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抗がん剤の副作用対策
2013年01月04日(金)
副作用があるから、抗がん剤は嫌われる。
教科書的なことを復習してみた。
産経新聞・抗がん剤シリーズ第6話 がん診療連携拠点病院と町医者
抗がん剤の副作用、傾向と対策
実にいろんながんがあり、いろんな抗がん剤があります。昔ながらの絨毯爆撃型の抗がん剤と、ピンポイント攻撃型の分子標的薬やホルモン剤があります。それぞれのがんには、定められた標準治療というものがあります。ひとくちに“抗がん剤治療”といっても、その内容は実に様々であり、慶応大学の近藤誠先生のように単純にいいとか悪いとか言い切れるものではない、と私は思います。抗がん剤の問題点は、やってみないと効果が予測できないことと副作用です。今日は副作用を10個挙げて、その対策を考えてみました。
1)骨髄抑制。骨髄で白血球や血小板や赤血球を造る力が落ちます。赤血球の寿命は120日、血小板は10日、白血球の中でも好中球は1日以内とされています。もし白血球が500以下になれば、感染し易くなります。そこで白血球を増やすお薬であるG-CSFを注射します。血小板が足りなくなれば血小板輸血をします。2)味覚障害。舌にある味雷という味覚のセンサーが障害されます。また唾液を出す、唾液腺の働きも低下します。味が分かりにくくなることは、とても辛いこと。亜鉛製剤や亜鉛を多く含む食事で対応しますが、これがイヤで抗がん剤を止めたいという人も少なくありません。3)口内炎。免疫能の低下に伴い、口の中がただれて、痛みを訴えます。日常生活の中でお口の中を綺麗にしておく努力が必要です。4)食欲不振。食欲低下も深刻な副作用です。食べられなければ、体力が低下してしまい治療が継続できません。
5)吐き気と嘔吐。シシプラチンやエンドキサンなどの抗がん剤で出やすい症状です。大昔は1日中、ゲーゲー吐いているひとをよく見ましたが現在は、優れた吐き気止め薬が開発されています。6)下痢と便秘。腸の粘膜も障害されて下痢になるひと、反対に便秘になるひともいます。7)全身倦怠感。多くのひとが訴える症状。ただしがんの進行によるものか、抗がん剤の副作用によるものか、不安やストレスによるものかの見極めが大切です。ステロイド剤のほかに十全大補湯や補中益気湯などの元気にする漢方薬が有効です。看護師さんなどによるアロマテラピーなどの代替医療が効くこともあります。8)皮膚や爪の障害。アドリアシンというお薬は、もしその点滴が漏れたら大変です。また分子標的薬のイレッサやタルセバやネクサバールは、皮膚や爪に障害を起こすことが知られています。皮疹、爪周囲炎、手足症候群などです。9)末梢神経障害。オンコビンやエクザールやナベルビンというお薬で手足が痺れます。大腸がんではオキサリプラチンやシスプラチンやタキソール、タキソテールなどによっても手足が痛みます。10)間質性肺炎。分子標的薬のイレッサによる間質性肺炎がかつて騒ぎになりました。呼吸困難が出たら一気に悪化することがあるので早期発見が大切です。
以上挙げたような抗がん剤の副作用に街医者が関わる機会が増えています。全身倦怠感が強くなるとがん診療連携拠点病院まで通院できなくなるからです。専門病院と地域の町医者や訪問看護師さんとの連携が大切な時代になりました。それでは、よいお年をお迎えください。
キーワード がん診療連携拠点病院
どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう全国に397箇所の病院を国が指定。専門的ながん医療の提供、連携協力体制の構築、相談支援や情報提供等を行う。ネットで簡単に検索できる。
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