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死の権利・世界連合(from スイス)
2012年06月14日(木)
チューリッヒのホテルにいるので、外国にいるという感覚が無い。
死の権利・世界連合の初日の様子をスイスから現地レポートしたい。
朝日新聞電子版・アピタルから,転載させて頂く。
死の権利・世界連合総会
今日は、すこし長文になる。
お時間のある時に読んで頂きたい。
今日見たことは、今日書きたいので・・・
● 沈まぬ太陽
昨日は本当に24時間以上、太陽が沈まなかった。
夜ばかりでも困るが、夜が来ないのも本当に困る。
その上に、48時間も寝ないという無茶をした。
数年ぶりの時差ボケだ。
夜中に何度も目が覚めるが、何時か全く分からない。
朝だと思って飛び起きたら、まだ夜中の1時だった。
日本の患者さんからも、電話もかかってくる。
ファーストコールは、私が受けることにした。
セカンドコールを留守番の医師に頼んで来た。
● 歩きタバコのスイス美女たち
寝ボケまなこでホテルの朝食を食べていた。
窓の外にはチューリッヒの人々の朝の街頭風景が
まるで映画の画面のように次々と流れている。
スイスの人はみんなお洒落で格好いい。
少し寒いのでマフラーを巻いている人も多い。
みなさん急ぎ足で、私の前を通り過ぎて行く。
リックサックを背負った人が多い。
学生さんのみならず、ビジネスマンも多い。
あと気づいたのは、くわえタバコの多さだ。
中学高校生のみならず、若き美女の歩きタバコの
多さにはビックリした。日本と似ている。
ああ、勿体ない、なんて思ってしまった。
空港の免税店には色とりどりのタバコが並んでいる。
しかしすべてのタバコに「Tabaco kills」と大きくある。
それだけ書かれていてもこれだけニコチン中毒が多い。
無作為の1時間の定点観測だから間違いないデータだろう。
終末期議論の前に、スイスのタバコ対策の方が気になった。
ホテルの朝食は、欧州圏にしては比較的美味しく満足した。
実はスイスは2回目。
10年前、2週間かけて鉄道でのんびり各地を回った。
前回は自然相手だったが今回はホテルに缶詰めになる。
スイスは大好きな国。
まずスイス航空の尾翼にある、赤の十字のマークがいい。
病院を思わせるマークの飛行機が大量にあるのは圧巻だ。
永世中立国というのもいい。
子供の時から日本もスイスを見習えばいいのにと思っていた。
なにかと北欧が福祉のモデルに出るが、スイスもいいのでは。
● 世界24ケ国から、46団体がチューリッヒに集合
前置きが長くなりすぎた。本題に入ろう。
今回の会議は、終末期医療に関する唯一の世界会議だ。
私は日本尊厳死協会・副理事長としての出席だ。
今回の会議の正式名称は、
The 2012 Congress Wolrd Fedration Right-to-Die societeis in Zurich
直訳すると「死の権利・世界連合総会」となるのだろうか。
終末期医療を考える団体が2年に1回、集まり情報交換する会だ。
2004年は日本で開催され前回はオーストラリアで開催せれた。
1982年から始まった会合で日本が発起人になった組織である。
今回、24ケ国から46団体が集まった。
ひとつの国に5つもの団体を有する国もあるためだ。
世界中から各団体の幹部が、約100人集まった。
ヨーロッパ各国、北米、中米、南米、アフリカ、オーストラリア、
イスラエルなど本当にいろんな国の人がチューリッヒに集合した。
ちなみにアジアからの参加国は、日本だけだった。
今回、私は日本尊厳死協会の岩尾總一郎理事長と
会員である松尾幸雄さんと3人での参加であった。
岩尾先生と松尾さんは英語が堪能だが、私はダメ。
初日の今日は、午前中が総会で午後は基調講演のような感じ。
もちろん英語での会議だが、理解できないのは私一人だけだ。
仕方がないので言いたいことを英語のプリントにして配った。
いろんな方がいろんな話をされた。
外国の会議は日本と違って激しい。
私は話したくても話せない。
話せば日本の恥となるし、聞き取りも大の苦手だ。
印象深い言葉を、思いつくまま書き出してみたい。
まず、患者の権利が主張された。
1 医師を選ぶ権利
2 医師の指示を受け入れる権利、拒否する権利
3 尊厳ある死をする権利が、
患者にはあるという。
当たり前と言えば当たり前かもしれないが。
尊厳ある生があるなら、尊厳ある死もあるはずだとの主張。
そりゃその通りだろう。
●エンドオブライフケアをを論ずることが最大の緩和ケア
エンドオブライフケアをを論ずることが最大の緩和ケアだと。
これはいい言葉だと思った。
さて、ここからはちょっと過激な言葉を紹介してみよう。
あくまで末期がんなどで死期が迫った時の話だ。
日本で議論中の尊厳死の話しなどどこにもない。
世界には安楽死が認められている国がいくつかある。
まずPhysician assisted death(PAD)という言葉だ。
不治かつ末期の患者さんに医師が関わることによる死。
世界連合ではPADという言葉は普通に使われていた。
今回、Medicalized deathという言葉を初めて聞いた。
医療が介入しての死だ。
飲み薬や注射などによる死という概念だろう。
さらにMedicationという言葉が出てきて、
Death should be medicalizedと、きた。
日本では完全に安楽死であり殺人罪となるだろう。
ちょっと長くなってしまった。
松尾幸雄さんの講演、「巻子の言霊」については
来週あたりに、詳しく紹介したい。
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この記事へのコメント
先生、大丈夫です、英語でお話してください。
いろんな国からアメリカの大学への留学生を、仕事上見てきましたけど、本人が思うよりずっと伝わっています。
特に専門家の方のお話は、英語が母国語でない方のでも、聞きやすいことが多いです。
全然恥になんかならないです。
先生みたいな経験と知識をお持ちの方は、世界でもそんなにおられないと思うし、みなさん絶対に先生とお話して勉強したいと思っておられると思います。
頑張ってください。
Posted by ノンノン at 2012年06月15日 03:31 | 返信
私は寝不足だと日本語のミーティングレベルでも、頭に入らない時があります。不眠不休で到着されて外国語の世界会議・・・考えるだにしんどそうなのに、new!!(ピカピカと点滅)のリポートを有難うございます。はるかスイスでの世界的規模の発表が翌日読めるなんて素晴らしい時代!
【一市民の感想】
・Right-to-Die 、会議のタイトルが直截的でドキッ。
・世界会議の発起人が日本であったことが意外。個人主義の欧米国と想像していたので。
・アジアからは日本しか参加しなかったのは何故? 動きはあるけど単なる不参加?
・PDAほか英語のいろいろな表現は確かに過激に感じられますが、そこに至るまでのプロセス(患者の選択とか意思確認とか合意とか)が今回省略されているからだと想像します。以前オランダでの安楽死迄のかなり詳しい経過を朝日新聞で読んだことがあり、いろいろ考えさせられたのを思い出しました。
世界の潮流をかいま見ることのできるホットなブログ、これから毎日楽しみです。
でもどうぞご無理のない範囲で。まぁ集まっているのがお医者様達でしょうからcureは心配ありませんね♪
Posted by 梨木 at 2012年06月15日 09:14 | 返信
皆さんの仰るように、「言いたい事を英語のプリントにして配った」とは、大した英語力ですね。会話の時は、ワインを一口飲むと、ボキャブラリーが沢山出てくるのではと思うのです。(私はさっぱり、ダメですけど)
飲みすぎて、ヘベレケになって、ジョークを言うと、刺されますよ。
何故、長尾先生は、女の人に刺されるのでしょうね?
Posted by 大谷佳子 at 2012年06月17日 01:15 | 返信
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