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4月13、14日の南相馬

2011年04月16日(土)

南相馬の尾形さんの日記から転載させて頂きます。
南相馬の直接支援を呼び掛ける文章をMRICに投稿したばかり。
やはり「避難」生活が厳しくなり、「一時疎開」も真剣に視野に入れるべきかなと思います。
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 4月13、14日(水、木)本日の相馬市・南相馬市(医療機関を中心に)

 

4月13日(水)


  本日以降は、相馬市及び南相馬市の活動は土日のみ(平日は本来の職場の会津若松保 健所勤務)となる予定です。どうしても気がかりは、精神科医療の今後です。この地は 元々双葉地域(現状では第一原発20km以内)に約500床、20~30km地域の 南相馬市に約350床を計4つの病院でカバーしてきました。双葉地区の復活は絶望で、 南相馬の1つの小高赤坂病院も20km以内となっており、本日廃院の報があったと聞いています。残りは、南相馬市の雲雀ヶ丘病院の245床なのですが、県立医大からの 医師の派遣打ち切りの話があったと本日相双保健所で聞きました。院長は入院中で残る1名も医師も高齢であるため、原発の規制が解除になっても再開はかなり難しいのかと思われます。南相馬市内の2つのクリニックは今週から1件、来週から更に1件が再開と聞いていますが、門前の薬局が再開しないために患者は薬を求めてさまようはめに陥っていると聞きました。こんな時に業務の再開をしない薬局は、医療の担い手としての 義務を放棄していると思われます。


  公立相馬総合病院での臨時の精神科外来が、どこまで継続できるのか、入院が必要な場合の対応をどうするのか、早急に地域の医療機関と行政で対応策を考える必要があると考えます。この件について、本日相双保健所の所長と精神担当部長並びに主幹、担当に相談してきました。その必要性の認識は共通にできたと思われます。


  午後は32kmの鹿島厚生病院の事務長さんお会いしました。外来は、今週から内科と外科で再開したそうですが、国の意向で入院は置いてはいけないと指導されたそうです。見なし30kmとか。本当にそんな指導があるのでしょうか。ここの80床と老健100床は重要な医療資源です。相馬市内の2つの病院の病床はいっぱいで限界です。 在宅でのケアも不十分であるため、そろそろ限界の患者さん増えてきてます。家族が働けません。本来、特老や老健で対応しなければならないご老人が在宅で放置されています。介護と医療の仕組みを元にもどさないと、多くの二次災害の犠牲が出ることになります。


  南相馬市立病院の金澤院長と及川副院長、小野田病院の台野事務長とも話しました。 早く、病床を再開しないと患者も上記のとおり困るが、施設も側も再起が難しくなると共通の訴えがありました。経営的に成り立たなくなれば、その再起は遠のきます。一度、解雇した医療系のスタッフを地方で集めるのは大変難しくなるのは容易に想像できます。更に、原発の影響でその困難さは更に大きなものになっています。

  原発の影響を過大に評価しすぎると、取り返しのつかない社会の崩壊になります。政府に責任が取れるとは思えません。いや、取ろうとさえしないと思われる材料が多すぎます。再生は、地域の住民に希望と意欲がなければ決してできないと思います。


  正確な、放射性物質のモニタリングとリアルタイムでの公表ににより、20kmから 外側の通常の生活は可能なのではないかと思えてしかたがないのです。これ以上の国費の無駄遣いをしないためにも冷静で正確な分析による情報の公表をお願いしたい。なぜ、 常の原発周辺のモニタリング情報が公表されないのか、政府に説明していただきたい。 南相馬市の7万人が、平常を取り戻すことが、その後の長い双葉地域の復興に繋がるのだと信じています。

 

尾形 眞一

 

4月14日(木)


  昨夜会津若松市に戻り、本日は通常勤務を予定していましたが、明け方南相馬市の叔父(母の義兄)から叔母(母の実姉)の急死の知らせがあり急遽、南相馬市に戻りました。心筋梗塞だそうです。実は、叔父の長男が昨年秋亡くなっており、今回の原発では 20~30kmに入っているため当初、孫達と猪苗代町へ避難していたのです。しかし、なれない雪国暮らしに耐えられず、老夫婦のみ南相馬市に戻っておりました。そこにこの不幸です。叔父の狼狽ぶりは目に浮かび、早朝に戻りました。様々な手続き等、お手伝いして明日以降の密葬の段取りが決まりました。


  このような事例が、これから多く発生するのではないかと想像していた矢先の出来事でした。いろいろな方々がら聞いていたとおり、避難生活は想像以上に過酷なもので、それが長引けば大きなダメージとなって人々にのしかかるのだと心から思いました。


 やはり、避難は最小限にすることを一番に考えなくてはならない問題なのだと。


  午後に、相馬市で福島県薬剤師会の桜井会長、町野副会長、相馬郡薬剤師会の佐藤理事に偶然お会いしました。会長は、今話題の川俣町で大変苦労して原発難民の受け入れをしていたということでしたが、今回の計画的避難区域の設定で、大変なことになっていると話しておられました。どこに避難するのか、避難が可能なのか。多くの人々の生活はどうなるのか。本当に危険ななのか。正確な科学的な分析や証明による物なのか。 政府にそれらの設定の代償を保証する能力があるのか。


  農業の問題も大きくなっています。経済の構造がガタガタになっていくのが見えてきました。併せて風評被害です。


  福島県は、どうなってしまうのか。様々な問題を体系的にとらえ、どう対処するのか、できるのか、あまりに時間がないし、人もいない。公務員が足りなすぎます。


  ひとつだけ明るい話題もありました。細田先生からのお取りはからいで、アメリカのブルックラインの小学校が相馬市の小学校を手紙や募金を通じて応援してくれるという交流が持てそうなことです。この子達が大人になって、この国や世界を力強く支えてくれるようになれるよう、私達は今やらなければならないことをひとつひとつ懸命にやっていくことが義務であると思います。

 

尾形 眞一




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