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認知症ケアこそが「地域包括ケア」
2013年01月04日(金)
地域包括ケアとは、認知症になても住みなれた地域で過ごせることである。
当たり前の話だが、当たり前ではないので書かせていただいた。
医療タイムス12月号 認知症シリーズ第三回(最終)
認知症ケアこそが「地域包括ケア」 長尾和宏
国を挙げての認知症対策が急がれています。認知症患者の増加に対応するためです。統合失調症同様、「施設から地域へ」という大きな流れの実践でもあります。しかし、独居や認認世帯や要介護同志の世帯など、地域での認知症ケアは実に多様です。各地で認知症や認知症ケア関連の勉強会がたくさん開催されます。来年は倍増するでしょう。その中で、間違って欲しくないことがあります。
まず認知症は決して暗い病気ではないという認識。隠したり忌むべき病気ではないこと、です。認知症になっても、住み慣れた地域で楽しんで生活している人が沢山おられます。昔の映画「恍惚の人」のイメージがあまりにも強く残りすぎています。寝たきりの認知症患者さんが、集団で飛行機やバスを使って旅行をしています。旅行をして世間の風にあたり、美味しい食事をみんなで食べると、普段見られない活き活きした反応があります。一方、施設の枠の中に閉じ込めると、出してくれ!と大声を出すのは当然の反応。快・不快がはっきり分かりますので、五感を満足させることが認知症ケアの要となります。
従って、周辺症状(BPSD)という上から目線用語もできれば死語にしたいものです。「目的行動」と言い換えるべきです。意味もなく彷徨う「徘徊」ではなく、買い物に行こうとして道に迷うだけなのです。暴れたり、大声をあげたりするのは、すべて理由があります。患者さんの立場から見れば、ケアが悪いわけです。それを薬で抑え込もうという発想は言語道断。目的行動の理由を考え、欲求を満たす方向のケアが求められています。
終末期医療が「キュアからケアへのパラダイムシフト」という言葉で語られるならば、認知症ケアとは、「ケアする側の論理から、ケアされる側の論理への変換」と言えるのではないか。そのような意識の転換が無い限り、上から目線の講習会が全国各地で開かれたところで、認知症患者・家族はハッピーになりません。こうしたケアの原点をしっかり押さえた研修内容であることを町医者として強く願います。
さて、そんな理屈はともかく「地域で認知症患者さんを支える」ためには、やはり多職種の連携が必須です。その「連携」とは、顔が見えることだけでなく、「ケアのマインド」を共有することです。間違っても、医師が認知症ケアのブレーキになってはいけません。 地域包括ケアの時代だと言われています。この10数年の多死社会を乗り切るには、これしか方法が無いのです。その地域包括ケアは、誰を対象にしているのでしょうか?末期がんでしょうか?違います。実は、地域包括ケアは紛れもなく認知症患者さんが対象だと思います。多職種がしっかり「まじくる」ことで、認知症の方を包含できる地域作りを目指すべきです。それこそが「地域包括ケア」であるとの持論で、今シリーズは筆を置きます。
最後に、去る12月3日、セブン&アイ出版から「胃ろうという選択、しない選択」という拙書が発刊されました。発売3ケ月で10万部を突破した「平穏死・10の条件」同様、本書もみなさまのご批判を頂戴できれば幸いです。
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この記事へのコメント
初めまして私も今日初めて義理の母がスーパーで万引きをしました、突然のことでびっくりです。今後の事を思うと何をどうして良いのかわかりません、義理の母は私たちが結婚して以来近くには住んでいますが、29年間一人暮らしをさせてきました。今日のところは警察の方も穏便に扱っていただきましたが、これからの事を思うと、どう言うふうにしていけば良いのか困っています、警察へ身元引き受けに行き、その場も含め一切怒らずした事は悪いことなのでお店と警備室の方へは謝ろうねとさとし、現場へ連れて行きました、これもこれでよかったのかわかりません、長尾先生の書かれたのを見て書かせて頂きました。
また何か参考に出来るような教えていただけるのであれば幸いです。
Posted by 義理の息子です。 at 2013年01月06日 02:42 | 返信
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