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4月5、6、7日の南相馬

2011年04月08日(金)

南相馬市の尾形さんの日記から引用します。
やはり強いリーダシープによる前方支援と後方支援の両方が必要です。
また、押しかけ自己満足型の医療チームは迷惑とのこと。やっぱり・・・
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 4月5日(火)本日の相馬市・南相馬市(医療機関を中心に)

 

 本日は、朝早起きをして飯舘村に行きました。岩澤氏の取材のお手伝いもありましたが、自分自身、放射性物質が県内で一番高濃度である理由を目で見て考えたかったからです。


 いつもの季節ですと、この時期から飯舘村のある阿武隈山系は霧の発生が多く見られるのです。私は、毎週月曜の朝5時頃、単身赴任先の会津若松市まで車で行っており、この霧にはよく出会っておりました。この日は、朝の気温がマイナス3℃位まで下がったため、霧の発生はありませんでした。飯舘村役場は、草野地区と飯豊地区のちょうど真ん中にあり、特別養護老人ホームの飯舘ホームや飯舘中学校が隣接しています。村に2件あった国保診療所が、一つに統合されて中学校の隣の敷地に開設されていました。飯舘ホームの入所者は南相馬市や川俣町の病院の他は、この診療所がかかりつけとなっているとのことで、震災後特に不自由なことはないとホームの職員が話してくれました。飯豊地区から 南東へ行くと長泥地区があります。ここは浪江町津島と隣接する阿武隈山系の地域です。そこの高台に立ち、GPSで原発の方向を確かめながらしばらく様子を見ていると、6時半を過ぎたあたりから、原発方向から風が静かに吹いてきました。ちょうど、山脈の尾根伝いに吹いてくるように思えました。風は、飯舘村を抜けて福島市の方向へ向かっていると考えられました。更に東に行くと蕨平地区があります。ここは、南相馬市の高倉ダムの西側に当たります。ここでは特に風の方角等を感じることはできませんでした。さらに県道原町川俣線の飯舘村と南相馬市の境界の矢木沢峠にいってみました。ここは東からやや強い風を感じることができました。7時30頃です。その後、飯舘村役場に戻ると8時に村の職員 が役場駐車場で、放射線濃度を測定していました。定期的に測定してるということで記録用紙は一覧表になっていました。他の機関やIAEAがどこでいつ測定しているのかは不明だと言っておりました。


 午前中、昨日から外来診療が始まった南相馬市の4つの病院を訪ねました。南相馬市立病院は、この日から薬剤師会のFAXコーナーも稼働しており、院外処方を希望する患者に対して、調剤を行っている薬局へFAXで処方箋を流し調剤準備を促していました。南相馬市原町区で7件、鹿島区で3件の薬局が調剤可能となっていました。昨日の患者数は約200名ということでした。次に大町病院へ行きましたが、混雑していたので中には入らずに外から様子だけ確認しました。全て院外処方ということでしたので、近隣の梅田薬局は患者で溢れ、もう一つの大町調剤薬局も混雑していました。小野田病院は、さほどの混雑はなかったように思えました。薬局で峰薬剤師に話をききました。昨日は約150名、全て 院内で1週間投与。実は、この病院はこの薬剤師1名しかおらず、大変な状況となっていました。最後に、渡辺病院に行きました。薬局長と話をすることができました。昨日は150名程度。院内、院外7対3位。薬剤部は職員もそろっており、特に支障はないということでした。


 午後からは、公立相馬総合病院の精神科外来に付いて、医薬品の相談や持参薬調べ、処方薬の在庫状況の調査等を行いました。患者さんとお話をすると、どんなに医師を待ちこがれていたかがよくわかりました。もう少しで、患者さん達は爆発寸前という感じでいたようです。決まって口にされた言葉は、いつまで診てもらえるかということでした。早く、主治医が戻ってきて、医療機関を再開することが重要なことであると改めて感じました。しかし、原発から20km以内双葉病院や双葉厚生病院、赤坂病院は再開は不可能だと思われます。20km~30kmの南相馬市の雲雀ヶ丘病院と二つのクリニックの早急な再開が望まれます。

 

尾形眞一

 

 4月6日(水)本日の相馬市・南相馬市(医療機関を中心に)


 本日は、相馬市内ごたごたに1日を費やすことになりました。あまりにも子どもっぽい情けない内容なので、詳述は避けます。一人のそうした医師の偽りの言葉によって、市内の全ての医師の名誉と信用が崩れようとしていました。震災後、ずっと地域の医療を支えてきた早川医師にこの相談を受け、調整を図りましたが、結果的には更に早川医師にご負担とご迷惑をお願いする結果となりました。しかし、誰のための医療なのかと問われれば、患者のための医療という当たり前の回答を言えない医師が存在する限り、こうした問題はどこにでもあり得ると思われます。早川医師には、人間として、医師として、男として譲れない信念があります。また、その善意に頼ることは心苦しいのですがその選択しか 思い当たりませんでした。漠然とした内容で申し訳ありません。


 もうひとつ、問題がありました。医療チームのごたごたです。あとから、入り込んできたチームがここまでの経過も何も知らずに、せっかくのチームワークをぶちこわした実例です。こないで欲しかったという意見があちらこちらでささやかれました。どこの世界でも押し売りは迷惑なものです。


 午後は、昨日と同様に公立相馬総合病院の精神科外来に付きました。


 夜になり、政府が20km~30kmを避難指示に格上げする準備をしているという情報が入り、大あわてとなりました。相馬市長もそのようなニュアンスの話をしており、何かが動いていると思われました。18時からは相双保健所で管内病院を集めて、今後の見通しの打ち合わせが行われていました。私は、そちらは無視して、前者の対応を考えておりました。初めて、上先生と直接電話でお話をさせていただきました。ニュースジャパンの岩澤Dの協力のもと7日のオンエアーでその避難指示の持つ意味と危険性について主張することができそうなところまでこぎつけました。


 夜、会津若松の私の公舎へ震災後初めてそっと戻りました。中はがちゃがちゃでしたが狭いところなので30分くらで片付けることができました。壊れた物はありましたが、たいした被害もなく、ゴミを出して早朝相馬へ戻りました。夜の会津若松市は何事も無かったかのようにいつもの夜で、繁華街も日常でした。同じ福島県なのに、津波も原発もここは関係ないのだと感じました。

 

尾形眞一

 

 4月7日(木)本日の相馬市・南相馬市(医療機関を中心に)


 昨日の保健所での打ち合わせの結果を、保健所の担当課長から電話で伺いました。県としては、病院の再開や入院の受け入れは、30kmの外にある鹿島厚生病院を含めて、認められないというスタンスを示したということでした。譲歩案として10床程度を認めるというものも示されたようでしたが、何もまとまらず終了したということでした。この会議に参加した、相馬市保健センターの所長にも話をききました。入院患者の避難を指示した県や国に対する不満の声や保証を求める声が大半だった聞きました。立谷相馬市長は、病院の再開を強く望んでおり、それがこの地域の復興に不可欠だと考えています。厚生労働省や県の医療看護課に強く働きかけをして、午前中が終わってしまったと話しており ました。


 午後からは、昨日同様に精神科外来に付きました。


 その後は、薬剤師探しとなりました。南相馬市の病院、薬局が次々と再開してきており、相馬市から去った薬剤師の補充にヘルプの依頼ができない状況となり、薬剤師不足が深刻となってきております。すでに、震災後1か月を迎えようとしており、各薬局は新たな雇用を確保する必要に迫られています。しかし、現状では、原発問題の見通しが全くたたないため、去る者はいても来る者いない状態です。特に厳しいのは、相馬中央病院の門前薬局であるニコニコ調剤薬局で、薬剤師が経営者である金澤氏1名だけである。この問題は、南相馬市の薬局も同じで、病院や診療所が正常化したとき、大きな問題となるに違いないのです。


 原発から20km~30kmが避難指示になるという問題は、これまでの地域の復興に向けての努力を全てひっくり返す大問題となっています。原発20km以内の双葉郡には約7万人が住んでおり、ほとんどの住民が避難しています。県内外の避難所に分散し、多くの方々の支えによって一月が経過しようとしています。ここに、南相馬市が加われば更に7万人となります。実際はすでに5万人近くが自主避難していると言われていますが、ここに来て多くの住民が戻り続けています。自主避難は全てが自分持ちということ。そんなに経済的に余裕のある家庭があるはずがなく、学校や仕事のために戻っているのです。政府は累積被爆とか説明しているようですが、その根拠の曖昧さが悲劇を生みそうです 。累積被爆を言うと、県内で最も多いのは飯舘村、次が福島市です。南相馬市は郡山市の次くらいあたります。もし、それを根拠にするならば、福島市32万人、郡山市37万人を避難させることも必要となり、福島県が壊滅状態となります。本当の危険性はどこにあるのか、一月もたつのに、何ら明確な説明が無いのはなぜなのか。誰でも疑問に思うのは当たり前だとどうして政府は思わないのか。どこまで国民を愚弄するのか。本当に、こんな政府ならいらないと思ってしまいます。通常、オフサイトセンターでは、放射性物質ごとのレベルをモニターしておりました。そのデータとの比較がないのはなぜなのか。そろそろ本当のことを開示してもらいたいのです。この地域だけ、あの日から何も進んでいないの です。住民の希望が絶望に変わったら、地域は消滅してしまいます。そんなことがあっては決してならないと思うのです。


 それから仮設住宅を急いでもらいたいです。避難所生活は、リスクが多すぎます。死人が出ても不思議じゃない。なぜ、国土交通省にしか設営が認められないのでしょうか。しってますか。仮設の値段。1戸、500万円です。2年つまり24ヶ月しか使わないのに。家賃20万を超える計算です。地元の大工ならその半額以下で準備できるでしょう。仮設としなければ、アパートにもなれるのに、何か変です。土地は県や市町村なのに。


 だれか説明してください。お願いします。

 

尾形眞一

 

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