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医師会が在宅医療を嫌いな理由

2012年03月20日(火)

医師会は、在宅医療が大嫌いのようだ。酒の席などで聞くと、よくわかるはずだ。
これまで、在宅医療についてはここでは書けないような酷いことを言われてきた。
こんな現状で在宅推進を謳っている霞が関はある意味おめでたいと思っていた。
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医師会が在宅医療を嫌いである5つの理由(あくまで私の想像)

1 在宅医は総合医に近い(医師会は総合医に反対)
2 総合医が評価されると、専門医が評価されなくなるのではという恐怖
3 ロクロク治療をせず、密室で死なせる、インチキ医療というイメージ
4 高専賃に住ませて適当な医療で金儲けをする集団というイメージ
5 在宅医には髭を生やしたり、派手な服を着たり個性的な人間が多いという指摘

しかし医師会の偉いさんは、キュアからケアへのパラダイムチェンジが
できていないような気がする。

そんな中、東京都医師会長に、野中博先生が就任された
意義は極めて大きいと、個人的に感じている。
野中先生は、普通の在宅医でもあられる。

昨年夏の札幌での、プライマリケア連合会での講演。
野中先生は、泣きながら在宅医療の講演をされた。
患者さんの話をしていたら、涙が止まらなくなったのだ。

そんな先生が東京都の医師会長になった意味は大きい。
蛇足だが、私は野中先生の大学の後輩であることを誇りに思う。
先輩に、尾道の片山先生、後輩では長崎の白髭先生もおられる。


もうすぐ、「在宅診療科」が正式な診療科になると聞き、喜んでいる。
以前、このブログで、「在宅医療は非嫡出子」と書いたのが効いたのか。

そうなると、レセプト審査も透析と同じように別建てになる。
保険審査員も、在宅医会の役員から出ることになるだろう。

ただ、医師会としては、ぞれだけは困るのだろう。

兵庫県医師会は、在宅医会設立に反対している。
尼崎市医師会も、私が連携委員会で聞くと反対だった。

日本医師会はどうなんだろう?
総論賛成、各論反対くらいだろうか?

いっそ、医師会の外に作ったらどうなんだろう?
やはり医師会では無理で、医学会マターなのかな。

日本医師会以外に、いくつか候補がある。

1 在宅療養支援診療所(在支診)連絡会
  ただ、まだ登録1万2千件のうち、1千件も入っていないのではないか。
  制度ができて6年もたつが、まだ組織化されていない。
  また、在支診に入っていない、在宅医のほうがずっと多いという皮肉な現実がある。

2 日本在宅医学会
  今年の参加医師は、100名くらいだったのかな?
  2日目の死生学のシンポを聞いていた医師も、40人程度かな?
  ちょっとさびしい。
  専門医もたった180人しかいないと聞いた。私も持ってはいるが。
  在宅とは関係が薄い大学の先生が、現場とは遊離した話をしていた。
  在宅医学を本気でやりたい学会なのか疑問と感じた。

3 プライマリケア学会連合会
  学問的かつ、在宅のNBMも入っている。
  大学の研究者と現場の医師が協力できる学会だ。
  私は、自分はプライマリケア医だと思っているが、
  この学会に入るのが遅く、いまさら専門医にはなれない。
  優秀で志が高い医師が多い。規模も大きい。
  若い医師も多く、将来性が一番だと思っている。

4 在宅ケアを支える市民ネットワーク
  大変素晴らしい会だが、まだすそ野を広げる余地があるように感じた。

5 日本ホスピス在宅ケア研究会
  有能で志が高い市民や医療者が多いが、在宅医の会員がまだ少ない。
  理事を拝命しているが、やるべきことが多いと感じている。
  そもそも市民団体なので、在宅の医会とは、イメージが異なる。

本来、在宅医学会は、日本で最もメジャーな学会になるはず。
なぜなら、日本の医療とは高齢者医療がメインだから。
高齢者と言えば、「在宅」なんだから。

消化器病学会や内視鏡学会は、1万人近い医者が集まる学会だ。
しかし今回のようにたった数百人程度の全国大会では正直寂しい。

内容も、もっと本質に肉薄すべきだと感じた。
今回は昨年と違い、役割がなかったので気楽だったが、
何のための学会なのか正直、よくわからなかった。

1万円の懇親会は、大変狭い会場でパスタの残りを少し食べただけ。
なんだか、寂しい、空しい学会だった。
これならば、先日の「かいご学会」の方が盛況だった。

それでも、在宅系の各学会には大いに期待している。
東京都医師会長にも期待している。

来年の在宅医学会は愛媛の永井先生が会長をなさる。
大挙して道後温泉に集合しよう!



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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

私、日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医です。先生のプライマリケア学会のコメントに違和感を覚えます。学問的すぎでもないですし、大学の研究者が多いわけでもありません。現場で実践を積んでいる者が多いです。私も、先生のブログを全て読ませて頂いており、まっとうな24時間365日の在宅をやっておりますし、今年度も30名弱を看取っております。日本プライマリ・ケア連合学会は真剣に家庭医や在宅医療をしている若手が多いのも特徴の一つなので、もっと知って頂きたいです。よろしくお願いします。

Posted by 家庭医療専門医 at 2012年03月20日 06:58 | 返信

長尾先生

いつもありがとうございますっ!!
まずは兵庫県から全国へ発信していければと思います。
きっと誰も今の流れを無視することはできなくなるはずです。
少なくとも私はそう信じて活動しております。

これからも援護射撃を宜しくお願いいたします(笑

Posted by みどり病院 清水 at 2012年03月20日 04:13 | 返信


  医師会には 『 か わ い そ う な 医 者 』 が 大勢 いらっしゃいます !!


     ★  野 中 先 生 “ バ ン ザ イ ” !!!

Posted by ❤ 寺田 薫 ❤ at 2012年03月22日 03:00 | 返信

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