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福島の被曝の生データ

2013年08月28日(水)

MRICから東大の坪倉先生の記事が流れてきた。
福島浜通りの被曝状況、ホールボデイカウンターの値が高かった方の
考察が紹介されている。
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坪倉先生のデータは信用している。
彼を直接知っているからだ。

あの年の、5月5日の朝、相馬市で坪倉先生にお願いをした。
「是非、生データをウエブ上にそのまま公開してください」と。

彼は震災直後から、地道な活動を続けている。
現在は南相馬市立総合病院の非常勤医師として働いている。

この夏の相馬野馬追いでも彼とお会いした。
彼のような地道な活動が本当に大切だと思う。

何も知らない人たちは東大ということで御用学者とのレッテルを貼る。
しかしそれは間違い。

坪倉先生は完全にニュートラルな立場で医師の良心に従い
行動されていることを私はよく知っている。

粛々と生のデータに接しながら、そして浜通りに
想いを馳せながら、被曝された人びとの健康を案じたい。


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内部被曝通信 福島・浜通りから~高めの数値が見つかった人も次第に下がっている

 

この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

 

南相馬市立総合病院

非常勤内科医 坪倉 正治

 

2013828日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

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今回は、内部被曝検診で値が相対的に高めだった方について、お話ししたいと思います。

 

繰り返しになってしまいますが、現在のホールボディーカウンター(WBC)検査では、95%を超える成人からセシウムを検出することはありません。未検査の汚染食品を継続的に食べている方の一部から、高めの値を検出するという状況です。南相馬市のウェブサイトにも既に公開されています( http://www.city.minamisoma.lg.jp/index.cfm/10,0,61,344,html )

 

南相馬市立病院のデータを見返すと、20121月はじめから、20133月末までに、セシウム137の検出値が20Bq/kgを超えたのは、成人で23人でした。50Bq/kg以上とすると3人になります。成人の検査数は約10000人強です。もちろん、サンプリングバイアスは否定できませんが、現在までの検査結果からすると、セシウム13750Bq/kg以上であれば、その頻度はあったとしても、上記から計算される程度だろうと推定しています。

 

以前に、紹介した内容とかぶる部分もありますが、いくつかのことが分かっています。

 

実は、20Bq/kgを超えたのは成人で23人と申し上げましたが、その約半分が20123月末までに検査を受けた方です。つまり、時期を追うごとに20Bq/kg以上を超える人の比率は下がってきています。繰り返しになりますが、全体として慢性的な内部被曝が多くの方で少なく抑えられていることを示しています。検出されたもののほとんどは、事故後早期の段階で体内に取り込まれた分の残りであったのだろうと推定されます。

 

かといって、50Bq/kgを超えた3人は、20124月以降に検査された方でもあります(早い時期に検査をされた方ばかりでは無いと言うことです)。

つまり、一部に汚染食品を多く摂取する人がいらっしゃることも確かであり、全体として検査結果の平均値や中央値は間違いなく下がっているとは感じますが、最大値も下がっているかどうかは定かではありません。今後も継続的な検査が必要であること、高い値の方をしっかり見つけて、食事指導などの介入していくことが重要になります。

 

今まで、南相馬市立総合病院では20Bq/kg以上の値を検出した全員に外来受診をお願いし、生活状況を聞き、お話ししてきました。

 

これは完全に私個人の経験論になりますが、南相馬でも、他のひらた中央病院などでも50Bq/kg以上の検出値を検出した方と面談すると、高めの値を検出した原因が分からないことはまずありません。まず間違いなく、明らかに出荷制限がかかり、汚染度が(非常に)高いことがわかっている食材を未検査で摂取している状況がすぐにわかりました。そして、その摂取をやめてもらい、3カ月程度後に再検査を行うと半分の値に下がっていました。

 

2050Bq/kgぐらいになると、78割方、上記と同様の原因を指摘できるイメージがあります。ただ、20Bq/kg以下ぐらいになると、いまいち原因が分からないことが増えます。外来で話をしていても、原因はあの時のあの食材かなぁ、xxxかなあという状況となり、はっきりしません。一般的な注意事項を確認して継続的に検査をしてもらっています。

 

ただ、そんな方々であっても、南相馬市が発表(リンク先の図5-1など: http://www.city.minamisoma.lg.jp/index.cfm/10,11982,61,344,html )しているように、2回目の検査で検出しなくなる方が多いのが現状です。

 

多くの方には釈迦に説法だと思いますが、全体として下がっていることと、最高値の話は分けて考える必要があります。どちらかだけを強調する伝え方はフェアではありません(自戒をこめて)。内部被曝検査だけでは無く、野菜果物魚などの食品検査も同じです。(第65回 ロングテールを忘れない視点参照 http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013060300006.html

 

20Bq/kg以上、50Bq/kg以上、それとも1mSvに相当する数万Bq/body以上、またはそれ以上、またはこれら以下、どのラインが適切なのか、そもそも適切とはどういう意味で適切と考えるかわかりませんが、値の高い人に対して、何らかの形で介入したり、医療者か誰かがもれなくフォローしたりできる形にならないだろうかと感じています。もちろん、決めたラインを超える人がいないのなら、それに超したことは無いのでしょうけれど。どこにリソースがあって、誰が?費用は?となるのかもしれません。

 

南相馬やひらた中央のまねをして欲しいとただ言いたいわけではありません。そんなにめちゃくちゃな負担がかかる話でもありません。みんなでもう少し先に進めないだろうか。なんて思っています。

 

写真:福島高校で放射線の授業をしてきました。夏休み中にもかかわらず、みんな元気に勉強しています。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013082600003.html

 

 

坪倉正治の「内部被曝通信 福島・浜通りから」のバックナンバーがそろっています。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

 

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