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なぜ「地域包括ケア」なのか?
2012年03月19日(月)
一時のまやかし、思いつきだと、いまだに思って、様子見の開業医が多い。
「長尾君、そんなのに乗ったらハシゴ外されるよ」と耳元で忠告する重鎮もいる。
そんなひとたちのために、今日発売された医療タイムスの
3月19日号に以下の文章を書いたので転載させて頂く。
冬の時代の診療所経営
なぜ「地域包括ケア」なのか? 長尾和宏
診療報酬改定の概要が出そろいました。在宅関係の点数が軒並みアップしており、在宅をされていない先生には複雑な思いの方も多いことでしょう。私は今回の改定は、在宅誘導というより「地域包括ケア」のための改定であるように思います。医療と介護、そして行政やボランテイアまでを包含した概念が「地域包括ケア」です。それを全面的に後押しするという強い意図を感じます。
では、なぜ「地域包括ケア」なのでしょうか?結論から申し上げると「地域包括ケア」という施策でしか国民皆保険制度を護れないからだと思います。それほど経済的に追い込まれている状況です。超高齢化社会になり治らない病気を抱えた老人が急増しています。いくらハコモノを作ってみてももはや追いつきません。そこで中学校区をひとつの「地域という病院」とみなして多職種連携でケアしていく。在宅療養支援診療所が中心となり、急性期病院、慢性期病院、在宅療養支援病院としっかり連携をとりながら、良質な慢性期医療を提供する。そうした「地域包括ケア」という受け皿でしか、複数の病気を抱える多数の高齢者を受け止めることができないのが現実です。
かつては10年連続、毎年2200億円の医療費抑制政策がとられ医療崩壊が加速したといわれています。しかし政権交代後は、わずかとはいえ2回連続のプラス改定となります。政権が変わり多くの政策が右往左往してきました。そんな中、全くぶれない医療政策がひとつありました。それがまさに「地域包括ケア」だったのです。酒を飲んでは厚労省や財務省の悪口で盛り上がっている診療所経営者をみかけます。しかし本当にそうでしょうか?私は国民皆保険制度を守りたい気持ちが一番強いのは、医師よりも財務省ではないかとさえ思います。世界に例を見ない、世界中がうらやましがるこの制度は、一度壊れたら二度と戻らないでしょう。世界遺産とも言える皆保険制度を守るには何かを犠牲にしなければなりません。あれもこれをも満たすことはどうやっても不可能です。何かを守るためには何かを捨てる。皆保険制度を守るために、他を捨ててでも「地域包括ケア」という実を取ったのではないでしょうか。そう考えると目先の10円に固執するよりも、もっと広い視野に立って「地域包括ケア」に関わることこそが、皆保険制度で生かされている診療所経営者の責務であることに気がつくはずです。
サイは投げられました。「地域包括ケア」という施策に、充分すぎる資源が配分されました。さああとは地域・地域での多職種連携を推し進めて、自由に画を描いてくださーい!それが、財務省や厚労省の極めて明確なメッセージに思えてなりません。
地域包括ケアに協力せずに、外来報酬にだけ文句を言っていても何も始りません。是非とも「なぜ地域包括ケアなのか?」を理解した上で、できる範囲で地域包括ケアに関わって頂ければと願います。それは国民皆保険制度を守るため。それしか道がないのです。裏を返せば、皆保険制度が崩壊して米国の映画「シッコ」のような社会になってもいいというならば「地域包括ケア」など全く必要ないのです。
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この記事へのコメント
本 当 に ! 本 当 に ! 本 当 に !
【 地 域 包 括 ケ ア 】
も う そ れ し か あ り ま せ ん ! ! ! ! !
Posted by ❤ 寺田 薫 ❤ at 2012年03月22日 02:18 | 返信
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