このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

寒天固形化による胃ろう栄養

2012年07月07日(土)

名古屋のふきあげクリニックの蟹江治郎先生に寒天による固形化栄養の講演の司会。
蟹江先生は230枚のスライドと、動画と、実演で、固形化の意義を熱心に教えてくれた。
事情が許せば、固形化栄養剤の「ハイネゼリー」(大塚製薬300円)を使ってみたい。
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 

蟹江先生は面白すぎる。
どこか天才的な先生。ファンになった。

固形化栄養剤研究の動機を聞いてみた。
我々が普段、食べるのは固形物だ。
しかし胃ろう患者さんはずっと液体だけで不自然だ。

そんな素朴な疑問から固形化に拘ったところが凄い。
これから日本中が、長期的は固形化に向かうだろう。
半固形化という概念の中に固形化も含まれるそうだ。


在宅における胃ろう(PEG)合併症管理と

寒天固形化栄養の実践

ふきあげ内科胃腸科クリニック 蟹江治郎先生

 

●胃ろうは10分でできるが合併症の頻度は少なくない(3割?)

胃ろう合併症は、前期と後期に分けて考える。

「胃ろう」といいながら胃にチューブを入れているだけ。

ろう孔が形成され、交換可能になるのは3~6ケ月後。

 

●後期合併症(10%)

 ・胃液が漏れてくる=栄養剤リーク

 ・バンパー埋没症候群

 

●栄養剤リークへの対処

・栄養剤の粘度増強や固形化

・PEGカテーテル経のサイズアップは絶対にしてはいけない!

・締め付けも絶対にやってはいけない!

 

・リーク症例のろう孔部は、テイッシュこよりで挟む

・ガーゼは=布オムツ=好ましくない

・こより=紙おむつに相当

・こよりで充分

 

●嘔吐への対応

 1栄養剤の固形化

 2胃ろうの先端を小腸(空腸)におく

●胃潰瘍=胃の中にできるじょくそう、と同じ

 

●チューブの誤挿入

 腹くう内への誤挿入は稀にある。

 誤注入したまま栄養剤を入れると新聞沙汰になる。

 

 ・交換時期が早すぎる。

 ・ろう孔が長すぎる

 ・ろう孔が斜めになる  などの要因がある。


 ・交換後、痛がり続けるひとは誤挿入が怪しい

 ・最初の交換は必ず3~6ケ月後

 ・ろう孔の方向を確認する

 

●胃内にあることの確認法は色素水法かPEGスコープによる

・お茶を入れてあとで確認する

・ほうじ茶やジャワテイ

 ・ガイドワイヤー付きの交換がいい

 

●埋没症候群の予防

ろう孔完成後は、時々チューブをクルクル回す

1~2cm必ず余裕を持たすことが大切

 

●胃ろうは人工栄養の選択肢にすぎない

何故、液体なのか?という素朴な疑問が研究の原点。

液体でないとチューブを通らないから?
 固形化栄養剤は、16Fr以下の接続部は狭いかも。

 

●蟹江先生が固形化を唱えて10年経つ

・寒天でゲル化して固める。

・重力に抗して形態を保たれているものを「固形化」と呼ぶ。

・固形化経腸栄養

・論文登場順でのプライオリテイ

半固形化は2004年~

固形化は2002年~

・流動性を減少させる(=最適化という)

 

●固形化の意義

・GERD、下痢、高血糖、栄養剤リークも改善する。

・従来、嘔吐下痢が怖いので体を起こしてゆっくり注入
  していたのが、
短時間での注入が可能になる

・寝たままでの注入も全然可能

 ・誤嚥性肺炎の防止効果があるという論文もある
  口腔内の雑菌の誤嚥の主因なので関係無いという意見も

・GERDの防止ができるという趣旨の 論文もある。

・血糖の改善効果=固形化で血糖変動が安定

→血糖管理が容易になる

 

●じょくそう予防効果もある

 

●ゲル化の条件

・粘度を増さない

・とろみ剤ではダメ

・寒天を用いることが鍵

・寒天は海藻からできた天然の抽出物

・ダイエット効果もある

・高血糖を抑制し、コレステロールの上昇を抑える

 

●固形化の実際

・寒天は2分間 煮詰める

・数分間で注入する

1回で(300~)500ml注入する。

・注入後、少量の「空気」でフラッシュ。

・従来2時間かけていた注入→10分で大丈夫となる!

・牛丼と同じ 固形物を5分で食べても生理的と言える

・半固形化=粘度上昇

・粘度の単位=パスカル秒

2万ミリパスカル量が適した粘度

 

●寒天固形化栄養剤

=「ハイネゼリー」がいい!
 自分で寒天化するか
 既存のハイネゼリーを使うか。

 

 ●テリミールソフトやPGソフトはフラッシュしても管に残る

 これらの実際は、You tubeの「固形化栄養」で見られる

 

 寒天は付着性を高めることなくゲル化が可能

 

寒天のほうが喀出も容易

注射器の目盛が消えるまで使える

 

●寒天でヨード過剰にならないか?

ヨードはほとんど入っていないから大丈夫

無視できる範囲

 

●便秘になる?

下痢は減るが便秘になることあり

 

●水分補給は?

液体の注入は行わない(必要がない)

 

●薬剤注入はどうする?

簡易けんだく法で、栄養剤とは別に注入

 

●酢酸水の充填は不要

 

●「ハイネゼリー」投与時の水分投与

「水寒天」か「OS1ゼリー」で行う

 

 ●胃ろうの3大合併症

 1 栄養剤リーク

 2 嘔吐

 3 下痢

 

2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ