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往診する医者、しない医者
2012年03月17日(土)
在宅医療でも、訪問診療はするが、往診はしないという医者もいる。
産経新聞3月10日朝刊に書いた、「医者選びシリーズ」から転載させていただく。
「医者選びシリーズ」第2回 往診する医者、しない医者
在宅医療の基礎知識
「在宅医療」という言葉が一般的になったのは、この数年だと思います。私が開業した17年前は世間にはまだ「往診」という言葉しかありませんでした。介護保険制度が出来た2000年ころから「在宅医療」という言葉が使われはじめました。在宅医療とは訪問診療と往診で成り立っています。さて、高齢者が増えて、治らない病気が増えてきました。急性期病院は2週間程度で出ないといけない所。もはや長居できる場所ではありません。必ず慢性期病院や介護施設に移るか家に帰るかの選択を迫られます。「もう少しだけおいて下さい」とお願いしても、昔のようには叶わない時代です。近い将来、先進諸国並みに「平均1週間で退院」という時代が来るでしょう。そういえば、胃がんで手術した患者さんが1週間もせずに帰って来てビックリしたことがありました。抜糸は当院でしました。最近の病院は昔とは全く違います。たとえばDPC制度と呼ばれる包括払いの診療報酬制度になっている点や、クリニカルパスという病気別の行程表に従って診療が進められる点です。「包括払い」とはたとえば糖尿病で入院すれば病名で予め診療報酬が決まっていること。出来高の反対です。出来高では検査や治療をすればするほど病院が儲かり、包括制では検査や治療をするほど病院は損をします。そのDPC制度の病院が増えています。
さて、在宅医療と在宅介護を合わせて「在宅療養」と呼びます。入院と在宅療養の違いを考えてみましょう。病院では、患者さんは病人服を着た囚われの身です。そのかわり手術やお薬で病気を治してもらえます。一方、家に帰ったら一生活者に戻ります。一方、病院は院長を中心としたピラミッド型社会。小説「白い虚塔」の通り。院長の下に部長、医長、ヒラ、研修医と続きます。医療保険だけの世界。しかしその病院を一歩出た途端に、医療と介護のツートップ体制になります。医者とケアマネの2本立てになるのです。いうまでもなく医者が医療のリーダーで、ケアマネは介護のリーダー。両者の協働作業です。
さて町の開業医にも、往診する先生としない先生がいます。内科であろうが、何科であろうが、往診する先生は淡々と往診し、しない先生は絶対にしません。町医者は「往診」という点で2分される時代です。しかし往診をしない町医者も介護保険の認定審査のために「主治医意見書」を書く義務を負っています。ですから開業医は、何らかの形で在宅医療に関わらなくてはならない時代になりました。
「在宅療養支援診療所」という制度が出来て5年経過。これは365日、24時間対応して在宅看取りまで行う診療所です。ケアマネや介護スタッフそして地域の病院としっかり連携し、1年間の在宅看取り数を役所に報告しなければなりません。最近、都市部では朝から晩まで在宅医療のみ行い外来診療をしない「在宅専門クリニック」が出来ています。このような「朝から在宅組」に対して、午前中は外来をして午後から地域の患者さんを往診する私のような町医者は「午後から在宅組」と呼ばれています。在宅医療というとなんだか新しい医療のように聞こえます。しかし医療の歴史を勉強すると、医療とはそもそも家庭医療、すなわち在宅医療でした。多くの町医者にとって「外来+往診」が基本形です。
キーワード:在宅療養支援診療所
365日24時間体制で在宅看取りまで行う診療所。普通の診療所より診療報酬が若干高い。全国に約1万2千医療機関が登録しているが年間1例以上看取っている診療所は半数しかない。
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この記事へのコメント
Dr.和のような“ 熱血町医者 ”は、残念ながら私の住む町には、どこを探しても見当たりませ
ん・・・・・なげかわしいです。
そもそも【 介護保険制度 】を、理解していない・・・または・・・理解する気のない町医者が、
そこらじゅうに“ はびこっている ”のですから。。。
『 病院を一歩出た途端に、医療と介護のツートップ体制になる 』
『 医者とケアマネの二本立てになる 』
『 医者は = 医療のリーダー 』
『 ケアマネ = 介護のリーダー 』 な ど と ・・・
認識されている “ 立派な町医者 ” が “ どこ ”に、いらっしゃるのでしょう ???
【 尼崎 】には健在です !! が・・・・・
★ 先生 ・・・ 本当に “ この国 ” お か し い で す よ ね 。。。
Posted by ❤ 寺田 薫 ❤ at 2012年03月17日 11:20 | 返信
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