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老老、認認の在宅療養
2012年08月11日(土)
老老、認認の在宅療養は稀ではなくなっている。
それなりにやりくりして在宅療養をされていることは多くの人は知らない。
8月4日の産経新聞・兵庫版に掲載された拙文を転載させていただく。
産経新聞・在宅療養シリーズ第5回 老老、認認の在宅療養
地域と施設の連携が鍵
ロンドンオリンピックで寝不足気味の方も多いでしょう。在宅患者さん宅を回ると、みなさん熱心にテレビ中継を観ていられます。きっと元気を一杯もらえるからでしょうね。
さて老人が老人を介護する「老老介護」が増えています。前回は、「おひとりさま」の在宅療養について書きましたが、「老老介護」についても触れてみましょう。老夫婦以外に、兄弟や親子の場合などいろいろな老老介護パターンがあります。100歳の親を、80歳の娘さんが介護しているようなケースも珍しくない時代です。要介護者が要介護者を介護する。しかしどちらかが入院すると、2人3脚は崩れます。その意味では、介護者の健康管理も重要です。介護保険制度の上手な活用もポント。ケアマネ選びは医者選びより大切です。介護保険だけでなく、障害の制度や医療制度など広い見識を有し、想いをよく聞いてくれて、スピード感と行動力があるケアマネさんを選びたいものです。
一方認知症の方が、認知症を介護する「認認介護」も時々あります。もちろん症状の軽い方が、症状の重い方を介護します。不思議なことに認知機能にかなりの障害があっても、同居人の介護は充分出来るという人がいます。本来優しい性格だからでしょか。また一人が認知症になれば、共同生活者も認知症になるのは何故でしょうか?おそらく糖尿病という共通基盤にヒントがあるのではないか。仲のいい御夫婦であれば、長年、食生活が同じです。若い時からのライフスタイルの歪みのツケが高齢者になってから出てきます。
老老にせよ、認認にせよ、近所のひとたちはやや複雑な思いで見守っています。下町には、困った時には手伝ってくれる「おせっかい」や「世話焼き」が健在です。ただ、みなさん火の不始末を心配されます。当然でしょう。ケア会議を開き、火の出ない調理器具に変えるなどの工夫をします。また老老や認認パターンなら、どちらかの施設入所や入院を勧められる場合が多い。しかし歳をとっても住み慣れた我が家で暮らし続けたい、と強く願う人も少なくなりません。本人が施設入所を希望することは少なく、大半は家族が大金を払って豪華な介護施設に入所させるパターンです。入所後、本人から「家に帰りたい」という電話がかかってきて返事に窮することがよくあります。高齢者には設備が整った場所より、多少狭くて不便でも住み慣れた自宅のほうが快適に過ごせる場合がよくあります。正式入所の前に、お試し入所の活用をお勧めします。
認知症療養の場として、これまでは精神病院が中心でした。統合失調患者さんの療養の場が病院から地域へと移行するのに伴い、精神病院は積極的に認知症患者さんを受け入れてきました。しかし最近、その認知症患者さんも精神病院から地域に移そうという国の方針が発表されました。たしかに住み慣れた地域・自宅に戻ったら、認知機能が回復した、病気の進行が止まった、というひとを多く経験しました。今後、「認知症も地域で」という流れに変わりそうです。そして「老老、認認」の在宅療養が標準であるという発想の転換も必要かもしれません。在宅療養であっても、ショートステイやデイサービスの活用が不可欠です。病院から地域へと流れが変わっても、介護施設との連携が鍵なのです。
キーワード 精神病院
日本の精神科の病床数は人口に対して世界で最も多く、入院期間も最も長い。WHOや国連は入院から地域への移行を勧告、厚労省は地域移行特別対策事業を発表し2012年までの数値目標を掲げている。
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