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「選択」6月号の土屋氏

2013年06月11日(火)

「選択」という雑誌の6月号の巻頭言は、土屋了介氏による「尊厳死」の話題だ。
元国立がんセンター院長の言葉は一見、美しく重いが、かなり官僚的に聞こえる。
この小文、みなさまは、どう読まれるのだろうか?とても興味がある。
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http://www.drnagao.com/pdf/media/related_article/sentaku130601.pdf

よく読むと、論理のすり替えが、いくつかある。
入試の問題にしたいくらい、巧妙に論点が隠されている。


どこに責任があるか?、という問いを発しながら、
みんなに責任がある、と答えている。

土屋氏によると医学会に責任があると。
自分は医学会のトップなのに、その自覚症状がないようだ。

厚労省にもできないとのこと。
病院でシステムができれば、法制化jは要らないと。

メデイアが悪い、という。たしかに・・・
しかし本当にそう思うなら、メデイアを使って大きな声でそう言うのもトップの仕事では。

医学会や病院で解決できればいいなんて、みんな分かっていてもそれが
どうにもならないので困っているのが、そもそも終末期医療なのだが・・・

よく言えば、単に役人の責任逃れの文章。
悪く言えば、論理的に支離滅裂。

要するに終末期議論なんて、がん医療のトップには他人事なのだ。

新聞の社説なら、この程度の誤魔化しでも、許されるのかもしれない。
しかし少なくとも現場の人間なら、もっと真摯に活きた言葉を使って欲しいなあ。

議論を深めよう、と言いながら、思考停止を誘う内容に読める。
トップであるのなら、もっと思い切った発言ができないものか。

一見、踏み込んでいるように見えて
実はどこからも撃たれないように、尻込みしているだけの文章。

そして最後には安楽死の議論をしよう、みたいなことを言っている。

自然死さえ日本ではまだグレーゾーンなのに、
よくもそんな呑気なごとばかりを並べられるな、と思う。

法制化は要らないと言いながら。
訴訟恐怖をにおわす。

要は、橋下氏と同じ。
すべて他人事なのだ。

思いつき?
責任逃れ?

一番の当事者でありながら、傍観者のふりができるのが、不思議でならない。
どこの世界でも同じ、権力者の癖なのか。

がん医療のトップにありながら医療という名の虐待を容認している実態がよく分かる。
自らの重大な責任に全く気が付いていないこと自体に、大きく失望させられる。


大変失礼ながら、町医者の私には、保身以外何も無い文章にしか見えない。


同じ東大の先生でも、井形先生を見て欲しい。
老体に鞭打って、まさに身を呈して患者さんのために闘っておられる。

あれこそが、偉い医師の姿であると遠くから眺めている町医者が、私。
あの歳で過激派にあれだけ撃たれ続けても決してめげない精神力は、凄い。

井形氏の志にこそ、医師というプロフェショナル集団は学ぶべきだ。


土屋氏の意見は国民のニーズとかけ離れていることは、明らかだ。

井形氏も土屋氏も、泣く子も黙る東大医学部卒の、超エリート。

本来なら敢えて大胆な発言をしてでも、世論を喚起するのがトップの責任ではないか。
医療は患者のためにあることを知っている医師はとっくにそうしているが土屋氏は関わらない。

まあ、エライ先生がせっかく書かれた文章にそんなことは言ったら可哀そうなので、
「尊厳死について書いて頂きどうもありがとうございます」、と言っておこう。

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この記事へのコメント

スラスラと読める文章ですね。
問題点のみを指摘し実務者としてとりあえず、何から問題解決に
着手する考えもなく、まさに傍観者の立場をキープ。
大きな組織内で昇りつめた方の典型的スタイルでした。

Posted by 匿名 at 2013年06月12日 09:57 | 返信

こんばんわ♪
酷い文章ですねぇ。
インタビューアーの脚色は、
一切なかったのでしょうか。

医師というものは、職場環境が
整備されていなければ「患者第一」で
働けないのでしょうかねぇ?

「殺すか殺さないか」とか
「どう生かすか」とか、
いったい何様のつもりなんだろう。

限界まで投薬したあげく
過量で亡くなることが
本来の安楽死だとぉ・・・。

この内容に偽りがないとすれば、
日本の医療とは、少し距離を置きたい
心境です・・・。

Posted by ブレンディー at 2013年06月13日 12:00 | 返信

難しい問題で、私には、良く分かりません。
これまで、法律については、勉強したこがありません。
なんでも、法律は成文法と、不文法(判例法、慣習に基ずく法律)によってなると聞きました。
ですから、尊厳死なり、平穏死なり、患者が自分で選んだ自然な死を選択しようと思ったら、尊厳死を巡る、法整備は欠かせません。と同時に、それだけではなく、尊厳死を巡る、教育もソフト面で、欠かせないと思いました。
元川崎協同病院呼吸器内科部長の須田セツ子医師の「私がしたことは殺人ですか?」を拝読致しますと、病院内の結束が無いどかろか、何かと、リークしている人もいるみたいに感じました。
同じ職場の医師として、弁護して下さっても良いのに、普段から、意志疎通が全くないのは怖いなあと思いました。
患者さんや、患者さんのご家族は何時気持がガラッと変わるか分かりません。お金を払うのですから、お客気分になっています。
医師も、もっと、医療や、尊厳死を巡る裁判事例の研修をして、トラブルがあれば、マニュアルに従って、一致結束すれば、患者さんのご家族も納得できるのではないかと思います。
理想でしかないのかもしれませんけど、救急救命室ERのカウンター市民病院のアンスポー病院長みたいな日頃はもの分かりのいいお爺さんみたいなのに、ひとたび、医療過誤や、事故がおこれば、病院内査問会議が待っていて、容赦ない厳しい質問が浴びせられる。しかし、その査問会議のおかげで、刑事事件にはされなくて済むなんて病院があればいいのにと思います。
やはり、ハード面としての法制化と、ソフト面での患者も、医療関係者も含めての、教育の両方が必要に感じました。
私は、医療関係者ではないので、少し焦点がブレているかもしれません。

Posted by 大谷佳子 at 2013年06月14日 01:59 | 返信

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