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発熱コール

2012年07月30日(月)

毎日、どれだけの発熱コールが携帯電話にかかってくるか。
「35度7分の発熱がありますが・・・」と、朝6時からかけてくるヘルパーさん。
「それがどうした」とは言わないが、日本人はいつからかくも弱くなったのか。
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介護のひとは
発熱=死ぬかもしれない
=救急搬送しなくてはいけない
=主治医に報告しなければならない
=お薬で、なんとしても解熱しないといけない
と、思っている。

全部バツ。

血圧もそう。

150もあります、で夜中に電話がかかってきる。
「はあ、そうでうか。ちょっと様子見てください」と言うと
「まだ150ありますが・・・」と早朝にまたかかってくる。

血圧が、180/140あるという人もいる。
どんな血圧測定してんのか?
ちょっとええ加減にしてよと言いたくもなる。

はっきり言おう。

そんなヘルパーは、お熱も血圧も計らないでほしい。
少なくとも、少しでも正常値を超えたらパニックになるような
ヘルパーさんは、バイタルサインを計らないでほしい。

もっと自然に診れないのか。
数字ではなく、直感で。
いつもと様子が違う、と言われたら、ドキッとするのだが。

今朝は、もっと酷かった。

朝5時に「Aさんの意識が無い」とかかってきた。

よく聞くと、
・夜中12時までは意識があって、普通に喋って、水も飲めた。
・それが、朝5時に見回ると、話は出来るが、起き上がれないと。

御丁寧にも、私と訪問看護師の両方にかけていた。

「ただそれだけなら、少し様子を見てください」と、電話を切ると、
「6時になって少し意識が出てきたが、旨く喋れない」とまたかかってきた。

しょうがないので訪問したら、
「今は普通に戻りました」と。

なんじゃそら!

要するに、ただ寝ていただけじゃないか。

5時間しか寝かせない。
そして寝ている患者さんを無理やり起して、意識が無いと電話するヘルパーが
当直をやっているのが現実の世界だ。

医療も酷いが、介護も酷い。
無駄なエネルギーを浪費させても、悪いとは思わない。
自分はちゃんと主治医に報告したと、自信を持っている。

よく「医療と介護の連携」というが、連携の前に、
夜中に医療者をたたき起す意味を考えて欲しい。

ヘルパーは休みがとれる。
しかし在宅医は、365日、24時間休みが取れない。
常にオンコール状態。

まるで土台が違うのに、さも当然かのように電話を鳴らす無神経さ。
少し想像すれば分かるだろうに。
冒頭に「深夜にすみません」や「お休み中すみません」とは言わない。

少々の発熱くらいで、夜中に起こさないで欲しい。
いちいち、そもそも発熱とは・・・と、数えきれないくらい説明してきたが。

ただ寝ているだけの患者さんを、さも重病人のように
あるいは死にかけのように、早朝から電話しないでほしい。

あんたは仕事が終われば、これから寝るんだろうけど
こちらは、貴重な睡眠をとっているんだ。
それにオオカミ少年みたいな電話が続くと、いざ本当の急変の時困るじゃないか。

・わずかなバイタルサインの変動をも見逃さないのがいい介護
・その変動を、深夜でも医療者をたたき起し、報告するのがいい介護
・熱や血圧や意識レベルを、深夜でもチェックするのがいい介護

きっとそのように教育されてきたのだろう。

介護教育の根本から変えないといけないのでは。

photo93.jpg 発熱だけで3時間の講義
血圧だけで3時間の講義
せめて、上記のような基本的な間違いを起さない教育が必要だ。

今からでも義務づけたら、日本の介護も少しは変わる。
ミニ看護師みたいな、ヘルパーやケアマネは要らない。

無知な施設系ヘルパーに悩まされる毎日だ。

そんな中での、「施設での看取り」だから
結構、難作業である。
 




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この記事へのコメント

養成に携わる者にとっては悩みどころですね、痛いところを指摘なさいました。たまたま、ひどいヘルパーにあたったのなら宝くじレベルですまされるのですが・・・。先生のこの文面を介護現場の“長”につきつけてください。そういう判断もできない職員を雇用しているのは“長”です。とにかく介護現場は人手不足。人材ではなく人手があればいいという発想で雇用している現場も少なからずあるはずです。いやいやかなりの数に上るでしょう。現場で介護職に就いている人の中には全く介護の教育を受けていない人もいます。見よう、見真似でやっている・・・。そりゃあ不安でたまりません。雇用後に、事業所がしっかり教育すればまだ救われますが、忙しいことをいいことに職員研修に関してはどこも手薄。「資質向上のためには自己研鑚が大切です」とテキストにはきれい事が書いてあります。もちろん、その通り。いくら“介護は実践から学ぶ”といっても介護福祉士教育カリキュラムと2級ヘルパーの講習時間とでは10倍以上の開きがあります。ヘルパーは百数時間の講習、4~5日の実習で現場に出るのです、しかも無試験で。恐いことです。基礎教育をないがしろにしてはいけません。数年前、国から「介護福祉士に1本化する」という打診があり、いいことだと思いきや、なかなか進まない。そりゃあそうでしょう。今のヘルパー数で介護保険を何とか支えているのですから・・・。しかも安価な報酬で・・・。働きながら通学もしくは通信で500時間以上の基礎研修を受けて国家試験を受ける・・・、どれだけのモチベーションが求められるか。質のいい介護を受けたけりゃ、先生のおっしゃる通り、介護教育を見直さなければいけません。でも、何回、見直していることか・・・。現状が追いつかないのです。しかし、その犠牲になっているのが良心的な在宅医だとは嘆かわしい・・・。介護現場の貧しさを思い知らされましたね・・・。

Posted by 岡村 ヒロ子 at 2012年07月31日 08:18 | 返信

2009年のお正月から母が寝たきりになって365日ヘルパーさんが入るようになりました。
長尾クリニックにお世話になるのはその年の9月からです。
私ごとですが、週に2日しかいってない私が臨時に呼ばれたことはその間ほとんどないのは奇跡だなと常日頃から感じていました。
当時は週に2回先生が来て下さってましたから、何かあってもよほどのことが無ければ先生の来られる日まで様子を見てました。
それから週に3回訪問看護の方の目があるとの安心感もありました。訪問看護の看護師さんが自分の判断で勤務内に先生に連絡を取って下さり指示を受けて、勝手に火種を消して下さっていたことも私どもの知らないところでもきっとあったのだと想像しています。
遠方から実家の介護に通い、一方私の家庭では2人の受験生もかかえている、そんな自分がなんとか生活が回っているのは不意の呼び出しがほぼないからです。
先生や看護師さんの声がどうか届きます様にと切に念じる次第です。

Posted by チズ at 2012年07月31日 10:14 | 返信

先生のお言葉をそのまま施設の管理者さん、もしくはケア会議で明言されたらいかがですか。

間に訪問看護師さんが入ることができていたら直接先生にオンコールはないでしょうが

24時間365日をうたっていらしゃるのを単に言葉通り受け取っているだけだと思います。

介護職員さんももしかしたら人員が少なくてほかにも大変な方がいて不安だから、かもしれません。

医療の方からケア会議を通じてこんな時にはオンコール、ほかに予測できる事態は病変についての

対処方法を医療に詳しくない介護職員さんにも話すことで先生の睡眠時間は保てると思います。

わざわざ訪問してしまわなくてもいいのでは・・・とも感じましたが・・・

先生も大変かとは存じ上げますが、介護に携わる方々にわかるようにあわてなくていいよ、と

教えて差し上げるのもお手間と思いますが必要と思います。

やはり、医療色が濃い方がいいんでしょうか。

ミニ看護師の方が現場では圧倒的に多いですよ。

医療者からどうされますか。

どんなふうに私たち介護職は変わっていけばいいのでしょうか。

下手に知識を得るのも危険と思っています。

Posted by ゆうこ at 2012年07月31日 10:22 | 返信

”なんじゃそらっ!”

・・・という言葉に
思わず吹き出してしまいましたwほんまにそうですねw
お疲れ様です。
なかなか表情や感覚でとらえられる人が減っています。
医療への依存をしている現代人みんなに言われているように思います。

Posted by きみきみ at 2012年08月01日 12:12 | 返信

先生は介護ヘルパーがお嫌いですか?
介護者がお嫌いなのでしょうか。
ケアマネさんや介護ヘルパーが、ミニ看護師にならなければならない現状を知っていただきたい。
命を預かる最前線で、医療の知識も経験もない介護者が、自分の判断一つで死ぬかもしれない人を抱える不安と恐怖を思いやる心を持っていただきたい。
そのうえで言うべきことを言っていただきたいと思います。

Posted by 桜 at 2012年08月01日 02:53 | 返信

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