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在宅療養と在宅医療

2012年03月05日(月)

3月4日の、luluさんの書き込みをご覧頂きたい。
luluさんのご指摘は、実は全てそのとうりなのだ。
これまで1回も語ったことが無い点を指摘頂いた。
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在宅療養=在宅医療+在宅介護+家族介護
在宅医療=訪問診療+往診+訪問看護

研修医への教育は、ここから始まる。

在宅療養=在宅医療、ではない。

在宅医療=在宅医学をベースにした医療。

医療とは、科学と技術とアートの総合作業。

医療は、その時代の医学レベルに従う。
従って、在宅であろうが、病院であろうが、
必要な検査や治療は遅滞なくちゃんと行う。

レントゲン設備、エコー(携帯も含む)、携帯型心電図、
検血とCRPの迅速測定は、在宅医療の必須アイテムだと考える。
当院は緊急CTや緊急内視鏡(上部・下部)の機能も有しているが。

従って、休日には病院から検査を依頼されることもある。
検査機能が高くて悪い理由は無いと思っているが、
保険点数が高くなると指導を受ける。

検査搬送できるドライバーも、3人いる。
非がんで適切な診断治療で予後延長が
期待できるときは、しっかり医療介入もする。

在宅=手抜き医療ではない
在宅=検査も治療もしない、ではない。

在宅医療=QOLx寿命、を
最大値にするための手段にすぎない。

非がん疾患には、必要とならば、ちゃんと検査も治療も行う。
整形外科専門医の往診機能もあるし
栄養士も訪問栄養指導まで行う。

非がん在宅は、病院との連携が大切だ。
急性期病院や慢性期病院までさまざまな病院と連携している。
当院の連携室には、3人の専属スタッフ(MSWも含む)がいる。

もちろん、地域性や個別性があるだろう。
しかし、そこまでを想定しておいての「ザイタク」だと思っている。

従って、luluさんがご指摘のとうりなのだ。

しかし、それを全ての診療所に適応するのは不可能。
非現実的だ。
診療所機能を公表しての、在宅医療であるべきだ。

さらに書いてみよう。

併設の訪問看護ステーションはあるのか?
ケアマネやヘルパーはいるのか?
有床やサ高住などの「施設」はあるのか?などの、
パッケージサービス機能の情報公開も本来は必要なのだ。

これらが揃って初めて、
市民に選んでもらえる在宅医療が可能となることがある。
なかにはローテク在宅が選ばれる場合もあるので不公平とは限らない。

自慢話と間違えられるので、ここまでの議論は、意図的に避けてきた。
しかし、今後は、個々の在宅医はluluさんのご指摘を検討すべきだと思う。
ただし現在はまだ「底上げ」の段階なので、これを公言できる状況ではない。

まあ、これはあくまで理想論。
それに田舎や離島では難しいいだろう。

しかも、厚労省的には、在宅=高点数=悪、として認識される。
上記をちゃんと実行すれば、厳しい取り調べと処分が待っている。

とはいえ、あくまで在宅医療は
EBMとNBMのバランスが取れた「納得医療」であり、それぞれのカタチで
要は患者さんとご家族に喜んで頂ければそれでいいじゃないかな。

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この記事へのコメント

在宅医療でそこまで求めるのであれば、田舎では不可能ですな~~
複数の医師を雇って、CTまで持っている?そんだけの設備投資、人的投資をペイできるだけの患者数が確保できる都会では、いいでしょうね。田舎では訪問看護隣町、訪問入浴隣町、そんなんばっかですよ。充実した設備!?充実した介護!?ないけどやるしかないで、やってますが。。。↑みたいなものまで求められるのであれば、在宅なんてやってられないですね。

Posted by 田舎の開業医 at 2012年03月05日 09:37 | 返信

私の住む街も都心から約2時間の田舎の部類です。
それでも東京在住だった10代のころ「強い痛みも痺れもなく、中度の腰の痛みと体の重さ」と言った腰の異常で大学病院を転々とし、それでも異常ナシと言われてきたヘルニアがこの田舎の総合病院で分かり、数10年苦しんだ腰の異常が治癒したことで医療は自分に合った医師に巡り合えるかどうかだと思いました。

人口7万人、地域の中核総合病院が一つ、入院設備のある病院は3つですがその中で開業している小さな医院に、医師2人とMRIがあった事に驚きました。
患者さんもそれほど多いとは言えず、いつ行っても7~8人の方が待っているのみで、この中をどうやって経営しているのだろうと他人事ながら心配になる事があります。
Drの意識的には地域医療に意欲を感じるのですが、在宅は行っていません。
出来れば小じんまりでもいいので、長尾先生のような在宅医療を手掛けてもらえればと思いますが、luluさんが言われるように

>ある意味密室で行われる医療ですから、治療、投薬に疑問があっても、そして病院での適切な治療があればなくなることはないと思われる症例でも、「お年ですから」で済んでしまい、家族の方もそれで納得してしまうということも起こりえます。

>ソフト面では、ドクターの診断能力や資格(病院に採用されるために当然重要視されるさまざまなバックボーン)などを整備していかなけば、「在宅はインチキだ」とかいわれても「ハイ、その通り」ですし、だれからも認知されません。
 
>在宅と病院での治療のそれぞれのメリット、デメリット、それぞれの自ずともつ限界を冷静に比較し、互いに補完しあうべきではないでしょうか。

>病院の全否定は理性的とはいえません。私の父も、肺炎になったときは、大学病院に入院しております、そうしなければ助かる命も助からないと思うからです。
 
という、「患者の意識」と言う課題も大きな物としてあると思います。
自分もそうですが、患者も家族も安心して任せられる在宅医を見つけるのは至難の業です。

Posted by 桜 at 2012年03月05日 08:10 | 返信

がん拠点病院で看護師してます。


大きな病院に過大な評価をしすぎだと思います。
「密室」は病院も同じく。規模の大きさの違いだけだと思います。

例えば、がんの患者さんに抗がん剤がどの程度効くのか説明しないまま投与することも
しばしば見られます。
「がんですから」で済まされているのです。


大病院では、お年寄り、というだけで
歩行ふらつきあり→歩くときは看護師が付き添いしなければダメ
→お年寄りは勝手に歩く(本人さんは大丈夫と思っていますから)
→身体拘束(しばりつける)→せん妄→さらに縛りつける→せん妄悪化→……


たとえ肺炎が治ったとしても、なかなか自宅に戻れる状態にならないことも
しばしばあります。


在宅医すべてに医療設備が整っていなくてもいい。
必要なときには、病院を利用すればいいのです。
お互いのいいとこ取りでいいと思います。


その連携モデルをつくるべく、長尾先生は動いていらっしゃると、
わたしは感じています。


限られた地域で在宅医療にまい進しているだけでは
在宅医療の底上げなんて、夢のまた夢、です。

公の場でさまざまな提言をすることでこそ、
在宅医療の充実が期待できる のではないでしょうか。

その結果、志の高い在宅医が増えてくれることを願います。


がん拠点病院で働くわたしがこんなことを言うのはおかしいかもしれません。
でも日々見ている現実から思うことです。


luluさんの言うとおり、看取りが目標ではなく、
生きている日々を豊かにすること、が目標だと思います。
その目標をめざしているのは、病院の医師でしょうか?
在宅医のことを理解しようとしない病院の医師は山ほどいます。

Posted by 果実 at 2012年03月05日 11:51 | 返信

果実さんのご意見に賛同します。
長尾先生の様に現場で実践している人が、
政治や制度への提言をすることで、変化が起これば、
より現場に近い制度改定や報酬体系になると思います。

Posted by 訪問看護師 at 2012年03月06日 12:35 | 返信

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