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内部被爆より生活習慣病
2013年03月14日(木)
福島県で内部被爆を調査している坪倉先生が、内部被爆より生活習慣病と言っている。
私は坪倉先生と震災54日目に福島で出会い咋年の夏にもお会いしたが誠実な医師だ。
最初に出会った時、生データをクラウド上に公開したほうがいいとお願いしたがそうなりそう。
私と一緒に、坪倉先生も朝日新聞アピタルに執筆されている
のは震災後の、もうひとつの不思議なご縁でもある。
坪倉先生は、静かで温厚な先生。
私とは親子くらい年が違うが、彼の言動は信用できる。
以下のようなことを発信すると「御用学者だ!」との
レッテルを貼られるが、そんなことはない。
坪倉先生は、御用学者でもなんでもなく、東大・上研究室の
医師であり、南相馬市民病院の非常勤医師である。
ついでに言うなら、阪神間出身。
医師としての使命感に燃えて、福島で活動されている。
咋年の夏に福島でお会いした時も、同じことを言われていた。
いろんな情報が錯綜していて、どれが本当か?と思われるだろう。
どれも何かの意図が隠されているのでは?と思う人が多いだろう。
しかし私は坪倉医師を直接知っているので、彼の生情報を
信用している。生情報以上に信用できる情報は無い。
以下の記事が、福島の内部被爆の現状を端的に伝えている。
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東日本大震災から2年内部被曝リスク「低いと言える」、東大・坪倉氏
生データ公開へ向け準備も
2013年3月13日池田宏之(m3.com編集部) 坪倉正治氏は、内部被曝以外の健康リスクを考慮する必要性を指摘する。
福島県南相馬市を中心に、ホールボディーカウンター(WBC)による地域住民の内部被曝の検査を続けてきた坪倉正治氏(東京大学医科学研究所研究員)は、この2年間で、大多数の人で、日常生活での被曝が問題のないレベルまで低下していることを見出し、生データの公表プロジェクトも進める。ただ、被曝量の突合の問題や、被曝以外の健康問題への関心の薄さなどの問題点も浮かび上がっている。
セシウムの移動続く
坪倉氏は南相馬市立総合病院の非常勤医師も務めている。南相馬市民を対象としたWBC検査について、2011年9月から2012年3月(対象7814人)と、2012年4月から同年9月(対象6977人)のデータを比較すると、セシウム137について、おおよそ250Bq/bodyを下回る検出限界値未満の人の割合が、66.9%から、92.0%と25ポイント以上増えた。主に尿とともに排出されているとみられ、坪倉氏は「(順調に低下しているのは)食品の出荷規制などの対策の効果があった。年間の内部被曝量が1mSvに達するのは、350-400Bq/kgを1年間維持した場合。検出限界値以下の数字では、1年間維持しても、レントゲン撮影の6分の1程度の線量。全く影響がないとは言い切れないが、リスクは低いと言っていい」と話している。
南相馬市などにある4病院の子ども約6000人についても、セシウムが検出されたのは6人にとどまり、99.9%の子どもからは検出されなかったことも報告されている(「住民の関心低下、内部被曝の再検査率低く」参照)。「水道水を使う群」と「ミネラルウォーターを使う群」、スーパーにおいて「産地で商品を選ぶ群」と「産地を見ない群」の比較でも、内部被曝の程度の差はなく、坪倉氏は「農作物検査や出荷制限がうまくいっている」とみる。
ただ、坪倉氏は、南相馬市民の2012年の調査で、南相馬市の再検査の基準となっている20Bq/kg以上の人が、0.16%残っている状況に ついて、「数千人に1人というレベルだが、下がらない人が出てきている」と指摘。下がらない人は、食品検査を受けないまま、放射性物質がたまりやすいキノコなどの食料を食べているとみられる上、現在までに一度も検査を受けていない人の中に、値が高い人がいる可能性も「否定できない」(坪倉氏)という。
セシウムの移動も問題。現在までに、キノコやイノシシは、セシウムがたまりやすいことがわかっているが、坪倉氏は「移動はまだ2年くらいは続くのではないか。生物濃縮の問題もあり、まだわからないことがある」と注意を呼び掛ける。
伝わらない再検査の重要性
不確定な要素がある中で、鍵となるのは、再検査だが、2012年9月ごろから、検査に対する住民の関心が低下。2年間で検査を2回受けたのは、わずか574人で、90%以上が再検査を受けていない。坪倉氏は「分からないことがあるうちは、定期的にやる方が良い」と強調し、南相馬市では、小中高校の学校健診で、内部被曝の定期的検査の導入が決まった。成人の再検査率の向上に向けて、地域の集会に出かけて再受診の重要性を訴える活動などに取り組むが、「『とんでもない値ではない』と安心して、今後の検査が重要という雰囲気にならない」(坪倉氏)と難しい状況は続く。
内部被曝だけで良いのか
坪倉氏は、内部被曝にのみ注目が集まる状況についても、疑問を呈する。現状ではほとんどの人が、国際放射線防護委員会(ICRP)の示す被曝限度、1mS未満に抑えられている可能性が高い中で、運動不足が原因とみられる慢性疾患が悪化している。南相馬市の仮設住宅で暮らす住民約300人を調査した結果、相馬市に避難したアパートで暮らす約260人と比較した場合、肥満の割合が43.0%と約12ポイント、糖尿病の疑いは11.3%で4ポイント以上高い結果が出た。坪倉氏は、「母集団のバックグラウンドが違う可能性はあるが、経験的に慢性疾患は悪化している。内部被曝と慢性疾患の悪化。どちらが、住民にとってリスクが高いのか、もっと議論されるべき」と指摘し、慢性疾患悪化による悪影響の方が問題である可能性を話す。南相馬市内で活動する医師の中には、仮設住宅の入居者に対し、熱中症や脳卒中対策、うつ病防止などの活動をしているケースもある。
内部・外部被曝データを突合した自治体ゼロ
2年間の活動の中で、坪倉氏は被曝量の管理方法の不備も指摘する。「1mSv」という基準値について、坪倉氏は「文部科学省は学校生活内で受ける線量のみを見て、環境省は外部被曝を除いた線量を見ている現状はおかしい」と話す。外部被曝と内部被曝の値を突合できた自治体は、2年経過した現在もないままだ。同じ自治体で、ガラスバッヂによる外部被曝調査と内部被曝検査を実施していても、対象者、回数、時期はばらばら。坪倉氏は現在、南相馬市の委託を受けて、ガラスバッヂとWBCの値を突合するデータを作っているという。
加えて、南相馬市などで得られた値について、生データを公開するプロジェクトも進む。坪倉氏は、「データは誰でも解析できる状態にして、しっかり残すことが大事。(BqやSvなどの単位も含めて)足並みのそろっていない他の自治体のデータ公表を促すきっかけにもなれば」と期待を込める。
坪倉氏自身も2011年9月から2012年3月の調査結果について、中学生以下の場合の内部被曝値が最大57.9Bq/kg、高校生以上の大人で最大196.5Bq/kgが出たことを踏まえて、「7年から10年後に49Bq/kgの値が出たチェルノブイリより被曝レベルは低い。大人と子供の違いはセシウムの代謝スピードの違い」とする論文(JAMA.2012 15;308(7):669-70)などを発表している。
地域の課題は残ったままだが、被災地では、被曝の問題への関心も薄くなりつつある。坪倉氏は、東京や大阪の知り合いの理解が「何となく大丈夫」というレベルにとどまっていることに対して、「2年経過して情報はそろってた。やみくもに大丈夫と言っているのでなく、ある程度科学的に話せるレベルで、もう少し知ってもらいたい」と話している。
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