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あなたはがん派?認知症派?

2013年02月16日(土)

考えてみれば、産経新聞・兵庫版にも3年以上連載している。
兵庫県外のみなさまに読んで頂けないのが残念だが、このブログで紹介したり、
私のオフィシャルサイトから、過去記事のPDFが全部見ることができる。
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以下、今朝の産経新聞・兵庫版から転載させていただく。


産経新聞がンシリーズ第12回   究極の選択

あなたはがん派?認知症派?

 

2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死ぬ!これは現実です。一方、300万人を超えた認知症は、近い将来どこまで増えるのか?先日、認知症の権威の「高齢者の2人に1人が認知症になる時代が来る」との発言を聞き驚きました。実は私も近い将来、そうなると思っていたからです。2人に1人ががんになり、2人に1人が認知症になるならば、認知症にがんが合併することは決して珍しくないのは明白。「生活習慣病」という共通基盤があるからです。


 最近、別の認知症の権威の先生にこんな質問をしてみました。「認知症にがんが合併した人の、抗がん剤治療はどうしたらいいですか?」。その権威はこう答えました。「私はそのような例は一度も見たことがない。そのような例は極めて稀です」と。「そんなはずないやろう・・・」。医療がいかに臓器別縦割りなのか、むしろ市民のほうが知っています。認知症にがんを合併している人は、いくらでもいます。私自身もたくさん診ています。


 実は私はそのような人が大好きです。何故か。第1に、認知症があると、きつい抗がん剤治療ができないから、しなくていいからです。第2に、認知症があると、がんの痛みは強くないからです。第1は、外来抗がん剤治療では何時間も座っています。認知症の人はそれができません。まして入院生活ができない場合、入院しての抗がん剤はできません。抗がん剤をするかしないか、続けるか中止するか、効いているか、効いていないか、という迷いから解放されます。第2は私の経験ですが、おそらく真実ではないかと思います。本当は痛みを感じているが、上手く伝えられない、という面も当然あるでしょう。しかし、食物には敏感でも、痛みには鈍感になることが多いと感じます。最期まで麻薬が要らない人もたくさんいます。抗がん剤治療という選択肢が無いし、痛みは少ないし、認知症に合併したがんは、町医者的には非常にやり易いのです。「大変な患者さんですが・・・」と、病院からの紹介状には必ず書かれていますが、全然大変ではありません。


 話は変わりますが、私は講演会で必ず「がんで死にたいか?認知症で死にたいか?」と2者択一の質問をします。だいたい7対3で、がんで軍配が上がります。お医者さんに質問しても結果は同様です。今まで認知症が勝ったことは一度もありません。それほど認知症は人気がないのです。にもかかわらず、「どうせ死ぬならがんがいい」という本が売れているのですから、ちょっと不思議ですよね。私自身は50歳までは、がん派でしたが、今は完全に認知症派です。何故か?一度くらいお尻をペンペンされたり、ヘルパーさんにお風呂に入れて欲しいからです。認知症になっても喜怒哀楽は充分わかるし、何年も生きられます。一方、末期がんの平均在宅期間は、1.5ケ月です。断然、認知症のほうがお得だと思うのですが・・・。さらにいうなら、認知症にがんを合併したら最高!?なにはともあれ、男性は認知症になるまで生き残れるかが問題です。特養やグループホームは9割が女性ですから、男性には実に狭き門です。心筋梗塞にも脳梗塞にもならず、またがんにもならずに歳を取らないと、認知症で死ねないのですから。(笑)

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この記事へのコメント

良くわかりました。長尾先生の財力をもってすれば、
認知症にならずとも、自費ヘルパーさんにかしずかれて入浴することは
(しかも3人でも4人でも?)可能と思いますけど(笑)

ちょっと理解に苦しむのは、平穏死したい→そのためには事前指示書というか
少なくとも家族との話し合いが大切、という真意は
自分の人生では最期まで自己実現したいということでしょ。
認知症になったらそれができないのでは?
と思っている方々が多いので、がん派パチパチになると思うのですが。
臨床の現場から見ると違うのでしょうか。

Posted by 梨木 at 2013年02月16日 06:21 | 返信

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