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生活習慣病シリーズ第６回　　お薬より、食事と運動

　肥満なら、痩せれば全てが解決する！

　健康診断や人間ドックで異常値を指摘された方が毎日、来院されます。「血圧が高いです」「コレステロールが高いです」「糖尿病です」・・・。多くの方は「お薬をください」と言われます。しかし、お薬を飲んで問題が本当に解決するのでしょうか？また、大きな病院では、内科の中でも細かな診療科に分かれています。糖尿病科、内分泌科、循環器科などの各科にかかっておられる方も。それ以外にも、整形外科、耳鼻科、眼科でお薬をもらい、全部合わせたら、２０種類以上という方もおられます。「医者の数だけ薬が増える」とは、私が勝手に作った諺です（笑）。

　さて「肥満を指摘されたので受診しました」という人はあまりいません。｢肥満｣は病気と認識されていないのでしょうか？ＢＭＩという肥満の指標があります。ＢＭＩの正常値は２２です。さて、肥満があって、生活習慣病がある方の治療は、実に「簡単！」です。痩せればいいのです。それが難しいのですが・・・。

　大昔、阪大病院の研修医だった時、松澤祐次先生（現在、住友病院院長、大阪大学名誉教授）のご指導ものと｢肥満入院｣という患者さんの主治医になりました。体重が１００ｋｇ前後の人が入院され、様々な検査・治療を行います。当時は、肥満はまだ病気として充分に認識されていない時代。しかしこれらの研究から「メタボ」の概念が生まれました。さて入院するとカロリー制限（ＣＲ）と自転車こぎの運動を行います。最初は１４００Ｋｃａｌ位から始まり、１０００、８００、６００Ｋｃａｌと階段状に下げていきます。超低カロリー食によるダイエット。みるみるうちに１０ｋｇ位痩せていきます。そして８％台だったＨｂＡ1ｃが見事に正常化しました。同様にコレステロール値も尿酸値も血圧も目に見えて下がりました。「痩せるって凄いんだ！生活習慣病が全部消えて無くなる！」と感心したことを鮮明に覚えています。そう、肥満で生活習慣病がある方は、痩せることですべてが解決するのです。ただ退院後のリバウンドもありました。それで２度、３度と教育入院を繰り返す人もいましたが。肥満入院での経験は私の中で大きな収穫でした。肥満があるのに沢山のお薬を飲んだりインスリンを注射するのは邪道です。本道は痩せること！でもすぐに痩せられないので、つなぎとして仕方なく薬を使っていると解釈すべきです。　
　
　ところで、どうやって痩せるか？皆さんそこが一番気になるところです。本屋さんに行けば、様々なダイエット本が並び秘伝の痩身術が書かれています。現在、保険診療できるのは、「防風通聖散」のみ。この漢方薬は本来は便秘のお薬ですが内臓脂肪を減らす効果も。一般の薬局でも売られています。マジンドールというお薬は、ＢＭＩ３５以上の高度肥満の方に３ケ月までの処方と、厳しい縛りがありあす。一方、「サプリ」に頼ろうとする人もいます。しかし言葉からして可笑しい。「サプリ」とは本来「補う」という意味。少なくて困っている人に「補う」ことは必要ですが、食べ過ぎ病の人がサプリを飲むのは邪道では。やはり本道は、どこまで行っても食事療法と運動療法しかありません。超低カロリーといかなくても、腹７～８分目で充分です。

キーワード：ＢＭＩ

体重を身長の２乗で割った値で、肥満の指標として汎用される。正常値は２２。２２の人が一番長生きする。２５以上は軽度肥満、３０以上は中等度肥満、３５以上は高度肥満とされる。