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日本の医療制度は世界一

2012年04月14日(土)

日本の医療制度は酷いと思っているひとがいたら、大間違いだ。
世界でも、ピカ一のシステムを誇っている現実を、多くの国民が知らないのは残念。
今朝の産経新聞・兵庫版に掲載された拙文を転載させて頂くのでご批判を仰ぎたい。
 

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医者選びシリーズ第7弾の結論は、「世界一であることを知って
上手に利用しましょう」ということになる。

実は皆保険というシステム自体が、否定される国もある。
アメリカだ。

皆保険=自由が無い社会主義
自分で選べる保険ないし自費診療=自由主義的な制度
という考えもあるので、皆保険=100%善とは言えない。

しかし国家システムとして、既に世界最高のパフォーマンスを
上げている。すなわち、長寿世界一を成し遂げているのだ。

やはり評価すべきは評価し、維持しなければならない。
いや、維持するために頭を使う時期なのだ。

相当な改革を行い、維持すべきシステムだと思う。

その改革とは、
・制度の簡素化
・制度の隙間の整備、制度間の連携
そして、終末期議論なのだ。
 

医者選びシリーズ第7回  日本の医療制度は世界一

  世界がうらやむ国民皆保険制度 

 

 喫茶店に座り耳を澄ましていると、あちこちから聞こえてくるのは医療に関する苦情です。「○○病院はケシカラン」とか「△△先生に怒られた」とか。しかしそれほど日本の医療は質が悪いのでしょうか?患者さんが「日本の医療は悪い」と感じるのは、「窓口負担が3割負担だと高い」とか「昔のようにすぐに入院させてくれない」とか「病気が完治しなくてもすぐに病院から追い出される」からでしょう。しかし世界的視野で見れば、それでも日本の医療は間違いなく世界最高のシステムなのです。

 
 日本には国民全員が保険に加入する「国民皆保険制度」があるからです。昭和35年に誕生し、昨年50周年を迎えました。医療費や薬剤費は全国統一価格。保険証1枚で全国どこの病院にもかかれる便利なシステム。気に入らなければ医療機関の「浮気の可能(フリーアクセス)」。国民医療費は年間、36兆円です。と、言われてもよく分かりませんよね。ではパチンコ産業が30兆円で葬式産業が15兆円と言われるとより身近でしょうか。さて、この36兆円という数字。これは会社に例えると「総売り上げ」に相当します。その内訳を見ますとその4分の3は皆さんの保険料と窓口負担で、国の負担はわずか4分の1の9兆円です。それも元を辿れば、所得税、住民税、消費税など国民の税金です。お金は天から降ってきません。結局、すべてみなさんがお金を出し合って成り立っているのが「国民皆保険制度」なのです。米国のオバマ大統領は日本のような国民皆保険制度の設立を掲げていましたが、いまだに実現できていません。日本の国民皆保険制度は、国際的にみれば「奇跡」だとか「世界文化遺産」だと羨ましがられます。しかし肝心の日本人自身がその素晴らしさをあまり知らないことが大変残念です。空気のような存在になり、もはや有難味がないのでしょうか?

 
 さて、国の財政にとって医療費はどんな割合なのでしょうか?GDPに対する医療費の割合は、日本は8%とOECD30ケ国中23位です。すなわち「日本国は医療にあまりお金をかけずに世界一の長寿を達成」している不思議な国なのです。なぜでしょうか?ひとつは医者が、低賃金でよく働くからと言われています。この一文を読んで「嘘だ!」と笑う人がほとんどでしょう。しかし嘘ではありません。日本の医師は、世界一の長時間労働です。おそらく時間当たりの報酬も最低だと思います。一睡もせず当直明けで手術に入り、その夜も深夜まで働いているのは日本の医師だけです。特に3Kと言われる外科や産科はすでに「絶滅種」。住民当たりの医師数は、OEC
D30ケ国中27位と数も少ない。もちろん患者さん側の努力も大きいでしょう。戦争体験世代には我慢強い方がまだ沢山おられます。50年間も維持されてきた国民皆保険制度は今、本格的な超高齢化社会に突入し財政危機に瀕しています。患者さんにとっては保険料が上がり窓口負担も上がりだし、医療機関にとっては診療報酬抑制政策が続きます。なんとか維持されてきた皆保険制度ですが、どうやら大きな曲がり角にきているようです。

 
 今回の結論です。「国民皆保険制度」の意義を知って頂き、その利点を活かしながら医療費の無駄の少ない「医者選び」をして下さい。

 

キーワード:超高齢化社会

65歳以上の人が総人口に占める割合が21%を超えると超高齢社会と呼ぶ。昭和25年では4.9%だったが、昭和45年に7%を超え、平成22年には21%を超えた。現在、男性は5人に1人、女性は4人に1人が高齢者である。


 

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