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排泄最優先の原則
2013年06月03日(月)
「お漏らし」も自然な老化現象として受け止めるも、オムツは極力避けることが大切。
そして膀胱炎や過活動膀胱は医師の力も借りよう。以下、6月1日の新聞から転載。
産経新聞認知症ケアシリーズ第11回 排泄最優先の原則
「お漏らし」も自然な老化現象
年とともに誰でもトイレが近くなります。特に認知症が進むと、排尿回数やトイレに籠る時間が増えます。1日に30回くらいトイレと部屋を往復している方もおられます。また日中の半分以上をトイレの中で過ごす人もおられます。そのような人を見たとき、「また行くんですか?」と呆れてはいけません。また、排泄介助を頼まれたとき、「忙しいからちょっと待って」と後回しにしたり、「そんなにすぐには出ませんよ」などと否定するのも間違いです。タイミングをみはからい、上手にトイレに誘導しましょう。
もし排泄を失敗した時に、責めてはいけません。「お漏らし」も自然な老化現象なのです。お漏らしには3つの場合があります。まず尿意が分からない場合。あと尿意が分かっていても認知症でトイレの場所が分からない場合。これは一見、徘徊のように見えることがあります。スムースな誘導を心懸けましょう。さらに尿道括約筋がゆるんでいる場合は、失禁パンツやパッドの使用を試みます。本人のプライドを尊重する態度、さりげない援助が大切です。汚れた下着を発見した時に、きつく問いただすのは間違いです。本人も既にショックを受けているのです。たとえ場所を構わず排泄する場合でも、叱ったり、文句を言うのは逆効果です。トイレの場所を分かり易くしたり、廊下の照明をつけておくなどの工夫が大切。大きな字で「便所」とか「トイレ」と書いておくといいでしょう。
最悪なのは、お漏らしが多いからと言って安易にオムツを当てることです。オムツを当てたら認知症がどんどん進みます。オムツを当てられた本人は不快でたまりません。「本当かな?」と思われる人は、試しに一度自分にオムツをしてみましょう。ついでにそのままベッドの上で、排便や排尿を試みてください。おそらくできないでしょう。ですから、たとえ頻回の排泄で介助に手間がかかっても、トイレで用を足すための支援を心がけましましょう。数回の失敗くらいで諦めてはダメです。また昼間は大丈夫でも、夜間だけ失禁する人には、ポータブルトイレを使うなどの工夫をしましょう。
私は在宅ホスピスに従事していますが、末期がんの人はよく亡くなる当日まで、時には亡くなる3分前まで自力で排尿しています。あるいは便器で用を足しながら旅立った人もおられました。排泄とは人間の尊厳であると教えられました。ですから老衰や病気の終末期で体が衰弱したため排泄が上手にできなくなっても、できるだけ本人に心理的な負担をかけない工夫をしましょう。自力排泄の素晴らしさを、是非知っておいてください。
ただし、排尿時に痛みがあれば、膀胱炎の合併が考えられます。抗生剤を飲めばかなり改善します。また過活動膀胱の要素が大きい場合は、そのお薬で症状が劇的に改善する場合もあります。現代医療の恩恵にあずかれる場合は、上手にそれを利用しましょう。そのためには、どうか恥ずかしがらずに泌尿器科医や在宅主治医に相談してください。もしくは排泄ケアに詳しい訪問看護師、介護士、ケアマネさんなどに遠慮せず相談しましょう。排泄ケアは、認知症ケアの基本中の基本。最優先で取り組みたいものです。
キーワード 過活動膀胱
尿意切迫感(突然強い尿意が起こる)、頻尿、切迫性尿失禁(尿意を感じると我慢できずに、トイレに着くまでに漏らしてしまう)などの症状がある。「漏らすかもしれない」、という不安から外出や人付き合いを避けることがある。800万人もの患者がいる。
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この記事へのコメント
私の母は7年前に、脳神経外科医に「アルツハイマーや!」と言われました。認知症では無いと言う事を、証明して貰おうと思って、内科医の紹介で、行ったので、ショックでした。私は、母の症状が「尿漏れ、足の不安定性、若干物忘れあり」なので、「正常圧水頭症ではありませんか?」と強く聞きましたが「いいや!アルツハイマーや!」との一点張りでした、最近内科医の意見書を見ると、「陳旧性脳梗塞」と書いてありました。
7年前はそうひどくなかった、尿漏れと足の不安定性がひどくなって、西宮の正常圧水頭症専門の病院に行こうと思いましたが、89歳になって、足元もふらつく状態の母が物凄く嫌がったので、西宮の正常圧専門の病院にも、行っていません。
紙おむつと、パッドに頼る、毎日ですが、「オムツはずし」なんて、夢のまた夢です。
正常圧水頭症の多量の尿漏れを、オムツ無しでは過ごせません。
治る認知症として、NHKでも何回も放映して、誰でも知っている病気を医者が知らないのに、呆れます。
Posted by 大谷佳子 at 2013年06月04日 03:48 | 返信
トイレについさっき行ったのにまた行きたくなる、睡眠時に尿意を感じて幾度となくも目が覚めるなどのケースに悩まされている人は案外多いようです。
頻尿の素因や、病気だとしたらどんなことが考えられるのか、男女や子供との違いや、何科を受診したらいいのかについて考えていきます。
頻尿は、ひと頃は中高年の女性によく見られましたが、今時は若い人にも多く、20代女性の20%、30代女性の30%、40代女性の40%にみられるといわれています。
お手洗いが近くなったり、回数が増えたりすることは、加齢に伴う老化現象で起きることもあります。
膀胱炎は、男の人よりも、奇跡的に女子に多い病気です。
女性の頻尿で、おしっこの回数は増えているものの、別の自覚症状はなく、尿量も何度もトイレに行くために殆ど出ないか、出てもごく少量の例で、子宮筋腫や卵巣腫瘍など膀胱周囲の臓器のぶれにより膀胱が圧迫された可能性を頭に入れておく必要があります。
水を多量に飲む、お手洗いに頻繁に行く、疲れているなどいつもと様子がおかしいなと感じた場合、すぐに病院に連れて行きましょう。
Posted by 頻尿尿漏れ at 2016年11月04日 06:15 | 返信
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