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院内事故調こそ望ましい

2013年02月16日(土)

迷走してきた「事故調議論」。
院内事故調に収束するのが正義であると考える。
以下、MRICから転載させていただく。
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院内事故調こそ、医療現場に相応しい事故調

 

この原稿は月刊「集中」2月号(131日発売号)より転載です

 

井上法律事務所 弁護士

井上  清成

 

2013216日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

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1. 中立的第三者機関から院内事故調へ

年明けの1月から、医療事故調に関する動きが活発化してきた。医療事故調(医療事故調査委員会)といっても、中立的第三者機関設立の動きではない。院内事故調(院内事故調査委員会)設立を中心とする動きである。

院内事故調こそが、医療現場に相応しい。

今までは、中立的第三者機関のことを医療事故調と通称してきた。しかし、医療現場に相応しい院内事故調をこそ、適切妥当な医療事故調としてとらえるべきである。この院内事故調こそ、これからは、医療事故調と呼ぶべきであろう。

以下、厚労省検討部会の構成員である中澤堅次氏の「中澤試案」、四病院団体協議会(四病協)の「四病協案」、全国医学部長病院長会議の独自案、といったそれぞれの動きについて、報道記事を引用しつつ紹介する。

 

2. 中澤氏が私案

18日付けメディファクス(じほう社)は、「医療事故調『第三者機関依存型ではいけない』中澤氏が私案」と報じた。

中澤堅次氏は、秋田労災病院第二内科部長であり、NPO法人医療制度研究会理事長であるが、現在、厚生労働省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」の構成員でもある。その中澤氏が、「医療事故調査の仕組みに関する私案を27日の同検討部会に提出する」らしい。メディファクスの取材に対し、「私案だが医療事故調は、医療機関から事故被害者・家族への徹底した説明を基本に構築するべきで、第三者機関依存型で構築されるものであってはいけない」と述べた、とのことである。

「中澤氏が提案する事故調査の仕組みは▽院内事故調査委員会と被害者・家族との間で、調査結果の説明などを徹底的に行う」「▽被害者・家族が院内事故調査委の説明に納得できない場合の受け皿として再調査委員会を設置する(民間の機関が望ましい)-との考え方で、あくまでも医療機関と事故被害者・家族を中心に位置付けている」らしい。中澤氏は、「『原因究明と再発防止を役割とする第三者機関を上部組織として機能させると、現場は指示待ち体質になり専門職の業務改善には結び付かない』と問題提起」した。

10年以上にわたって、済生会宇都宮病院の副院長や院長として、現場で医療事故への対処を経験してきた医師らしい中澤氏の提言である。今後は、厚労省の検討部会でも、この中澤私案を中心に議論が展開していくことであろう。

 

3. 四病協は院内事故調主導で原因究明

115日付け医療介護CBニュース(キャリアブレイン社)は、「四病協の医療事故調『最終案』が判明―院内事故調主導で原因究明」と報じた。

日本病院会、全日本病院協会、日本精神科病院協会、日本医療法人協会で構成されるのが四病院団体協議会である。通称を四病協(よんびょうきょう)という。各種の病院団体の中核と言ってもよい。その四病協の「医療安全対策委員会がまとめた、診療に関連した予期しない有害事象(死亡・重大事故)の調査制度の最終案が明らかになった。病院内に設置する事故調査委員会(院内事故調)が主導で事故調査を行い、再発防止のために、事例を匿名化して日本医療機能評価機構などに届け出るのが特徴」である。

この「最終案は、厚生労働省の検討部会でほぼ合意に達していた、第三者機関を創設し、院内事故調と二層構造にする構想とは、全く異なる仕組みとなった。」

また、「証拠制限の考え方を徹底させ、医療安全システムのWHO(世界保健機関)ガイドラインに準拠し、院内事故調が収集・作成した資料および報告書は、当事者に不利に使われないように配慮する。」「最終案では、原因究明や再発防止と、患者とその家族への補償など、『医療内』と『医療外』に切り分けたのも特徴だ。医療外では、裁判が行われたり、無過失補償制度の適用などが検討されたりすることになる。また同案では、異状死の警察への届け出義務を規定した医師法21条について、『その立法の精神に戻り、拡大解釈しないものとする』と明記した。」

四病協の考え方がすべての病院団体に広まっていくことが望まれるところである。

 

4. 機構案はNG、医学部長病院長会議

117日付けm3ニュース(エムスリー社)は、「『事故調』機構案はNG、医学部長病院長会議 院内調査基本の独自案を作成、3月公表目指す」と報じた。

記事によると、「全国医学部長病院長会議は117日の定例記者会見で、『医療事故調』について会見、日本医療安全調査機構の医療事故調査に関するモデル事業を現行のまま継続することを問題視、同会議として『医療事故調』案を作成し、同機構や日本医師会をはじめ関係団体に説明し、同案の実行に向けて取り組む方針を示した。医療安全体制の構築を目的とし、院内調査を基本とする『医療事故調』案になる見通しで、早ければ今年3月の公表を目指す」らしい。

「全国医学部長病院長会議は、『大学病院の医療事故対策委員会』委員長で、昭和大学病院長の有賀徹氏が中心となり、『医療事故調』案の作成を進める」とのことである。有賀徹氏は、前出の中澤堅次氏と共に厚労省の検討部会の構成員を務め、また、日本医師会の「医療事故調査に関する検討委員会」の委員でもあるので、厚労省や日本医師会の議論に大きな影響を与えることであろう。

全国医学部長病院長会議の「医療事故調」案の早期の作成と公表が待ち望まれる。

 

5. 院内事故調こそ、相応しい

以上のように、医療現場を良く知る医師達と医療団体が、医療現場に相応しい「医療事故調」案を提示し始めた。これらに共通する発想は、中立的第三者機関ではなくて、院内事故調中心である。もともと「中立的第三者機関」などという構想は、医療現場から遊離した、一部の弁護士や法律学者による机上の法律論にすぎない。医療現場に密着した医師達や医療団体は、今後は、そのような法律論に惑わされず、院内事故調中心の議論を進めていくのが良いと思う。

 

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