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お薬大好きな日本人

2012年10月24日(水)

日本人はなぜここまでお薬が好きなのか?
どうすればいいのか?
10月19日の産経新聞連載中の「医者の本音シリーズ第6話」より転載させていただきます。
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医者の本音シリーズ6回  お薬好きな日本人

             多剤投薬は誰が止める?

 

 日本人はお薬が大好きです。歳を取るに比例して病気が増えます。腰が曲がり、耳が遠くなり、血圧が上がり、尿が近くなり、便秘になる。この当たり前の現実をまずお薬で解決しようと考えます。医療は縦割りですから20もの医療機関の診察券を持っている人もおられます。仮に80歳で5つの病気があるとしましょう。5つの医療機関で各4種類のお薬をもらうと、5x4で簡単に合計20種類のお薬になります。なかには30種類ものお薬を抱きかかえて受診されるひともいます。「先生、どの薬を飲めばいいのですか?半分に減らしたいのですが、適当にみつくろってください」。初めて出会っていきなりそんなお願いをされる患者さん。お気持ちは分かりますが、元来、私にそれぞれのお薬の中止を指示する権限はありません。お薬の継続、中止、減量はそれを処方された先生に責任があります。従ってそれぞれの主治医に相談するように説明します。しかし「それができへんからここに来たんやないの」と、反対に怒られる始末です。(笑)

 
 そもそも日本人はなぜかくもお薬好きな国民なのでしょか。生活習慣病は、1に食事、2に運動、3に薬という大原則を、患者も医者も忘れ過ぎだと思いませんか。もっと「養生」を大切にして、自然治癒力を高める努力をするべきです。一方、お薬が極端に嫌いな患者さんに困ることもあります。そんな患者さんはそもそも医者には来ないのですが、よほど困ったので来られたのでしょう。相当進んだ病気が見つかります。止むを得ず最も大切な1種類のお薬を出しますが、それを飲まない患者さんがおられます。これもちょっと困ります。お薬に対する不安が極端に強い患者さんです。飲まないのも怖いし、飲むのも怖い。結局、禅問答のようになり「いったいどっちやねん?」と思います。お薬を飲むか飲まざるべきか、常に激しく揺れ動いている患者さんもおられます。

 
 お医者さん側にも責任があります。1つの病気に対して複数のお薬を出しがちです。内科はもちろん、精神科や整形外科もお薬が多いと感じます。高齢者はお薬の数に比例して、転倒のリスクが高くなることが知られています。各診療科とも、本当は1剤でいくべきですが、いきなり2~3種類を処方する場合が多いです。医学が発達すると医学会のガイドラインが発表され、1つの病気に対して複数の治療薬が推奨されます。医者はガイドラインに沿った治療を心掛けるので複数薬の処方になりがちです。そこに胃薬や整腸剤が加わるとすぐに数種類になります。1つの診療科だけならそれでいいのですが、5つも6つもの医療機関にかかるので、どうしても合計20種類以上になってくるのです。それぞれの診療科としては医学的に正しくても、一人の人間に対する投薬としてはとても尋常ではない数になるのです。まさに縦割り医療の弊害です。


 ではどうすれば多剤投薬にならないのか?それは通院する医療機関数を絞り、各医療機関で「お薬の種類を最低必要限にしてくれ」とお願いするしかありません。さらに、できるだけ守備範囲の広い、家庭医や総合医を志向するお医者さんを「かかりつけ医」として選ぶことも一法だと思います。

 

キーワード 家庭医

患者年齢疾患などに関わらず地域住民の健康を支える医師。家族とも密接連携を保ち予防治療リハビリなどを行う。状況に応じて専門医を紹介するのも重要役割欧米では家庭医と専門医明確分業されているが、日本ではまだ発展途上にある。

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この記事へのコメント

何のために、処方箋を出して薬局で薬剤師から薬を受け取る、医薬分業を推進したのでしょう?
まさか増え続ける薬剤師の職場確保のため???と思うのはうがった見方ですか?

Posted by ゆめさくら at 2012年10月24日 11:19 | 返信

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