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これからのがん対策ー本質は氷山の下にあるー

門田守人先生のインタビュー記事

2012年03月31日(土)

門田先生とは、ご縁が深い。25年前から知っているし、たまにお会いする。
阪大の門田先生から、がん研有明院長および推進協議会会長の門田先生になられた。
「本質は氷山の下にあるという言葉に注目している。

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がん対策「これまでの議論は氷山の一角」 - 推進協議会、門田会長インタビュー

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36860/page/0.html

 
がん対策推進協議会は31日、2012年度からの次期がん対策推進

基本計画の厚生労働省案を了承し、同日、小宮山洋子厚労相に答申

した。同案の取りまとめまでには、限られた時間の中で、医療者の

現場の意見を聞く一方、患者側の声を十分に反映させるよう配慮し

た。同協議会で会長を務めたがん研有明病院の門田守人院長に、百

出した議論を、どのようにまとめたのかを聞いた。


―答申までを振り返り、何が大変でしたか。

 
東日本大震災があり、開始が遅れた。115月に初めて新しい委

員によるがん対策推進協議会が開催され、そこで会長に選任された。

新協議会委員の約半数が入れ替わっている。ずっと以前から、議論

をしていたとはいえ、メンバーが半分程変わると、それまでの過程

を、新しい委員は全く知らない。そうかと言って、ゼロからスター

トするのでは時間が足りない。正直なところ、最後の合意までいけ

るかどうか、不安だった。

 
1期(2007年度からの基本計画)のとりまとめも、実質2か月で

間に合わせた。まるで突貫工事のようだった。2期目になると、1

の反省を抜きには考えられない。少なくとも進歩がないといけない。

これは大変だと思い、会長に選任されたタイミングで、事務局に指

示したのは、全メンバーの年内一杯の日程調整と、協議会を毎月2

開催しようということだった。


―今回は、たばこの喫煙率など個別目標が盛り込まれました。

 
31日の答申直前に日本医学会が、たばこの喫煙率の個別目標を

設定することへの支持を表明してくれた。協議会には、日本医師会

の委員もいる。医師集団の多くが、たばこは百害あって一利なしと

認識している。日常の診療の中でも、たばこのマイナス点が出てき

ている。これを抑えるのは皆の願い。吸いたくて、仕方ないのを止

めろとまでは言わないまでも、健康のことを考えたら、できるだけ

止めましょうという点で、意見は違わない。

 喫煙率に関しては1期の議論で、「喫煙率を半減する」ということ

になったが、結局、消された。ただ、たばこに触れないわけにはい

かないので、未成年者の喫煙率はゼロにするとした。法律に反する

ことだから、当たり前だが、事務局とすれば、そのような形でも、

たばこに触れなくてはいけないと、思ったのだろう。当時、協議会

でも、「満場一致で決めたものを消すなんておかしい」という意見

があり、協議会の中では、何らかの形で、残してほしいという要望

があったのも事実だ。


―がん検診ついては、どう考えていますか

 
乳がんや子宮がんには、クーポンを出したので、その効果があり、

受診率は引き上げられた。しかし、胃がん、肺がん、大腸がんにつ

いては、横ばい状態。受診率目標50%としても、乳がんや子宮がん

の場合は、可能性が見えている。他のがんは、一気に50%に設定し

たら、厳しいだろうということで、10%ぐらい下げたところを目標

にすることにした。ただ今後、変化があったら、途中で見直すとい

う文言も追加した。1期は何もかも、書き込もうと、大雑把な計画だ

ったが、5年が経過し、内容的に緻密になった。協議会としても、細

かい課題を直視し、わずかかもしれないが、進歩していると思う。

ただ、がん検診の精度は残念ながら、明確ではない。確かに検診し

たことにより、早期がんが見つかるケースもあるが、それが国民全

体として生存率に寄与しているかどうかはっきりしていない。これ

は、今後の課題になる。

―緩和ケアについては、形式的なものにとどまっているとの指摘も

ある。

 「緩和」の重要性は1期から、指摘されてきた。最初は、がん診療

に携わる医師は、とにかく講習会を受けるようにした。その結果、

受講者は増えた。しかし、受講者という数値は増えているが、患者

にすると、本当に自分が、質の高い緩和ケアを受けているかという

ことに疑問を持っている。協議会でも、受講者「数」が問題ではな

く、質を問うという方向に変えなくてはいけないという議論もあっ

た。

 ところが、緩和の質はどこで測り、どう標準化するのかという問

題がある。残念ながら、まだ、答えが出ていない。心して、これか

らの5年間、もちろん中間報告も節目になるが、それまでには、参考

になる指標を提案したい。

31日の最後のあいさつで、会長は「今後、本質的なディスカッ

ションしたい」と話しました。あの意味は何ですか。

 答申を終えて、ポロっと漏らしてしまった。今、議論しているの

は、氷山の一角。今のがん対策の課題は、例えば、がん難民問題、

がん治療の地域格差、がん種の格差、ドラッグ・ラグ、専門医不足

など、いろいろだ。実は、これらに対策を講じることが、本当のタ

ーゲットではないと言いたい。そのターゲットや原因を除去しない

で、対症療法をいくらしても、根本的な解決にはならないという気

持ちがある。

 日本人の2人に1人はがんにかかる。家族の中などで、自分の健康

を考えるよう啓蒙し、啓発しなくてはいけない。日常生活で、自分

の生活の質を高めようという意識を持つようにしないと、がんの検

診率も上がらない。義務教育で、健康のことや、自分が生き、死ぬ

ということ、死生観について、どういう教育をしているか。それが

正しいのか、間違っているのか。その辺を全部、置き去りにしてい

てはいけない。もちろん時間は掛るだろう。本質的なことは、氷山

の下にある。

 
 門田院長は、がん対策の氷山について、このような図で解説して

います。

(君塚靖)

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