このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

完璧なる「平穏死」

2012年08月26日(日)

完璧なる「平穏死」を看取った。
在宅医療を受けずに、自宅で亡くなったのだ。
まるで映画「おくりびと」の世界、そのもの。
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 
その患者さんは、極端な怖がりの医者嫌い。
末期がん(おそらく)になって、ガリガリになっても医者を受診しない。

産経新聞の愛読者ということで、私を看取り医者に決めていたらしい。
まだタクシーで来院できるうちに、外来を数回受診された。

その後、来ないなーと思っていたところに、御家族から電話が鳴った。
「今、気がついたら息をしていません」と。

1時間前まで会話していたと。
最後の食事もまあまあ食べたと。

家族は警察介入を覚悟していた。
私が訪問すると、間違いなくがん死だった。

死亡診断書を書いた。

葬儀屋も紹介してほしい、といわれた。
断ったが懇願されて、電話帳を一緒にめくった。

家族葬でも大丈夫とか、最低料金八万円から
などの宣伝文句が並んでいる。

どれが相応しいか選んでくれという。
選べるはずがない。

しかし仕方がないので、ある葬儀屋を選び電話した。
家族でもないのに、不思議な気分だ。

この患者さんは、1度も往診も訪問看護も受けずに
また、死の壁も経験せずに、まさに眠ったまま逝かれた。

完璧なる平穏死、だと思った。

家族いわく、本人は実はそれを狙っていたらしい。
どんな医者にも見せずに、また私も手を一切煩わせずに
きれいに旅立った。

確信犯。

映画「おくりびと」には、医者や看護師は一切登場しない。
人の死に医療者は要らないという、強烈なメッセージ。
山本晋也監督の弟子の滝田監督は、凄い!

しかし現実には、死亡診断書を書いてくれる「かかりつけ医」が要る。

そのためには、
・何度か外来でかかり
・終末期であるという病状が客観的に分かっていて
・余命がわずかであると医者が認識していること、が必要だ。

以上を満たせば、別に在宅医療を受けていなくても
在宅看取りは可能なのだ。
ただしよほど意志が強い人か、怖がりの人でないと、こうはならない。

ここまで完璧な平穏死ははじめて。
また葬儀屋を選んで交渉したのもはじめて。
photo115.JPG
この患者さんを診た医師は私だけ。
私が最初で最後の医師。
まさに医者冥利につきる。

これもすべて産経新聞のおかげ。
家族は3年も連載している私を
心の底から信頼してくれていた。


2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

「家族は警察介入を覚悟していた」…その結果は…?
「家族は3年も連載している私を心の底から信頼してくれていた。」…先生を信頼するご本人をも、家族は信頼してたんですね。ご家族も「意志が強い人、怖がりではない人」だったんですね♪素敵な家族、おくりびとですね(^^)私も見習いたいです(*^^)v

Posted by あい at 2012年08月27日 02:27 | 返信

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ