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医師による自殺幇助法

2012年12月11日(火)

米国も終末期医療で揺れている。
日本とは異次元の議論だが、医師による自殺幇助法が認められているところもある。
マサチューセッツ州でも住民投票の結果について、以下、MRICから引用させて頂く。
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日本ではこれは、安楽死に相当し
もちろん殺人罪。

しかし、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、スイスなどの欧州、
アメリカの一部(オレゴン、ワシントン)では、認められている。

●医師による自殺幇助法(Physician Assisted Suicide Act)の住民投票


 そして3つ目として、マサチューセッツ州では前二者と同じくらい注目を集める投票が行われました。それは医師による自殺幇助(PAS)法、またの名を尊厳死法の可否についてでした。これは、末期がんの当事者や亡くなった方のご家族などを中心に、125,000人の署名が集められ、住民投票にかけられることになったのです。内容は、余命6か月以内と診断された時に、主治医とカウンセリング医師の承認がある場合に限って、本人が希望すれば医師が致死量の薬物を処方できるというものでした。

この医師による自殺幇助法を巡っては、賛否の議論が交わされました。最後まで自分の人生をコントロールする権利を主張する陣営、自殺そのものを許さない陣営など、政治的、宗教的、思想的、職業的にさまざまな団体、患者団体、障害者団体、医療専門職団体が、それぞれの主張を繰り広げてきました。


 このような状況の中で、マサチューセッツ州医師会は、自殺幇助(PAS)法に反対のスタンスを取ることが表明されました。反対の理由は、以下のようなものでした。1)PASは癒すものとしての医師の役割に根本的にそぐわない、2)余命6カ月という確実な診断はできないし、そうした予測は不正確である、3)数か月で死ぬと診断された患者がそれ以上、時には何年も生きるケースも少なくない、4)不十分な説明で患者が意思決定してしまうことへの予防策も、患者が死ぬよう教唆を受けて意思決定することへの予防策も、盛り込まれていない。


 投票後すぐに開票が行われて日付が変わってすぐの117日の午前2時、93%開票段階で、反対51%に対して賛成49%となりました。最終的には開票数275万で、合法化成立に38,484票の不足で、マサチューセッツ州での医師による自殺幇助法は否決されました。

 
 ちなみに、アメリカの中で医師による自殺幇助法が認められているのは、オレゴン州とワシントン州のふたつの州だけです。オレゴン州では2011年に114人、ワシントン州では70人が、合法的に死を迎えています。この法律を利用した人の特徴としては、ほとんどが白人で、高学歴で、末期のがんを患っていました。

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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

その「医師による自殺幇助法が認められている国」に長年住んで、かなりの修羅場も経験済みの現役看護師(=私)から、この国および医師による自殺幇助法が認められている近隣諸国の事情を少し書かせてくださいね。

たとえ安楽死が認められていてもそこに至るまでの手続きや法律があまりにも厳しくて、
なかなか患者さんの望む安楽死は行われることがなく、
文字通り痛みのせいで悶絶しながら死ぬのを待つだけという生き地獄が現実です。
それに加えて、訴えられるのを恐れて安楽死を断固拒否(もしくは回避)する医師が大多数です。

私自身、実際目にしたのは一度だけです。学生時代に末期癌の患者さんがたくさん入院していた病棟で実習中の時でした。
いくら医療や福祉が進んでいると言われている欧州でも、その頃は緩和ケアという理念がようやく医療関係者の間に広がってきて、緩和ケアに特化した病棟ができ始めたのは、近年になってからです。

私が実習中に経験した安楽死のシーンは、非常に落胆させられるものでした。
書類はすべて揃い、医師議会からの承認も倫理委員会からの承認も得て、法的にも100%のGOサインが出ていました。
患者さんはすでに麻薬による鎮静作用で穏やかな眠りについていました。
家族も患者さんの意思を尊重し、すでに最後の挨拶は済ませて待合室で待っていらっしゃいました。
あとは、医師が安楽死用の注射を点滴の静脈ラインを通じて注入するだけ、でした。

そのとき、ナースコールがその患者さんの部屋から鳴り響きました。
まさかその患者さんが鳴らせるはずもなく、
私はすぐに患者さんの病室へ向かいました。

そうすると、安楽死用の注射を持った医師がその注射を私に渡して、
「ここから注入して」と言うではありませんか!

もちろんのこと、自殺幇助行為が認められているのは医師のみであるので、
例え医師の監視下であったとしても、看護師にとってこの行為は全くの法律違反です。
実習生=学生なんて、論外です。
これは医療に関する法律の基礎の基礎、で「医師の監視下でも絶対にするな」と教官からもしつこく教えられていました。
自分の身を守るのは、自分しかいない。そのためにも、医療や看護に関するの法律はきちんと白黒つけて学んでおけと口酸っぱく言われていました。

それを思い出した私は実習の監督官をしてくれていた看護師をすぐに呼びました。
その看護師は、平静を装っていても目が泳いで声が上ずっている医師の態度を見逃しませんでした。
静かに、でも低く凄みの効いた声で、その看護師はこう言いました。
「安楽死の書類にサインしたのはあなた自身でしょう。 患者さんの希望を聞いてあげて家族の思いを受け止めた後に、皆の期待を裏切るような行為をしないでください。 できないというなら、私が証人としてこの件を学生を巻き込んだ法律違反として医師議会に提出します。自分の責任を持つどころかこれからの未来を担っていく看護師の芽を平気で摘んで捨ておけるような医師は必要ありません。 」

その医師は5分ほど悩んでからあちこちの別の医師に「お前がやってくれないか」と電話攻撃に出ましたが、書類にサインしている別の人間がその行為をしても法律違反になるため、結局は自分でやりました。
顔は真っ青、ては汗でべったり、指は震えて以上に震えていたのを今でも思い出します。

その看護師には今でもすごく感謝しています。その看護師からは、「この国と近隣諸国では安楽死が認められているのに、こうやって土壇場でキャンセルになることも多いし、そもそも安楽死までたどり着ける患者さんの方が圧倒的に少ない。何年も待っている間に患者さんが痛みで発狂しながら死んで行く。それが現実。 だから金銭的にも時間的にもある程度ゆとりがある患者さんはみんなここのカルテを持って、スイスの安楽死を専門にしている施設に行って亡くなるの。」

事実は小説より奇なり。。。とはよく言いますが、自分の看護師人生の中で経験した中でも一番衝撃的なもののひとつです。
私もこの看護師さんのようにこれからの未来を担っていく看護師や医師の卵たちを守って育てていけたらいいな、と強く思い、日々奮闘しております。

もうここに住んで長いですが、その中で私が感じたのは日本人の方が死というものに寛容なのではないか、ということ。
仏教の影響もあるのでしょうか?普通の 一般人の死に対する意識を比べても、日本人の方が死に対する姿勢が穏やかなように感じるのです。
だからこそ、先生がおっしゃる平穏死、尊厳死が自分で選べないもしくは選ぶことができないという現在の日本の医療世界の事実は非常に残念に思います。
敬虔なキリスト教の信者の方達は安楽死=自ら死を選ぶ=自殺と捉える人が多いので、最後の最後まで家に帰れず、家族にも会えず、狭く閉鎖的な真っ白で無機質な病室で、死にたくない、死ぬのは怖いと叫び、震えながら息を引き取る患者さんの方が多かったです。 学生時代に初めてそのような臨終を経験した時、 「どえらい職業を選んでしもうた。。。」 と自分の職業の重さ=命の重さを痛感しました。 今では全然大丈夫なのですが、その当時は 怖かったですねー。。。

長文失礼いたしました。

Posted by *snowflake* at 2012年12月12日 02:51 | 返信

衝撃です。
医療の実態もそうですが、日常的な死があまりにも悲惨です。
自分の周りではそのような死はありませんでしたが、それが死であるとしたら生きる事の意味さえ考えてしまいます。

良き生が良き死となる・・。
その意味をもう一度思いたいと思います。

Posted by 桜 at 2012年12月13日 06:35 | 返信

はーい。書き物とっても学びになりました。ふたたびトピックを楽しみにしています。今後もよろしくお願いします。

ナースの役割は人命を預かる役割です。だから大変で働く看護士がいるのが実際です。自分の正看護師としての能力を上達したいと考えたり、私生活の変動で復職する看護士がさまざまいます。そういう看護師が復職に成功するためには、素早く転職行動することが重要ですよね。

もっと詳しい情報は私のおすすめブログを見てください。

Posted by 看護師転職支援金 at 2016年06月21日 11:31 | 返信

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