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「地域が病院」の時代

2012年04月22日(日)

昨日の産経新聞の朝刊(兵庫版)に、「医者選びシリーズ第8回」(最終回)が掲載。
「地域包括ケア」という方法しか無い事を市民に分かり易く説明しることは意外に難しい。
それでも私なりに書いてみた。 来週からはいよいよ「平穏死シリーズ」に移行する予定。
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医者選びシリーズ第8回(最終回) 「地域が病院」の時代  

                  超高齢化社会を乗り切ろう
 

  もはや急性期病院に長くは置いてもらえない時代であることは、既に皆さん知っておられますよね。入院して2週間もすれば、必ず転院か施設か在宅を迫られます。多少状態が悪くても容赦ありません。転院先や施設に関する相談が毎日のようにあります。仕方なく「在宅医療」を余儀なくされる方が急増しています。国が在宅医療推進政策を取っているためです。急激な超高齢化社会を乗り切るには、在宅医療に頼るしか方策が無いのです。今後、

「地域が病院」という認識に頭を切り替える必要があります。中学校区をひとつの単位として、在宅主治医、訪問看護ステーション、ケアマネ、ヘルパーなどの多職種が密接に連携しながら住み慣れた自宅で最期まで安心してすごせるシステム作りが、全国各地で急ピッチで進められています。このような「地域が病院」というシステムを「地域包括ケア」と呼びます。国民皆保険制度を維持しながら、超高齢化社会を乗り切るためには「地域包括ケア」しか方法が無いようです。逆に、皆保険制度が崩壊してもいいのならば、在宅誘導など不要です。自由主義経済の原則通り、市場に任せておけばいいのです。


さて、「2025年問題」を御存知ですか?現在、1年間に110万人も亡くなるそうです。しかし2025年にはさらに年間160万人もが亡くなる「多死社会」となります。現在のいわゆる「団塊の世代」が亡くなる時期です。ちなみに私も「老人」の仲間入りをしています。その時は、焼き場が足りなくなるので「予約」が必要だそうです(冗談です)。

その時のために今、施設を沢山作っても2025年を過ぎると要らなくなることが分かっているので施設や病院は今以上は増えにくい状況です。むしろ国は、高齢者向けの住宅の整備に力を入れています。従来の高齢者専用賃貸住宅(高専賃)は、この春から「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」に名前が変わりました。住居だけでなく、朝夕の安否確認や生活相談機能を有する老人アパートです。サ高住には、本来の自宅と同様に外部の診療所から往診が可能です。グループホームや有料老人ホームと同様、外部の医療機関にはフリーアクセスできます。在宅医療と言えば、かつては住み慣れた我が家が療養の場でした。しかし今後は、サ高住などの「第二の自宅」が増えます。つまり在宅医療には2通りあるのです。従来の我が家とサ高従という自宅。当然、施設での看取りが今後、重要な課題になります。超高齢社会を見越して介護保険が出来て11年。「地域における医療と介護の密接な連携」でなんとか2025年問題を乗り切り切りたいものです。あくまで地域性を重視した政策ですから、市町村行政の役割がこれまで以上に重要になります。


さて、自分の最期の場所は一体どこになるのでしょうか?嫌な話でしょうが、普段、元気な時から話しておくべきテーマです。病院か施設か在宅。いずれかしかありません。現在は、病院で最期を迎える確率が高くても、2025年には「施設+在宅」が病院と同程度になっていることでしょう。さて

「医者選びシリーズ」、最終回の結論は、「自分を最期まで診てくれそうな地域のお医者さんを、今のうちから探しておこう」です。そして「地域包括ケア」という言葉を是非とも覚えておいてください。
(次回からは「平穏死の条件」シリーズに変わります)

 

キーワード サービス付き高齢者賃貸住宅(サ高住)

photo34.JPG

高齢者に適したバリアフリー構造を有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供する住宅。都道府県知事への登録制度であるが、国土交通省・厚生労働省の共管制度として2011年に創設。


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この記事へのコメント

「2025年160万人の多死社会」を生きようとするバリバリの団塊世代です。火葬場の予約?!そこまでいきますか。高齢期の住まい方には大いに関心があります。高校時代(なんと、46年前!)、東芝日曜劇場で石井ふく子がプロデュースしたドラマが、今でいう「シェアハウス」で繰り広げられる人間模様でした。「やがて、こういう時代が来るんだ・・・」と強く心に残ったことが今の関心事につながっています。世の中にはちゃんと将来を見通してドラマ化する人がいる・・・。映画なども先取りしていますよね。日々、物事の本質をしっかり考えて生きていけば先が見えてくるのだと思います。長尾先生のこの記事をできるだけ多くの人がお読みになることを祈るばかりです。これからはどんどんお一人様も増えるし、血縁には期待できないし・・・、そうなると新しいタイプの家族関係を作っていかないといけませんね。これからは血縁でなくて地縁かな。気の合う仲間と(年寄りばかりではだめだめ、一人こけたら皆こけるから・・・。自分より若い世代も入れないと・・・)、長尾ドクターみたな最期まで診てくれる赤ひげドクターを侍らせてシェアハウスに住む・・・。これって、夢に終わらせてはだめなんだ、自分のことだから・・・。

Posted by 岡村ヒロ子 at 2012年04月26日 09:14 | 返信

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