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認知症の遺言は無効か?

2013年04月18日(木)

92歳の認知症の人が、82歳の顧問弁護士に遺産をあげるという遺言状を書いたが
昨日の京都地裁で、「他人に5億円は奇異」との理由で無効判決を下した。
この報道は、実に大きな命題の発端であると感じたので紹介したい。
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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130417-OYT1T00567.htm
まず記事を読んで欲しい。

結論から言って、判決の方がずっと奇異だ。
何故なら、5億円と高額だから奇異であると
裁判官は判断しているのだ。

ここで「奇異」という日本語を用いた裁判官の感性こそ
「奇異」であると、直感した。
相続できなかった弁護士は、控訴するそうがだ、成り行きを注目したい。

個人的には、
「私のいさんは後のことをすべておまかせしている弁ご士にいぞうします」
とちゃんと書けているので、この遺言は有効であると思う。

認知症になっても全てが失われるわけではない。
ちょっと前の記憶と、難しい判断がでいないだけ。

結論から言うと、この判決は間違っていると思う。
もし控訴したら、相続したひとが勝つだろう。

遺言がもし無効というなら、
リビングウイルはどうなのか?

また何をもって
認知症=遺言能力は無いと判断しているのか?
字がちゃんと書けるのなら、遺言できるじゃない。

これは究極の命題。

夜を徹して、みんなで議論したいテーマだ。



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この記事へのコメント

高齢者の意思表示が、その対象事案をどの程度正確に冷静に判断できた結果なのか、疑わしい場合が多いと思います。高齢者に限ったことではないかもしれませんが。

最近、ああ気の毒に、と思った例です。
NHKスペシャル「終のすみかはどこに-老人漂流社会」を見ていて、国民年金では支払えない不足分を生活保護を受けてようやく高専賃に定住できることになった男性の単身高齢者に、役所の女性職員が尋ねます。「延命措置ってご存知ですか。万一の時、命をつなぎとめるために最大の医療行為を受けたいですか。」その問いに対して搾り出すようなウゥーという呻きの後、本人の答は「生命ある限り延命で伸ばして欲しいよね。」でした。ナレーターは「最期まで生き続けたい、それがAさんの答でした。」と語っていました。
Aさんは確かに最期まで生き続けたいのだと思います。しかし「最大の医療行為を受ける」意味を正確に知らないと思います。「延命で伸ばして」と発言していますけどそれが具体的にどういった行為になるのか、自分がどういった扱いを受けるのかを知らないと思います。もしきちんと理解できていたら、答えは異なっていたかもしれません。

また、以前読んでいたブログで、そのブログを書いている方の母上であるアルツハイマー型認知症の老女に医師が尋ねます。「口から食べれなくなったらお腹に管を付けて栄養を入れますか。」その老女の答えは「よろしくお願いします。」
胃瘻の意味を理解して承諾したわけではなく、(偉い先生である)医師が言うことだから「よろしくお願いします。」と言っただけだと、私は思います。本人に答えさせる医師の常識を私は疑いますが、もとよりイエスという答が帰ってくることを見越して、その医師は本人に答えさせているのでしょう。

92歳の認知症の女性の件は、記事を読むと、10年近くその弁護士と関わっていたようです。見方によるとその弁護士が上手に彼女のマインドをコントロールして自分を信じ込ませて自分に有利な遺言書を書かせた、とも受け取れます。そうであれば詐欺ですが、もちろんその弁護士の詐欺罪を立証する証拠など残していないでしょう。何が真実かわからないし、詐欺であったとしても92歳の認知症の女性がその弁護士を信じ込んで幸福感に包まれて安らかに生を終えたのであれば、それで良いのかもしれません。しかしながら、自分自身が長年商売をやってきて培った財産を、仕事として関わってくるプロの弁護士に全て贈与するというのがどういうことなのか、通常の判断能力で冷静に考えれば、そういった遺言書は書かなかったかもしれません。

私にも、86歳ともうすぐ84歳になる親がいます。認知症診断が出ているか否かに関わらず、事案の内容を深部まで細部まで正確に理解して色んな情報を元に冷静に判断する能力なんて、無いと思います。両親共に、ものすごく周囲の発言に影響されます。誰かが何かを吹き込むと、発言内容がコロコロと変わります。

一概に年齢で断じることはできないと思いますが、深部まで理解できて正確冷静な判断能力があるのは、前期高齢者止まりではないかな、と、私は感じています。

でも、75歳以上の議員さんって、たくさんいますね。

Posted by komachi at 2013年04月18日 03:54 | 返信

2012年2月26日の、NHKニュースをパソコンからプリントしました。
      成年後見制度 (信頼を揺るがす事態)

“認知症のお年寄り等に代わって第三者が財産を管理する「成年後見制度」で、財産が使い込まれる被害が、最近の16ヵ月間におよそ37億円に上ることが最高裁判所の調査で分かりました。
最高裁は、制度への信頼を揺るがす深刻な事態だとして、対策の検討を急いでいます。
「成年後見」は認知症で判断力の衰えたお年寄りなどに代わって、親族のほか、弁護士や司法書士などが後見人になって財産を管理する制度です。
高齢化に伴い利用者が増える一方で、財産が使い込まれる被害が相次ぎ、最高裁判所は被害の実態を全国の家庭裁判所を通じて調査しました。
その結果、おととし6月から去年9月までの16ヵ月間に被害の報告が314件あり、被害総額はおよそ36億9800万円の上ることが分かりました。
このうち306件は、親族が管理していたケースで、1件の被害が2億円に上るものもありました。
被害は特に去年に入ってから急増し、月平均の被害額はおよそ3億円に達しているということです。
最高裁は対策に一つとして、信託銀行などと連携した資産管理の仕組みを新たに設け、今月から運用を始めていますが、「後見制度の信頼性を揺るがすような深刻な被害が相次いでいる。後見人の指導の在り方も含めて効果的な対策を考えていきたい」と話しています。”
しかし、このブログの件は弁護士が、財産管理料として何億円も貰うというのは、汚い火事場泥棒みたいです。
誰が、そのお年寄りを介護したのかが不明ですが、血のつながりから言うと、姪御さんかも知れません。
意識のはっきりしているうちに、遺言書を書かねばいけないなあと思いました。私の友達は「大谷さんは、残す財産なんて無いわよ」と言って笑いました。

Posted by 大谷佳子 at 2013年04月18日 03:54 | 返信

5億円という高額なこともありますが、弁護士であることも関係していると思いました。

司法に携わる方ならば、亡くなられた方が認知症であり、生前に、本当に本人より申し入れがあり、それを受けると決めたらならば、公証人役場で遺言手続きを取るべきであった、と私は思います。

自筆の遺言の効力は理解できますが、この場合は、どうも・・・正しくない。と私には思えました。

そうでなければ、家族・親戚は、怖くて、弁護士・司法書士・税理士などの法をよく知っている人間を、認知症になった親に、会わせることはできません。

医療のみならず、こうした法律関係も「先生にお任せ」ではなく、家族や親戚が関らないといけないと思います。

Posted by よしみ at 2013年04月18日 10:52 | 返信

いつもよませていただいています。
 
結論から言えば、やはり弁護士の行為は不当で遺言は無効が妥当だと思います。
 
仮にこれが、一頃はやった高額床下修繕契約(詐欺)なら、それでも先生は、いや契約書にきっちりサインできているから問題なしととらえられるでしょうか?
 
仮に、認知症の問題なく 本気で譲ろうとしたとしても、それを弁護士がそうですかと言って淡々と自分で処理してはいけないと思います。
公正証書遺言にするとか、自分が係わらず第三者に遺言作成してもらうとか、「李下に冠を正さず」の精神で疑われる状況を作らないようにすべきです。
(記事には記載が無いので、弁護士が他人を一切係わらせず、自筆の遺言状作らせ死後にいきなりそれを持ち出したという前提で書きました。きっちり第三者が係わって本人の意志を確かめているのであれば話は相当変わります。それでも上記のコメントで述べられている本人が第三者にしゃべっている状況でも言っている意味分かっているのか問題は残りますが。)
教師と生徒間の恋愛、医師と患者の間の密室での診察行為・恋愛などと同じく弁護士が相手となる遺産授受なら 相当きっちりした手続きが無いと、疑いを招くのは当然と思います。
 
後、「高額だから奇異だ」というのはあくまで記者の要約ですから、実は判決ではもっと異なった事実認定しているのではと思います。
幼児に1億円の生命保険をかけたり、無職の女性に結婚直後に何件も生命保険に加入して総額三億円になっていれば、「高額だから奇異だ」は有りだと思います。

Posted by falcon171 at 2013年04月18日 01:25 | 返信

>ちゃんと書けているので、この遺言は有効であると思う。

この読売の記事からだけでは、判断が難しいですが
一番「奇異」に感じたのは、身内の誰もがこの老婦人の認知症に
気がつかなかったの?ということです。

認知症が進んで、一番先に心配になるのは
火の始末と財産管理です。財産家ならなおさらに。
成年後見制度については、認知症の鑑定について医師の判断が必要で
これがかなりの費用(10万円位)と時間がかかります。

また後見人の選定については、
費用もかかることから身内にする場合が多いようですが、
これが結構トラブルの元と聞きました。
大谷さんが引用して下さったNHKのニュースでも、財産被害314件のうち306件が
親族となっており
認知症患者ご本人様の損失は勿論のこと、相続人の間で
後見人がうまいこと利益を得ていたのではないかと言う疑心暗鬼から
争族となって、これまで仲の良かった身内が、仲違いすることにも。
法定後見人なら、裁判官がいろいろ調査した上で後見人選任の決定(審判)がなされます。

消費生活課の区民講師として、成年後見制度への橋渡しをするための勉強会をした時、
その実務例(裁判所への後見事務報告書)の厳しいことに驚き
とても市民後見人の養成研修を受ける気にはならなかったのを思い出します。

身近な親族のご様子に、ときどき心を寄せていただけたらと思います。
そして長尾先生のブログからの
>ちゃんと書けているので、この遺言は有効であると思う。
について言えば、書くことと判断出来ていることは違うのではと。
からくり人形でも字は書けるし、この漢字仮名交じり文からは
(手が動かなくて漢字が書きにくかったとその場の第三者が証言すれば別ですが)
やはり疑念をいだいてしまいました。
財産は無いけど、他人事ではありません。認知症のワクチン完成を切望しています!

橋渡しとして書き込みさせていただきましたが
間違いありましたら、訂正よろしくお願いします。

Posted by 梨木 at 2013年04月18日 06:26 | 返信

家族は本当に寄り添えていたのかな、と悲しく思います。
家族への遺産というのは思い出だけで良いのではないでしょうか。
それがないのであれば、お金も受け取らないとなれば良いのに。

Posted by ミキ at 2013年04月19日 11:22 | 返信

裁判も裁判官も自身が攻撃されないようにする必要があるでしょう。世間の人の内できるだけ多くの人の感情に合う判決を書かないと損をする可能性が大きい筈です。裁判官の世界にも出世もあれば左遷もあるのですから、事実に基づいていては保身はできません。事実は神のみぞ知るです。

Posted by 異端者 at 2013年04月19日 11:30 | 返信

梨木さんみたいな方に、是非市民後見人になって頂きたいです。
お年寄りの遺産を狙う、遠い親戚に恫喝されたら、恐いですね。

Posted by 大谷佳子 at 2013年04月20日 03:11 | 返信

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