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梅棹忠夫の未刊の書「人類の未来」
科学とは人間の「業(ごう)」。「理性対叡智」に見える「光明」。
2011年06月05日(日)
文明学者、梅棹忠夫氏は、人類の未来をどう考え、予見していたのか。
彼は、40年前の大変悲観的な見方をしていた。
しかし、「光明」という言葉でしめくくられている。
1920年、京都に生まれる。京都大学に学ぶ。
モンゴルなどでフィールドワークを行った。
自分の足で見て、自分の頭で考えた。
世界50ケ国を巡って寝起きを共にした。
そして比較文明学を確立。
1960年代後半から、人類の将来について語るようになる。
迫り来る人類の未来を考えるため
小松左京氏らとともに日本未来学会」を設立。
知的探究心は、どの民族にも共通した「業」。
梅棹が書きあげられなかった未刊の書「人類の未来」の
目次には、以下の言葉が並ぶ。
・文明との競争
・秩序の崩壊
・破滅の将来・・・
梅棹は、人類の破滅は避けられないと見ていたのか。
書けなかったのは、宗教と誤解されるからか。
彼は、40年前に、今日を正確に予見していた。
文明は、自分の存在の基礎を否定する。
自らの基盤を破壊し、墓穴を掘る方向にしか進まない。
・大流行病時代の到来。
・航空機の発達。
・これは、エイズやサーズの予知。
「変なことが一杯起こりまっせ!」
といつも言っていた。
資源の枯渇も予知していた。
原子力発電の危険性についても予測していた。
原子力は安全だという学者に当時から警告を発していた。
いくら手を尽くしても、予想できないことが起こる。
すると「想定外」という言葉を使て、逃げようとする。
本来、人間の存在こそが、「想定外」なのだ。
便利であることは、「想定外」の裏返し。
文明によって自ら墓穴を掘る運命にあるのが、人間。
科学の本質とは何か。
科学は人間の「業」だ。
科学をすべて消し去っても、きっと同じことをするだろう。
すなわち、これを「業」と言う。
性欲と同じで、普通の人間はコントロールできない。
人類は共通して「科学」という「業」を持つので、人類は暗黒に向かう。
どうすればいいのか。
「業」であることを自覚することしか方法は無い。
今までと違う考え方をするしか方法は無い。
物事を決して一面だけで捕えないのが、梅棹氏の特徴だった。
第二次世界大戦直後、梅棹氏は、日本の繁栄を確信したという。
文明は、物ではない。心で表現するもの。
山折哲夫氏の言葉
「今回、自然が自然を破壊した」
「天然の無常」
「無常の3原則」
被災者の表情の裏にあるのが「無常」。
西ヨーロッパは、地震が無いから自然の研究が発達した。
日本では、危機管理思想が発達した。
今、「自らの欲望への対峙」が要求されている。
梅棹の未刊の書のエピローグにある言葉。
「理性 対 叡智」
「左脳型 対 右脳型」
右脳とは、ひらめき、夢。
暗黒を抜け出すために、「光明」としての「叡智」が日本にはある。
一方、西洋文明には「ノアの箱舟」がある。
犠牲の物語の前に、生き残りがある。
アングロサクソン文明の根底は、「生き残り」思想だ。
「進化論」も同じ。
それが戦後日本にも沁みついてしまった。
法華経の比喩品の中。
三車火宅の物語。
仏教には、全員を助ける。
生き残りの思想は、そこには無い。
日本人の思想には、2重構造がある。
西洋思想(生き残り)と、仏教思想(三車火宅)の思想の融合が、
現在の日本だ。
自然に対して攻撃的に振る舞わないこと。
受容的に振る舞う。
光が射すとすれば、三車火宅の中にある。
一般市民のボランテイアに見る「光明」。
「アマチュア思想家宣言」という小文も発表している。
カメラと同じように、「思想」をもっと気軽に使おう。
「思想」は、アマチュアのためにある。
文明とは、制度と装置。
一旦できれば、ほころびを「制度」が自分自身では治せない。
アマチュアこそが、「光明」である。
「制度」を変えることができる。
現代人は、まだ破局まで行っていない。
舵を切り直すのは今かもしれない。
歴史は、私たち自身が作るもの。
「私たち自身が歴史」である。
原子力発電ビジネスも同様だ。
節電による東京の「闇」こそが、「光明」なのかもしれない。
逆説的だが、この「闇」こそが「光明」に違いない。
節電こそが「光明」の始まりなのか
余談だが、大昔(24年前)
梅棹先生にお会いし会話したことがある。
正確にいえば、医師として接したことがある。
しかしその時は、先生の偉大さが分からなかった。
仕方が無いが勿体無い。
しかしこの世で梅棹氏と会っているという幸運に感謝している。
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この記事へのコメント
人生は 出逢い です !!
出逢い が 人生 です ♪ ♪
“ 感 謝 ” “ 感 謝 ” 。。。
Posted by アマップ きむたくふぁん at 2011年06月06日 08:00 | 返信
もう3カ月になろうとしているのに、まだ先が見通せない・・・。日にちばかりが過ぎていくにつれ、ほとんどの日本人は、いつまでも原発を続けるわけにはいかないと思っていると思います。
以前は何となく、原発に賛成する人(反対しない人)は保守、反対する人は革新系と思っていましたが、そんな単純な様相ではなくなってきました。以前は鋭く優れた論客であると感じていた保守系の人が、原発を擁護する論旨を述べても説得力がないように感じられます。その根拠は、せいぜい経済の問題でしかないからです。(例えば5月24日の産経新聞にJR東海会長の葛西敬之氏の主張が掲載されていました。)それに対して、Will7月号の西尾幹二氏の“脱原発こそ国家永続の道”(タイトルは編集者がつけたのでしょうが)は説得力があると思いました。
Posted by ゴン太 at 2011年06月07日 12:02 | 返信
想定外に備えるという事が言われています。
下記はそれに関しての私のショートエッセイです。
**********************************
我々が想定外に対して備えるという場合の今のスタンスは、「自然(人間も言わずもがな自然に含まれる)の脅威に対抗する」というスタンスそのものではないだろうか。
一方、例えば「花粉症は清潔社会の副作用」であるとの仮説もあるように、人間が自然から遠ざかれば遠ざかるほど、人間が自然のしっぺ返しを受けるという身近な話もある。
ひ弱に出来た人間は、二足歩行で発達してきた手と頭脳で身の回りのものを操ること(科学と技術)で自らを守ってきたのは紛れもない事実ではある。
しかし、現在、原発も含めエネルギーや環境問題で人類の先行きが危ぶまれるようになってきたのは、科学と技術に頼ることで「自然に対する鎧(よろい)」を築いてきた人間の態度そのものが生んだ結果ではないのだろうか。
むしろ我々に今必要なのは、「自然に対する鎧」を脱ぎ去り、「自然の声」を聞くことのような気がする。
「想定外に備える」という態度は「地球にやさしく」という態度と同様に、少しばかり人間の思い上がりではないかと思う。
Posted by RICHさん at 2011年06月07日 11:38 | 返信
安全を気高く謳いし原子炉が 煙を上げて警鐘ならす
復興の足を引き合う政治家は 利権をあさり原子炉護る との認識で
復興を成し遂げ築くひのもとの 叡智集めて希望の明日へ との願いを込めて
NHK放送番組を整理されたのでしょうか,感謝を込めてお見事です!
安全神話の毒性に犯され負の連鎖を断ち切れなかった要因にNHKの報道姿勢も在ったと思っていました中での,Eテレの片隅ででもあのような番組は大切だと思いました。
Posted by 天津 正剛 at 2011年06月09日 06:34 | 返信
はじめまして。酒田市の池田と申します。私も、NHKの番組を見た1人です。ダーウィンの”種の起源”によると「この世に生き残る生物は、最も強いものではなく、最も知性の高いものでもなく、最も変化に対応できるものである」とあります。問題なのは、その為に、人間はどの様に変化に対応していくべきかであると考えます。(1)変化すべきことは何か!(2)変えてはいけないものは何か! このことを真剣に考えるべきでしょう。私なりの考えは、生命を根源とする仏教哲学と科学の根源である数学的哲学の融合が大切であると考えます。そしてそのことを誰にでも理解しやすく比喩を使って説明することが大切と考えます。たしか法華経でもたくさんの比喩を使っていますよね。低学年には低学年の教科書、中学生には中学生の、高等学校には高等学校の教科書があるように。これからの進化に必要なことは、宗教と科学は表裏一体で、相反する思想ではない。数学の空集合や無限大の例は仏教哲学と非常になじみやすい。いかがでしょうか?
IT関係会社役員(池田勝)
Posted by 池田 勝 at 2011年06月20日 02:01 | 返信
貴殿のコメントを読んで、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」を思い出しました。
これから、日本人は、「光明」への道に歩みだせるのでしょうか?
それとも、「知性」により、滅びの道を歩むことになるのでしょうか?
官僚や政治に期待はしていませんが、本田や井深・幸之助の居ない現在の産業界にも期待できない。
「カメラ」の様に私にも、「光明」への道を切り開くことが出来るのか?
Posted by 大塚武昭 at 2012年01月02日 05:20 | 返信
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