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生活習慣病シリーズ第７回　皮下脂肪と内臓脂肪

　　　　　　　　　　　　　昼間はメタボ、夜は睡眠時無呼吸（ＳＡＳ）

　「メタボ検診」が、全国各地で行われるようになってはや３年半。受診しないと何度も催促状は送付されて慌てて受診された方も多いことでしょう。また、医療機関で採血検査すると３割負担の方は高くつくので、メタボ検診で「費用が少し節約できた」と喜んでおられる方も多いでしょう。何故、国を挙げてメタボ検診をやるのか？それはメタボを放置すると、脳梗塞、心筋梗塞になるからです。命の関わる病気になってから慌てるのではなく、予防が大切という考えです。

　
　さて、いまや小学生でも知っている「メタボ」の定義です。これを正確に言える人は意外に少ないはず。第一条件は、腹囲が男性８５ｃｍ、女性９０ｃｍ以上。第二条件は、高血圧（１３０　/８５以上）、　糖尿病（空腹時血糖１１０以上）、脂質異常（中性脂肪１５０以上ないしＨＤＬコレステロール４０未満）のうち、２つ以上がある。この第一条件と第二条件の両方を満たすものが、「メタボ」で、第二条件がひとつに留まる人が、「メタボ予備軍」と定義されています。

　
　それでは何故、腹回りなのか？腹回りが、最も「内臓脂肪」量を反映しているとされるからです。脂肪には「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の２種類があります。ＣＴでお腹を輪切りにしてみれば、両者の量は簡単に計測できます。皮下脂肪は悪い脂肪とは限りません。かたや内臓脂肪は悪い脂肪といわれています。運動や食事療法で、最初に減るのは「内臓脂肪」です。「内臓脂肪は普通預金で、皮下脂肪は普通預金」とも言われてきました。なるほど、とても分かり易い説明です。週末断食すると少し腹回りが落ちますが、その時減るのは内臓脂肪とのこと。脂肪を巡る医学は、現在進行形で発展しています。

　
　同じ肥満でも、良い肥満と悪い肥満があることも有名です。皮下脂肪優位の肥満は、良性の肥満、逆に内臓脂肪優位の肥満は悪性の肥満といわれています。ちなみに私は、恥ずかしながら立派な後者。悪性という意味は、心筋梗塞や脳梗塞を起こし易いという意味。内臓脂肪から、悪玉ホルモンが出るのです。自分の肥満が良性か悪性か、いちいちＣＴを撮るわけにはいかないので、臍のレベルで測った「腹囲」で代用します。従ってメタボ検診は「内臓脂肪に重点を置いた検診」という言い方もできます。１ｃｍでも腹囲を減らす工夫が大切。体重を５％も落とせば、検査データは驚くほど改善します。

　さてメタボは、様々な病気と関連しています。注目すべきは「睡眠時無呼吸症候群（ＳＡＳ）」との関係。ＳＡＳは内臓脂肪と深く関係しています。何割かは両者がオーバーラップしていると言われています。従って私は、メタボのひとを見たら、必ずＳＡＳを疑い問診をします。「ちゃんと寝たはずなのに、昼間異常に眠くないですか？」と。ＳＡＳかどうかは、指先に酸素飽和度モニターを付けて寝るだけで簡易診断ができます。重症ＳＡＳの方は寝るときに、ＣＰＡＰと呼ばれる人工呼吸器をつけていただきます。まさに昼間はメタボ、夜はＳＡＳという方の多いこと！両者は親戚です。やはりメタボはなんとしても改善したいものです。

キーワード：睡眠時無呼吸症候群（ＳＡＳ）

睡眠中に無呼吸が繰り返される病気。いびきや昼間の強い眠気、熟睡感が無いなどが症状。放置すると命に関わることもある。眠気で交通事故を起こすことも多く対策が急がれる。