新宿という街は、青春時代そのもの。

大学は、新宿東口を出て二丁目の前にある。
病院は、西新宿、ヒルトンホテルの横にある。

新宿南口は、どこか場末な西口とも別の独特な雰囲気があった。
ライブハウス・ルイード、ストリップ劇場があった。

さて、今夜は新宿駅・南口。

サザンタワーまでを歩くと、ここはどこの国かという雰囲気。
遠くに巨大な時計台が見える。
そうだ、ここはＮＹのマンハッタンだったんだ。

みたこともないビル群が立ち並んでいる。
面白そうなお店が一杯。

しかしもうオジンの私には関係がない。
若者たちの群れを眺めていた。

テイッシュ配りの少年に話しかける。
雑踏の中でも、働いている若者の体温を感じる。

この時代に生きていて良かった、とつくずく思いながら歩いた。
楽しそうに戯れる若者たちに、３０年前の自分を重ねて見ていた。

ストリートニュージシャンにも、ひとりひとり耳を傾けるのが、私の趣味だ。
無名の有望新人を見つけることは、砂浜できれいな貝を探す作業に似ている。

前回、放浪した時は、素晴らしいボーカリストを発掘し、
福島・東北を支援する会のエンデイングニュージックを担当してもらった。

新宿でスカウトして、神戸で歌ってもらった。
懇親会では、アカペラでも歌ってもらった。

東京駅北口や丸の内の開発も凄い。
しかし、新宿駅南口の変わりようはもっと凄い。

品川の手前にある大崎駅で降りた。
西口は適度に人が少なく、各施設が新しく、極めて快適だ。

ふらっと入ったトンカツ屋は、なんと新宿歌舞伎町にあるトンカツ屋の姉妹店だった。
昔懐かしい、キャベツ一杯と、スリコギゴマソースのトンカツとカキフライをたいらげた。

一人飯の、一人酒。

２６時間滞在ＯＫという変わったホテルのテレビをつけると、工藤静香特集が飛び込んでいた。
彼女のデビューから現在までの全てを、見事にレビューしながら、スタジオで熱唱している。

昔はなんとも思わなかったが、歳をとってしわくちゃになりつつある彼女は素敵だ。
歌は１４歳の時より、２４歳の時より、現在のほうが上手くなっている。

押尾コータローのギター一本をバックにした熱唱や、
絢香が静香のために作った新曲は圧巻。

大阪ビルボードの工藤静香の公演には行けなかったが
今夜のテレビで、それ以上のものを見てしまった。

来週は、キョンキョン。
そして、EXILEの ATSUSIの歌。
おっさんは、ホテルでテレビが一番だ。

新宿駅南口、大崎駅西口は、オジンには充分に異次元の世界。
異次元だが、自分はたしかにそこに存在する。
実存主義という言葉が、頭に浮かぶ。

今週は、本当に記憶が飛んでいる。
あれはいつだったか、思いだせない。

今週？
先週？
正直、とっさにわからない。

しかし、期せずして迷い込んだ異次元の世界に、充分に癒されている。
患者さんからの電話の時だけ現実に戻るが、また空想の世界に浸っている。

リーマンさんのブログを開くと、「中道」と書いてあった。
明日からその教えに従って、与えられた役割をこなしたい。