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そもそも がんとは?
2013年01月04日(金)
12月22日は、そもそもがんとは、遠隔転移とは?で書かせていただいた。
がんって、どのように書いても難しい。
産経新聞 第5話 がんの基礎知識
そもそもがんとは?遠隔転移とは?
そもそも「がん」とは何でしょうか?また転移とは?私たちの体は、60兆個の細胞からできています。そのうち6000億~1兆個が毎日入れ替わり生命体として維持されています。それぞれの細胞の中に30億対のDNAが含まれています。細胞が生まれ変わる時に、30億対のDNAはコピーされます。しかし30億対もコピーすると、どこかミスプリ(エラー)が生じます。毎日、3000~5000個ものエラーが発生しているそうです。小さなエラーなら「p53」などのがん抑制遺伝子が修復してくれます。しかし、特定の遺伝子にエラーがおこると、その細胞は際限無く分裂・増殖する性質を獲得します。それが、がん細胞なのです。
がん細胞は、どこまでも大きくなり、正常な組織にいくはずの栄養も横取りしてしまいます。こうして分裂を繰り返して成長したがん細胞は塊を形成します。近くの組織に広がることは、「浸潤」と呼ばれます。血管やリンパの流れにのって、遠くの組織に「転移」します。がん細胞はどこの臓器に転移しても、原発巣と同じ性質です。たとえば大腸がんが肝臓に転移しても、その肝臓にある転移巣はどこまでいっても「大腸がん」の性格です。つまり肝臓という場に「間借り」をしているだけなのです。
がんの進行度をあらわす指標として「ステージ」があります。ステージ0~ステージⅣまで5段階に分類され、それに応じた治療方針が立てられます。ステージが低いほど治療し易く、根治が期待できます。逆にステージが高いほど治療は難しくなります。但し、ステージが高いからといって悲観することはありません。がん細胞の悪性度は、ひとりひとり違います。○○がんと言っても、みんな違います。また、同じ人でも、病気の時期によって悪性度は変化します。「ステージ」は、あくまで目安。もし遠隔転移があれば自動的にステージⅣになります。しかしそもそも「遠隔転移」とは、どういう意味でしょうか。
mmここでオリゴメタ(少数転移)について少しお話しします。昔は、がんはある程度大きくならないと遠隔転移しないと考えられてきました。しかし最近、結構早い段階で転移している場合があることが判明しました。たとえば骨髄に、小さな転移巣を形成したのち、そこで休止状態を維持したのちに、別の臓器に転移する。そのようながんも結構あるのです。オリゴメタとは転移巣が2~3ケ以下の場合を指します。遠隔転移があっても、長期生存が可能な場合があります。転移巣に、放射線治療や抗がん剤治療を行います。1mmのがんは10億個の細胞から構成されています。1ケのがん細胞が、30回分裂した結果がその数になります。その途中でがん細胞が剥がれて血流に乗って転移する可能性があります。従って小さな小さながんであっても、すでに遠隔転移している場合があります。血液検査で、流血中にがん細胞が検出されることがある。細胞レベルで考えていくと、遠隔転移はそう珍しくはないのです。そう考えるとやはり「ステージ」はあくまで目安にすぎません。がん細胞の顔つき(悪性度)や遺伝子変異のほうが大切です。しかし臨床現場では、そこまで調べきれなのも現実です。
キーワード p53
いわゆる「がん抑制遺伝子」の代表的なもの。p53は細胞死のプログラムを活性化させてがん化を防いでいる。しかしその機能が失われると、がんになる。
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