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往診料っていくらかかるの?

2012年07月15日(日)

産経新聞兵庫版の連載「在宅療養シリーズ第二回」は、医療費について書かせて頂いた。
7月14日(土)の朝刊から転載させていただく。
実際の医療費は3段階に分かれていて複雑だ。記事に書いたのは機能強化型の話。
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在宅療養シリーズ第2回 往診料っていくらかかるの? 

 在宅医療の自己負担の実態   長尾和宏

 

 お医者さんに面と向かって聞けないのが「お金」の話。考えてみれば、医療の世界って「料金表の無い寿司屋」のようなもの。私も時々、歯医者さんに行きますが、会計時には不安になります。歯のレントゲンを撮って、歯や歯垢を削って、丁寧な説明を受けて、さて一体いくらになるんだろう?この気持ちは、みなさまも同じだと思います。お医者さんや看護師さんが家に来たら一体いくら取られるのか?不安で不安で仕方がないのが、患者さんというものでしょう。以前、死にかけなのに在宅医療を断った患者さんがいました。よく聞くとやはり「お金」の心配でした。というわけで今回、次回と、在宅医療の料金体系について分かり易く解説します。

まず在宅医療費とは、お医者さんの訪問診療と往診から成り立ちます。訪問診療とは、お互いに打ち合わせた日時に訪問すること。病院で言えば回診に相当します。一方、往診は呼ばれて出向くこと。この2つに、さらに24時間連絡体制の管理料を合計したものが、在宅医療の医療費です。24時間連絡体制の管理料とは、医者の携帯電話の番号を教えて24時間対応し、必要とあらば往診もするという契約のことです。あのセコムの基本料金のようなもの、と言ったほうが分かり易いかもしれません。

 さて当院のような機能強化型在宅療養支援診療所の場合、標準的なケースで試算してみましょう。訪問診療料は1回830点です(1点は10円なので8300円)。一方、往診は720点です。但し夜間(日没から22時まで)に往診した場合は2220点、深夜帯(22時~6時)は、3220点と高くなります。さらに24時間連絡体制の管理料(在宅時医学総合管理料)は1ケ月4600点です。これらの合計が1ケ月の医療費です。たとえば週1回訪問診療を受けて、月に1回夜間往診を受けた場合、830x4+2220+4600点=10140点となります。1割負担の方は10140円、3割負担の方はその3倍が自己負担金となります。ただし青天井ではありません。自己負担額には上限が定められています。70歳以上の一般所得者方は12000円、低所得者は8000円が1ケ月の上限額です。一方、現役並み所得者の上限は44400円と決められています。

分かりにくいですか?しかしこれ以上、単純化できないのが医療費です。これだけは覚えておいてほしいことは、70歳以上の一般所得者の上限金額は12000円であること。

たとえば末期がんで、毎日、医者と看護師が来ても最大12000円です。訪問看護は、末期がんや神経難病などの場合は、医療保険扱いになり医療費に含まれます。それ以外の落ち着いた病状であれば、介護保険扱いになるので別途自己負担が必要です。介護保険での訪問看護は、ケアマネージャーがケアプランに組み入れることが必要です。但し、病状が不安定な時は、医師は特別指示書を発行し、訪問看護を一時的に医療保険に切り替えることができます。2週間を2回、すなわち4週間を限度にこの「特例」が使えます。さて7月17日に拙書「平穏死・10の条件」(ブックマン社)が発売されます。よろしければお近くの書店でお求めください。

 

キーワード:機能強化型・在宅療養支援診療所

2006年、24時間体制で在宅看取りまで行う診療所を在宅療養支援診療所(在支診)と定めた。さらに今春、常勤医3人以上、年間看取り2例以上、年間緊急往診数5例以上を、機能強化型在支診とした。

 

 

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この記事へのコメント

初めて知りましたが、このレベルで機能強化型と名乗れるなんて、常識外だなあと言う印象です。関西弁って喋ったことないけど「どこが強化型やねん」って感じ←正しい表現か自信無し。
もし機能強化型に割増加算があるのなら(?)、この条件は月間の数値でも良い位では。

それにしても長尾クリニックは、雨ニモマケズ風ニモ負ケズに頑張っておられて、有言実行のお手本ですね。将来を考えて一つ分からなかったのは、管理料は当然ながら、定期的な訪問診療を受けていないと往診を頼めないのかということです。
外来通院していた人が急性に症状出て苦しくて通院できない時、往診は頼めるのでしょうか。それとも救急車を呼ぶべき?(終末期ではないと想定)

Posted by 梨木 at 2012年07月15日 05:07 | 返信

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