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重症熱傷の全身管理

2011年03月25日(金)

今回の震災は、重症熱傷に似ている。こんな言い方は不謹慎かもしれないが・・・
そこに原発という難治性感染が加わって、創傷治癒を深刻化させている。
残念なことに全身管理ができる総合医もいないし総合診療の志向も無い。
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重症熱傷の全身管理

 

今回の東日本大震災を、毎日、テレビやネットで眺めています。

震災と津波と原発の3つに分けて考えるようにしています。

もちろん問題を一番深刻化しているのは、「原発」問題です。

 

今回の震災は、病気に例えると突然の予期せぬ「重症熱傷」です。

阪神大震災は、片足の甲に、深い熱傷を負ったとすれば、

今回の震災は、片足全体に、深い熱傷に加えて多剤耐性菌感染を合併した。

 

軽い熱傷なら、局所の自然治癒力で自然治癒しますが、

重症熱傷は、上手く全身管理しないと、個体が死に至っていまいます。

今回の震災も、津波と原発への対応ひとつで、国の命運を左右します。

 

現在、多剤耐性菌感性の扱いに、日々もがき苦しんでいます。

消毒やデブリで様子をみるのか、抗生剤のみで押すのか。

感染が長期・重症化すると、全身の循環動態にも大きな影響が及びます。

 

避難は、植皮に相当するのでしょうか。

疎開は、壊死物質処置(デブリ)でしょうか。

広範囲に及ぶ長期避難勧告は、切断(アンプタ)でしょうか。

 

支援物資による創傷治癒促進は、栄養療法に似ています。

網の目のように車で配るのが、毛細血管への点滴ならば

ヘリで物資を投下するのは、複数ケ所への局所注射でしょうか。

 

感染症の専門家、栄養療法の専門家、植皮の専門家、

外科医、病院管理者たちが集まって日夜、治療方針を検討しています。

しかし残念ながらそこには総合医は居らず、なかなか結論が出ません。

 

長い会議をしているうちに、少し全身状態は悪化してきました。

脈拍が上がり、血圧が下がってきました。

そろそろ、ドーパミン製剤が必要かもしれません。

 

誰も決定的な名案が浮かびませんが、まだ少し余裕があります。

傷が治るまでかなりの月日がかかり、大きな傷痕が残るでしょう。

まあ患者本人は「仕方が無い」と、潔く諦めています。

 

受傷後2週間が経過しました。

傷をよく観察すると、傷の下から

新しい皮膚が少しですが芽を出そうとしています。

 

その芽を摘むのか、そのまま見守るかで、

病院管理者と外科医の意見が分かれています。

しかし決定的な発言をする医師はいません。

 

家族(国民)は、専門医たちをあまり信用できなくなってきました。

しかし、鍵はまだ専門医たちが握っているので、正面切って逆らえません。

そもそも大怪我をしたのは「事故」でしたから、仕方がない部分もあります。

 

足は傷と感染に冒されていますが、腕や腹などはまだ冒されていません。

血液やリンパ液は、片足では滞っているものの、全身をなんとか循環しています。

全身状態が悪化しないうちに主治医(管理者)は治療方針を家族に説明すべきです。

 

仲間たち(世界各国)から多くのお見舞いの手紙が届いています。

患者さんの静かな忍耐強さに、仲間たちは驚嘆しています。

また傷を丹念に処置する看護師たちにも大きな賞賛が送られています。

 

振り返ると、この患者さんは何十年に1度、大怪我を負ってきました。

しかし、奇跡的に死なずに、驚異的な早さで元気な体に回復してきました。

どうやらこの患者さんには、強い守護霊がついているようです。

 
以上が、私の頭の中です。

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