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広島・半日紀行

2011年11月27日(日)

神戸から広島まで新幹線で、わずか1時間ちょっと。
余りの近さに拍子抜けだが、講演に呼ばれた広島を半年ぶりに肌で感じた。
亀井静香のような顔をした男性、威勢のいい女性を多く見た。
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朝のテレビで、「福島の現在」を特集していた。
浪江町の町民なちの想い。
分断された町民たち。

浪江の町長さんは体重が7kg減ったそうだ。
町長選では無投票で再選された。
対抗馬は、母親の説得で、事前に降りた。

「生半可な気持ちではできない。降りてくれ」
母親のたってのお願いには勝てないだろう。
とても中途半端な気持ちでは、火の中の栗は拾えない。

町長さんが、町民に突き上げられていた。
もっと、国に対して強硬な姿勢で臨んで欲しい、と。
自分が町民だったら、同じことを言うだろう。

そしてもし、自分が浪江町長だったら、町民にそう言われたら
三島由紀夫みないな行動を取るかもしれない。
そう思いながらも、どこか遠い国のように、荒れ果てた浪江の町を眺めていた。

逃げる人いれば、残る人もいる。
これは、チェルノブイリの教訓だ。
チェルノブイリは、早急に、避難用の町を用意した。

これは正解だったと言われている。
それでも町に残った人(現在も普通に暮らしている)もいる。
彼らは、「わがままな人」というロシア語で呼ばれているらしい。

どちらの支援も大切だ。
逃げる人も、残る人も、
そして町長さんも、被害者なのだ。

自主避難も風評被害も含めて、補償するのは当然だ。

と、考えていたら、広島駅に着いた。


広島のタクシーの運転手さんに、福島のことをどう思うか聴いてみた。
「どう思うって・・・」と、口ごもった。
「福島はまだ幸せだと思うよ」と、セキを切った。

「広島は、日本国のために原爆と言う殺人兵器の犠牲になったのに
国は何の補償もしてくれなかった。
みんな、自力で再生した」

「バラックを建てて、そこに住みながら、頑張ってきた」と。
「国が住むところを確保してくれたのは、昭和30年、原爆投下後10年たってから。
結局、広島市民は、自力で乗りきってきたんだ。だから福島はまだ幸せだ」、と。

わずか一人の話からこう書くのは早計だろうが、広島は福島を、クールに見ていた。
あの時の恨みを現在も忘れていない、
福島にむしろ嫉妬してるかのように感じた。

運転手は「もとまち高層アパーット」と呼ばれるビルの大群を指差した。
「あそこにバラックのひとたちを集めたのだ。
今は、中国人が多く住んでいるけどね・・・」

補償や仮住まいとひとくちに言っても、現実には難しいな、と感じた。
また、チェルノブイリは早期に割り切ったが、福島は、まだ割り切れていない。
両者だけでもかなり異なる。まして、原発と原爆では、全然違う世界だ。

5月に広島を訪問した時にも感じた。
広島人に、「原爆と原発を一緒にするな」と怒られた。
デリケートな問題だ。

しかし、どちらにせよ、国は本気で取り組むことが大切。

私の素朴な疑問としてあるのは、
「除染」の対費用効果だ。
除染は本当に意味があるのか?

極論かもしてないが、もしそんなお金があるなら
次の住まいにかけるか、残留者に現金給付したほうがいいのではないか。
いくら屋根を除染しても、全体の被ばく量はそんなに変わらないのではないか。

結局、移動するかしないか、という選択になるのではないか。
その1点に集約して情報提供し、オプションを充実したほうがいいのでは。
しかし、誰がイニシアチブをとるのか、見えてこない。

医療での多職種連携と同じように、さまざまなレベルでの
政治や行政の連携が大切になってくる。
どこまで行っても「連携」なのだ。

広島駅は、活気にあふれていた。
こんなことを書くと怒られるかもしれないが、「放射能ホルミシス効果」かと思った。
少ない放射線が、かえって免疫能を刺激したのか・・・

そう思えるくらい、広島人には活気が漲っていた
亀井静香さんの髪の寝癖に象徴されるエネルギーを感じた。
まるで何もなかったかのように感じるくらい、明るい。

いつか福島も、同じように元気になって欲しい。
「ホルミスシ効果で、元気で優秀な政治家が沢山出た」
と言われる福島の未来を、夢想した。




 

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