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尊厳死法制化の現状(産経新聞連載シリーズ最終回)

日本も世界も終末期問題で悩んでいる

2012年07月01日(日)

産経新聞・兵庫版に連載中の、「平穏死シリーズ第8回目」を昨日朝刊転載させていただく。
6月30日は私の誕生日なので、当日ということでプロフォールの年齢を54歳に訂正された。
おりしも7月17日にブックマン社から「平穏死・10の条件」が全国発売されることが決定。

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平穏死シリーズ第8回 尊厳死法制化の現状

           日本も世界も終末期で悩んでいる

 超党派の国会議員110余名による「尊厳死法制化」の法案作りが昨年末から活発化しています。6月6日の本年第二回目の総会では「本人が延命治療の拒否を文書で意思表示していれば、2人以上の医師が不治かつ末期と判断すれば延命治療を差し控えても医師は免責される」という内容の素案が議論されました。その「差し控え」とは、延命治療の「不開始」だけか、「中止」だけにするのかが現在議論されています。あくまでリビングウイルを表明している人だけを対象とした法案です。今国会に法案が提出されるかは微妙ですが、7年目になる法制化議連の活動は佳境にさしかかってきました。一方、今年に入り「平穏死、尊厳死」や「終末期医療」についてのメデイアの関心が急速に高まっています。いよいよ終末期議論は、国民的議論になりつつある中での尊厳死法制化議論です。

 
 先週、スイスのチューリッヒで「死の権利・世界連合総会」が開催。世界24ケ国の46の尊厳死団体が集合。私も日本代表として参加してきました。ちなみに12.5万人もの会員がいる日本尊厳死協会は、会員数では世界最大の団体です。さて、スイスには尊厳死を請け負う組織が2つあります。「EXIT(エグジット)」と「
Dignutas(デイグニタス)」。前者はスイス住民のためのNPO組織で、後者は外国人も受け入れる尊厳死組織です。後者はチューリッヒ郊外に「看取りの家」を持ち、近隣の病院と協力して尊厳死が行われていました。私も現地を見学しましたが、正直、自分がやっている「在宅ホスピス」の方が全然いいと思いました。イギリスやドイツは日本と同様、終末期医療に保守的な国なので、医師が主導してスイスに渡り尊厳死していました。大半が末期がん患者さん。余命2週間程度の患者さんに医師が緩和医療として麻酔薬の一種を注射したり飲ませたりして死を迎え骨になって祖国に帰るのです。ちなみにこれは世界では「尊厳死」ですが、日本では「安楽死」として扱われ、もし国内ならば医師は殺人罪で逮捕されます。末期がんの在宅患者さんに時に言われます。「先生、お願いですからスコーンと死ぬ薬を注射してください」「そんなことをしたら、殺人罪で逮捕されて牢屋に入れられるからできへんわ」。そんな会話は私の日常だけではなく、実は世界中で交わされていることを知りました。日本では老衰や認知症が中心ですが、外国では末期がんが中心です。国際会議の場で尊厳死させた罪で1年半も投獄された医師や、安楽死が認められるようにしたオランダの医師と意見交換しました。てっきり、欧米は日本よりかなり進んでいると想像していました。しかしよくよく話してみると、様々な意見があり本質的には日本とさほど大きくは変わらないという印象を得ました。文明が進歩すれば医療も進歩します。すると必ず終末期問題に突き当たるのが先進国の宿命です。日本も世界も、終末期医療で悩んでいます。欧州はキリスト教という大きな壁を乗り越えながら、一歩ずつ議論が進んでいます。フランスは、2005年にレオネッテイ法が制定され、緩和医療を軸にした尊厳死までの具体的な行程が法律で示されました。日本における終末期議論はこれからが本番です。7月中旬には「平穏死」を叶える方法を書いた著書が出版されます。よろしければ読んでください。(終わり)

キーワード:安楽死

薬剤等で人為的に寿命を縮める医療行為。自然な寿命を見守る「尊厳死」とは別物。日本では法的に認められておらず殺人罪となる。オランダ、ベルギー、アメリカの一部(ワシントン、オレゴン)では認められている。

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