このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

医療・介護同時改訂を3年毎に!

2011年07月26日(火)

いろんな医療系、介護系雑誌、新聞などに連載させて頂いている。
中でも日本医事新報は、医療界では歴史のあるメジャーな雑誌だ。
今日発売の日本医事新報に掲載されている拙文を、転載させて頂く。
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 

医療・介護同時改訂を3年間に!

 

札幌での2つの学会

先日、札幌で続けて開催された2つの学会に参加した。630日~71日の第19回日本慢性期医療学会と723日の第2回日本プライマリケア学会連合学会だ。超高齢化社会を支えるのは、良質な慢性期医療が中心となる。そんなスローガンのもと、日医の原中会長、全日病の西澤会長、梅村参議員議員、厚労省幹部らが札幌に集結した。メインシンポジウムにおいて、慢性期医療の充実、地域包括ケアの方向性などが確認された。

一方、日本プライマリケア学会連合学会の大会長は、弱冠37歳の草場氏だった。彼は会長講演で「プライマリケア専門医のアイデンテイ-確立を!」と宣言された。記念すべき講演だった。専門医制度を統括する慶應大学の池田康夫氏は「プライマリケア学会専門医」に寄せる期待を述べた。東京都医師会の野中博会長は「患者に一番必要なものは、資格より患者に寄りそう心ではないか」と「午後から在宅組」の真髄を述べられた。これほどまでに熱い在宅マインドを有する医師が東京都の医師会長に就任された意義はきわめて大きい、と感した。パネラーに日本尊厳死協会副理事長が市民代表として加わり、豪華メンバーによるフラットな議論が展開された。

今後の日本にとって、この2つの学会は益々重要になると感じた。「慢性期医療の充実」と「プライマリケアの推進」。どちらも約20年前から叫ばれて来た言葉だが、もはや待った無しの段階に来ている。この2つの概念を車の両輪として、医療政策を整えるのはこの夏が期限なのだろうか。

 

同時改訂は3年毎がいい

 来春は医療・介護同時改訂が行われる予定だ。医療は2年毎、介護保険は3年毎に改訂される。従って同時改訂は6年に1回巡ってくる。計算上2025年までにあと3回の同時改訂が予定されている。某厚労省幹部は、この3回を「ホップ、ステップ。ジャンプ」と位置づけて改訂すると発言された。来年は「ホップ」であるそうだ。しかし、そもそもこの2年と3年にどれほどの意味があるだろうか。医療の2年は短すぎる。新しい仕組みにやっと慣れたと思ったら、もう次の改訂だ。喜ぶのはレセコン会社だけ。医療と介護の整合性確保のためにも、医療も3年毎とし、毎回、医療・介護同時改訂にしてはどうだろうか。梅村聡議員の慢性期医療学会でのこの発言が、さっそくメデイアに流れた。

 末端開業医としては、大変有り難い話である。しかも現在、医療と介護の整合性において様々な問題が存在する。例えば、訪問看護や訪問リハビリは時として医療保険になったり介護保険になったりする。医療保険では3割負担になったり、身体障害者2級を持っていれば自己負担が安くなったりするので、現場の医師やケアマネは日々苦心している。あるいは、介護3施設に外部から在宅医を要請された時にも困る。在宅の外づけが可能なのは、「特養での末期癌」のみである。3施設の区分、療養病床の在り方も多くの議論の余地がある。超高齢化社会に対応できる仕組みに変えて欲しい。あるいは、国民が納得できる、国民に説明可能な制度にして欲しい。そのためにも、同時改訂は3年間となることを願う。

 

規則の簡素化、制度の整合性確保を

 診療所も病院も、保険診療のルールが細かすぎて覚えられないのではないだろうか。一生懸命勉強しているつもりだが、患者さんに説明できる程度にして欲しい。例えば、特定薬剤処方管理料の長期加算の時などは、前回受診の時の、加算を取り消してから長期加算を算定する。すなわち、今日の行為が、過去の行為をも修正させる、という大変複雑な操作を要求される。これに代表されるように、到底患者さんに説明できないような複雑な保険のルールが存在する。改訂の度に、規則がパッチワークのように修正された結果であろう。また、○○加算というものが多すぎる。明細書を見せても患者さんに上手く説明できない。さらに、DPC病院に入院中の患者さんへの診療所での投薬についても、実際には運用しにくい規則になっている。同じ地域にDPC病院と、出来高診療所が混在すると、無用な混乱が生じるのは必然であろう。

また在宅医療において「連携」を評価して頂くのは有り難いが、実際には算定しにくい項目が多いのではないか。外来のみならず在宅医療のルールも年々複雑化する一方だ。「多職種連携」が謳われる一方、複雑化する「仕組み」、「規則」について行けない開業医も多いのではないか。2000年以前、つまり介護保険制度以前の、のどかな在宅医療の時代を懐かしがる開業医も多い。

「慢性期医療の充実」と「プライマリケアの推進」を考えると、「保険診療規則の簡素化」と「医療・介護の整合性確保」が急務ではないか。そのためにも同時改訂は3年間に行うべきだろう。さらに整合性の修正は、毎年行ってもいいのではないか。ススキノを彷徨いながら、そう感じた。

 

2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ