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「状態が悪くて家に帰せません」という病院の錯覚

怒りを持って書こう

2012年06月26日(火)

今月号の月刊文藝春秋を読まれたかたから、尊厳死を前提とした在宅依頼が続いている。
病院では延命治療を絶対に止めてくれない、という趣旨の在宅依頼。
家族がいくら頼んでも「倫理委員会での決定」という名目で中止も撤退もしてくれない。

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2週間以上、意識は全くない。
不治かつ末期。
家族は最期の1日だけでも家に連れて帰りたいと担当医に懇願。

しかし病院は、延命中止も退院も、かたくなに拒否。
「医師が逮捕されるから」も理由として告げられた。
毎度のことだ。

家族に言う。
「明日、脱北退院してください」
しかし、それも叶わない。

「状態が悪くて家に帰れる状態ではない」

アホか!と言いたい。

病院の都合で、「死」を決めている。
本人の尊厳も家族の意向も、倫理委員会で無視。
在宅なんて、ザの字も出ない。

酷い、酷過ぎる。
錯覚から早く、目を覚まして欲しい。
驕りに気が付いて欲しい。

超一流病院がこれだから、普通の病院は言うに及ばない。

家族は泣きながら私に訴える。
平穏死の本を見せても「そんなものは嘘だ」と言われたと。
悔しくて一刻も早く病院を出たいと。

私は決意した。

「平穏死」はまだ全く認知されていない。

医師の9割以上が知らない。
おそらく99%。
ということは、国民の99%はまだ「平穏死」を知らない。

7月20日に発売される拙書
「平穏死・10の条件」は今日あたりに脱稿だ。

これを全国の医療者に読んで欲しい。
しかしきっと読まないだろうから、
市民の皆さんから薦めて欲しい。

私のモチベーションは、この35年間、
「怒り」である。
その集大成を、この本に込めた。

みんなに聞かれるが、患者さんと家族が可哀そう、
ただそれだけ。

医学部を目指したのも、ある大学病院への怒り。
その大学病院は、35年前と何も変わっていない。
いや、医療が進歩した分、酷くなっている。

急がなくては。
頑張らなくては。

今日もまたひとつ、「尊厳」が奪われた・・・

医療とは、「尊厳」のためにある!

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この記事へのコメント

自分は、回復期リハ病院で勤務していますが、やはり「この状態では、在宅に返せません」と施設を勧めるリハスタッフがいます。
在宅での生活そのものが、想像できていないがための悲劇であると…
家族の介護力も加味して考えなくてはなりませんが、あまりにも在宅の強みがわかっていないことに、腹立たしさを感じます。
一看護師が在宅を押しても、多勢に無勢………
全国に、長尾先生がいてくれると良いなぁ~

Posted by ジジ at 2012年06月26日 08:32 | 返信

先生の魂の声が直球で伝わってきます。

私のママ友にも看護師さんやケアマネさん、ヘルパーさんなどの職種の方が何人もいますが、在宅医療の話になってもイマイチ反応が鈍いのです。え~?なんで?と感じます。
もしかしたら、自分や自分の大切な人がその立場になったことがないの?それって大学や専門学校では教わらないの?

もうすぐ1年の半分のケガレを祓うとされる「大祓」の日ですね。
その大祓日生まれの先生。医療現場を覆う暗雲を次回作のご著書でかき消して下さい。
先生の歩みがドキュメントになってNHKで映像化されることを夢想しています。

Posted by チズ at 2012年06月26日 09:34 | 返信

「閉ざされた病院」ですね。
人の命の重さよりも、他に大事にしたいものがあるんでしょうか?
もう少し広い視野で、その人とその人をとりまく人達の人生を考えて欲しいものです。

Posted by 甲斐 at 2012年06月28日 01:15 | 返信

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