて、どう対応したらしばしば迷いました。


 いつものように朝8時から市内の開業医が相馬市保健センターに集まり、打ち合わせ会議を行いました。その席に大分県医療チームの医師1名と理学療法士1名の姿がありました。午後には石川県医師会のJMAT5名のチームと横須賀のDMAT5名のチームも入ってくる予定です。震災直後から避難所巡回を続けてきた地元医師会と上手に連携を取りながら適切な成果があげられるよう打ち合わせを行いました。


 8時半からは、本日から30分早まった公立相馬総合病院の主要幹部が集まる会議に参加しました。その中で熊院長は、地震で被災した外来や旧病棟を何とか来週には稼働させたい意向を述べました。また、薬剤師会から申し入れのあった、剤形の変更についてこの事態なので認めることにしたと説明がありました。また、昨日から話題になっている水の放射性物質汚染について、南相馬は問題であるが、相馬市は大丈夫であると説明がありました。私からは南相馬市の開業医が数名本日戻り、今後の診療等について話し合う予定となっていることを説明しました。


 市内の病院や診療所は相変わらず混雑していました。今日は南相馬市から新たな薬剤師さんが手伝いに来てくれました。南相馬市でひまわり薬局を開設する邨松さんです。震災後、原発の脅威から新潟県へ避難していましたが、恐れることがないとの判断から昨日南相馬市に戻ってきました。本日は、相馬市のニコニコ調剤薬局を手伝ってくれることになりました。


 市内の薬局の状況を確認しようとした時、相馬市長から電話がありました。精神科の患者の対応について相談があるということでした。すぐに、市長室に行きました。市長は、精神科関係の患者が444名も市内にいる事実を放ってはおけず、対応を急がねばならない。同じ処方医薬品を与えているだけでは不十分で、やはりきちんと診察を受けた上で治療する必要がある。とお考えでした。診療所を開設し対応しなければならない状況が近づいて来ている。市内の公的な場所に診療所を開設し、必要な精神科医師を確保しなければならない。と、市長は早速メールで全国に呼びかけました。私は薬剤師確保の指示を受け、市長室を後にしました。県薬剤師会に薬剤師確保や見通し等ついて電話連絡で依頼し ました。


 そんなところに、市議会議員の村松美枝子さんから連絡がはいりました。市内の精神科の患者が、震災の日から一人で飲まず食わずで硬直性痙攣を起こして発見され、医大か仙台へ搬送されたというのです。施設や団体に所属しない患者さんの場合、こうした事態になる可能性はますます増えてくることが予想されます。そこで、相馬市の健康福祉課を訪ね、自立支援医療受給者証(精神通院)を持つ444人の安否確認はどうなっているのか聞きました。もし、放っておいたら、上記のようなことが起こる可能性があることを説明し、今後の対応について検討してもらうことになりました。


 13:00から、相馬市内の開業医さんの本日二度目の打ち合わせが行なわれました。救援医療チームと連携を図るためです。また、その中で南相馬市の目の離せない同行が話されました。市長は市民全員を避難させたい意向だというものです。この時点では、水道やガスも止めて避難との未確認情報が入っており、本日市議会が開かれているともいわれておりました。また、南相馬市の医師3名が南相馬市に戻り、今後の診療活動について話し合うとの情報が流れておりました。午後6:00に今日3回目の打ち合わせを行うこととしました。


 午後は薬局から呼び出しを受けました。市内の老人保健施設が突然、医薬品情報をFAXしてきてこれと同じ医薬品を処方して欲しいというものでした。そんな急に何十枚もの処方を処方箋なしではできない旨伝え断りました。なぜなら老健には医師もおり、この老健は薬剤師も雇用しているからです。しかし、どんな状況になっているのか心配になり、確認のため、相馬市と南相馬市の境目にある当該施設を訪れました。100人が定員の施設が、今回の事故で行く先のない老人等弱者である患者が30名も預けられていたのです。多くは南相馬市内の病院等が避難する際、避難リスクの高い入所者だったようです。ここにも風評被害者おりました。また、そうした方々を抱えて苦悩する施設の職員の姿もあり ました。


 6時に、本日3回目の医師の打ち合わせが保健センター行われました。相馬郡医師会長から、相馬市内開業の医師はそろそろ通常の診療に戻り、市民に安心を与えることが重要だとの考えが披露されました。また、本日の南相馬市の医師の集まりで、開業の医師や勤務医師の雄志が、30km圏外の鹿島区に診療所を立ち上げ、診療を開始することになったと報告した。具体的には、患者が避難し、誰もいなくなった鹿島康生病院を借りて、新たな外来診療所を開設するというものです。12名程度の賛同する医師がいるということで、スタッフ懸命にそろえているところだが、院内で投薬するための薬剤師の確保が急がれるということであった。県薬剤師会へも薬剤師確保のお願いはされているとのことで あった。このことについては、南相馬市に相談されたらしい。しかし、全市民を避難させる方針の市と意見が対立し、市には反対されたということだ。しかし、医師の決意は固く、市長が反対していても解説を強行することになったということで25日午後から診療を開始する。平日は9:00~16:00まで、土日は午前中のみの診療とするらしい。


 このことについて、早速相双保健所に確認したが、保健所に対しては相談がなかったということで、何も情報は入っていなかった。しかし、南相馬市の状況については、情報があり、本日24日に避難について最後の説明を市民対して小学校の学区ごとに実施し、25日9時から順次避難を開始する。これが、市が実施する最後の避難となるということだ。
避難する理由は、物資も入らず医療も提供できない地域では、市民の安全が守れないということらしい。


 しかし、よく考えるとこの行動は大きな誤りを抱えていることがわかる。確かに南相馬市は20km圏の待避区域、20~30kmの屋内待避圏、30km以上の無制限の区域の3つの圏域が存在する。ところが、現実は危険地域として一括処理され、業者も入ってこない危険地域となっている。このことが地域の孤立を招き、生活物資の手に入らない地域となってしまった。それならば、行政機関は、住民を避難させるのではなく、必要な物資の確保に力を注ぐべきではないのか。何ら根拠のない風評で業務を遂行しない業者を説得し、あるいは理解のある業者を選定し、市としての業務を全うして市民生活を確保するのが本来の姿だと考えます。


 25日に避難しなかった市民はどうなるのでしょうか。また、避難した方々どうなるのでしょうか。他県に連れて行き、仕事も収入もない人々はどうやって生計を立てるのでしょう。それは避難ではなく自殺行為ではないですか。継続できない行為はただの無謀な行為です。だれが避難先の責任を持つのでしょうか。避難を促した方々に責任を取ってもらいましょう。


 明日、いや今日24日大きな変化を見せる南相馬市。是非マスコミ各社はカメラを持って入り、事実を報道していただきたいと思います。昨日もどのメディアも南相馬市の現状を正しく伝えてはいない。現地に入っていない。あれだけ汚染を語っておきながら、取材しないで資料で報道するのみですか。どうしてですか。説明してください。腰抜けですか。チキンハートですか。そんなはずはありません。きっとすばらしいジャーナリストはいるはずです。これから起きる、すでに起きている誤った判断による人災をきちんと映像をつけて報道してください。また、何万人かが被害者になろうとしているのです。
お願いします。


 最後に、立谷市長からの依頼の精神科医の派遣をよろしくご検討願います。

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