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化学放射線療法

2012年12月02日(日)

抗がん剤と放射線療法を一緒に行うことがある。
化学放射線療法と言う。
12月1日の産経新聞・兵庫版から引用させていただく。
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産経新聞・第4話  化学放射線療法

  放射線と抗がん剤の組み合わせ

         

がんの三大治療のひとつにあげられながらも、馴染みが薄いのが、放射線治療です。がんの治療に放射線を使う患者さんの割合は、アメリカでは60%ですが、日本では25%です。利用率に実に2倍以上の開きがあります。何故でしょうか?まず、いきなり放射線科に行くシステムがありません。他の診療科で作成した紹介状を持って放射線科を受診するひとが大半です。放射線科の医師の仕事は、画像診断(CTやMRIを読影する仕事)と放射線治療に分かれます。内科と外科では仕事が全く違うように、放射線科のなかでも診断と治療では、同じ放射線科といえども全く別の領域なのです。


 日本の医学部の放射線科の教授の8割は画像診断で、放射線治療を専門とする人は少数派です。日本には26万人の医師がいますが、放射線治療専門医は、数百人しかいません。80の医学部のうち、放射線治療の講座を持つ医学部は、たった12校。医学部6年間で放射線治療について習うのは平均300分程度で医師国家試験にもほとんど出題されません。2人に1人ががんになり、3大治療が用意されている時代の割には、お寒い現状です。

放射線治療機器は高価ですが、それを担当する医師の診療報酬は驚くほど低い。その結果、放射線治療医を目指す医師は極少数です。一方、世界の人口は65億人ですが、その2%にも満たない日本で、全世界の抗がん剤使用量の20%以上が使われています。いかに日本のがん治療が抗がん剤に偏っているか、お分かりいただけるでしょう。


 抗がん剤は血液を介して全身を巡り、がん病巣を攻撃します。そこで放射線療法を行う時に、抗がん剤を併用するというやり方があります。それを「化学放射線療法」といいます。抗がん剤と放射線療法を同時に行うことで、治療成績を向上させるという狙いです。頭頚部腫瘍、食道がん、肛門がん、膀胱がん、子宮頚がんなどがその対象です。肺がんや肝臓がんにも適応されることがあります。あくまで放射線治療が主体で、それに合わせて抗がん剤治療も行うことで、相乗効果を狙います。2つの治療法を同時に行いますので、当然、副作用の心配があります。しかしこの治療法によって、非小細胞肺がんでは5年生存率は、2~4倍に向上しました。現在はピンポイント攻撃ともいえる分子標的治療薬と放射線治療の併用が検討されています。このように放射線治療も日進月歩ですので、お近くのがん拠点病院のホームページを開いて、情報収集してください。


 放射線治療の最近の進歩で特筆すべきは、定位放射線治療でしょう。これも「ピンポイント照射」といったほうが分かり易いかもしれません。照射したい部位、すなわち腫瘍のみに狙いを定めて照射します。無駄打ちが少ないので副作用が減り、治療費も安くなります。このピンポイント照射は、肺がんや肝臓がんに使われています。それが可能な施設は、全国で百数十ケ所あります。


 がん治療=抗がん剤、ではありません。放射線治療やそれとの組み合わせという選択肢を、頭に置いておくべきだと思います。また高齢者には放射線治療のほうがおススメである場合が増えてきています。(続く)

 

キーワード 化学放射線療法

がん治療において、治療効果の増強を目指していくつかの抗がん治療の組み合わせが行われている。なかでも放射線治療と抗がん剤の併用は化学放射線療法と呼ばれ、根治を目指す放射線治療のなかでその割合は増えつつある。

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この記事へのコメント

肺がん患者の家族です。いつも、拝見しています。
今年は、ガンを始めとして医療について、入門偏を学んだ年でした。

ガンというと、大病院へ行き、先生に「お任せする」というものだと思っていたものの、勉強をしていくうちに「抗がん剤って何?」と考えるようになりました。セカンドオピニオンで東京の診療所へ行き、そこで強度偏重放射線治療を勧めていただきました。 関西に帰り、できるだけ近くで受けようとしたところ「肺炎になるからダメ」と言われました。東京の先生に問い合わせ、その先生より放射線治療専門医に確認してもらったところ、使用するグレイが関西と東京では異なり、関西では強くて副作用もあること、東京では少しずつ時間をかけて治療してくれることを学びました。

家族で話し合い、関東にマンションを借り、1ヶ月半ほどかけて毎日、少しずつ治療をしました。現在は帰阪しています。治療時の副作用はさほど大きいものではありませんでしたが、これから半年間が気をつけなければいけないといわれています。

同時に、休眠治療で、低用量抗がん剤もおこなっています。僅かな量の点滴を毎週と、経口薬(顆粒)を、飲める範囲だけ。副作用を感じたり、白血球が下がったりすると飲む量を減らします。(放射線治療後は2-3週間に1度ほど。)

ガンは小さくなったものの、転移が認められるため治ることはなく延命です。 その延命に副作用を我慢しながら生活するのはあまりにも辛すぎます。

標準という治療をつくり、生存曲線グラフでの説明もあるなかないのか・・・。「とにかく入院」といい、治療を執行してしまう、まるで実験のようにしてしまう医療を全ての人が望んでいるとは思えません。

私の友人は、放射線と標準的抗がん剤の副作用で亡くなってしまいました。どれだけ辛かっただろうか?「抗がん剤が、イヤだ」と言っていたのに・・・治療と間違っていました。 そして、「がんばって!」と言ってしまった無責任さに、後悔の気持ちしかありません。

抗がん剤を憎み、自分の無知さを更に憎みました。 けれど、全ての治療を放棄するのではなく、その間の治療があってもいいのではないかと考えるようになりました。

「休眠治療、オーダーメイド治療 -- 個々人に合った少量の抗がん剤治療」を否定する方もいるようですが、私は、旅立つその日まで、普通の生活を送り、美味しいものを食べて、キラキラと輝くような思い出をたくさん作る。それが、患者や家族が求める治療のひとつでもあると思っています。少なくとも私たち家族にはそうです。

こうしたことは、家族だけでは不可能です。研究をおこなわなければならず患者数の多い、大病院でも無理だと思います。
地域医療に携わってくださる診療所やクリニックの先生方のご協力が必須です。多くの場所で、患者の生活を支え、そしてその先にある最期まで温かく診てくださる先生がいる。それは患者にとって、家族にとって、どれほど温かいものであろうかと思います。

Posted by よしみ at 2012年12月03日 01:23 | 返信

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