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認知症科

2012年11月14日(水)

親が認知症のようだが、どこに行ったらいいのか分からないという相談が多い。
どこが認知症医療をやる気があるのか一目で分かるといいな、という人が多い。
「認知症科」の新設を日慢協の武久洋三会長が提言されたので、書いてみた。
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以下、医療タイムス11月号よりの転載。

冬の時代の診療所経営 町医者と認知症ケア(その2)  
                         長尾和宏

 

 認知症ケアに関するアンケートがあちこちから来ます。医師会、介護関係、市民団体など。どうせアンケートを取るなら一斉にやればいいのに、バラバラに来るのはエネルギーの無駄だなと思いながら答えています。こうした現実から見えてくるのは、1)地域における認知症ケアシステムが全く構築されていない、2)多職種協働という言葉はあるものの、認知症ケアにおいてはまだまだ絵餅の現状である、ということです。要するに、認知症患者さんは、どこにかかればいいのか分からなくて、市民も介護職も困っているのです。特にケアマネさんの悩みが深刻です。介護認定調査であれだけ注目される「認知症の項目」ですが、実際に診療する医師がどこにいるのかサッパリ分からなといういのです。 

 
 11月1日、日本慢性期医療協会の武久洋三会長は「認知症科の創設を!」と提案されましたが、まことに時機を得た提案であると思いました。こうした標榜科があると患者さんや市民やケアマネはとても助かると思います。前号に書いたように、医師は認知症診療が好きか嫌いかで、綺麗に大別されると考えます。数百人しかいない認知症専門医だけでは到底対応できないでしょうから、認知症診療の実績があるサポート医などに注目が集まるでしょう。「認知症を診たい」という意思を市民に明示できるようにすべきだと思います。なぜなら、認知症の患者数があまりに多く、「地域」という面でないと対応しきれないからです。標榜にあたっては、病院、診療所を問わず、なるべく緩やかなハードルであることが望まれます。

 
 さらに認知症患者さんの肺炎などに臨機応変に対応してくれる地域の病院を育てることが急務です。重篤な肺炎を起こし、本人・家族が入院を希望した場合、認知症があると言っただけで断る病院が多いです。そんな中、入院させてくれる病院はわれわれ在宅医にとっては「地獄に仏」に見える時があります。受け入れてくれる慢性期病院のさらなる評価も重要課題です。さらに地域包括ケアシステムの中での認知症患者さんのレスパイト入院、ないしショートステイ機能の充実を望みます。これは、ご家族の願いでもあり、地域包括ケア推進の観点からも必須のところです。認知症ケアには、介護福祉、行政、NPOと協働しないと絵餅になります。全国の先進事例を参考にして、その地域、地域の実情に応じた認知症ケアシステムを模索すべきで、我々診療所もできるだけ協力すべきです。

 
 ところで、がん対策基本法や肝炎対策基本法があるのに、どうして認知症対策基本法が無いのでしょうか?そんな法律を作ったところで国会議員さんは票にならないからでしょうか。がん対策に掲げてある「早期からの緩和医療」と同様に、「早期からの認知症対策」だと思います。もう差し迫った事態のような気がします。超高齢社会とは、認知症社会とも言えます。もはや認知症を特殊な病気と考えず、ケア主体の療養にもっと力を入れた方が国益にかなうと思います。がん対策基本法ができたのが2006年。在宅療養支援診療所制度が創設されたのと同じ年です。あれから6年経ちましたが、まだ今年も「在宅医療元年」と言われています。6年先、10年先を見越して動くべき時ではないでしょうか。

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この記事へのコメント

「軽い認知症、多量の尿漏れ、足元のふらつき」のある80代の女性が、ショートステイで、疲労して、自宅マンションで、倒れたのをきっかけに、信じていたキリスト教教会の信者の知人が医師の妻だったので、「この人は、痴ほう症だから、施設に入れないと、危険だ」と言われて、鶴の一声で、施設に入れられました。
その間、病院内で、大腿骨折したり、親戚にわずかばかりの財産やマンションの権利書も盗られてしまったり、大変な事ばかりありました。
私の母も脳神経外科に、「あんたはアルツハイマーだ!」と言われて、物凄くショックを受けました。
数年後、その脳神経外科医がC.M.の研修会で「患者さんやその家族に、あんたはアルツハイマーだと頭ごなしに言ってはいけません」と言っているので、呆れました。
母の主治医は「陳旧姓脳梗塞」と主治医の意見書に書いて下さったので、母も納得して、安心しています。
それらのことから、認知症専門医認定制度があれば良いのになあと思う事はあります。
そういえば、昔、「精神病院」と言うのがありましたけど、今は有りませんね。

Posted by 大谷佳子 at 2012年11月14日 11:17 | 返信

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