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がん幹細胞療法の時代がすぐそこに

2013年10月03日(木)

がん幹細胞療法の現状について九州大学の武石先生の講演を拝聴した。
白血病においては、マウスにおいて既にたいへん有望な成績が出ている。
結局のところ、がん幹細胞を追い出して叩くか、冬眠させるかとなる。
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癌学会の発表はほとんどが英語。
司会も質問も、みんな日本人なのに英語の世界。

さて、がん幹細胞研究は九州大学がトップを走っている。
先日のETV特集や数日前の日経新聞でも紹介されたばかり。

以下、簡単にまとめてみる。

抗がん剤は、細胞増殖に関わる因子を止める薬。
細胞回転には、静止期と増殖期があるが、増殖期に細胞にしか効かない。

がんの親玉である幹細胞は、常に静止期にあり分裂をしないので抗がん剤が効かない。
従来の抗がん剤治療(分子標的薬)の悩みはここにあった。

がん幹細胞が分かるようになった。

そして「静止期維持因子」が発見された。(by 武石先生)
1 Fbxw7
2 p57

これらが欠損すると、がん幹細胞は、静止期から増殖期に追い出される。
増殖期になると、抗がん剤が効いてくれる。

がん幹細胞療法の手順は3つ。
1 従来の抗がん剤で子分を殺す。
2 残った幹細胞を、FBxWか'P57で、増殖期に追い出す。
3 それを再び、抗がん剤で叩く。

慢性骨髄性白血病(CML)では、動物実験で素晴らしデータが出ている。
1、2、3の順番は変えられない。
先にFbxw7やp57をすると、がん組織が増殖してしまう。

追い出しではなく、「静止期維持因子」を増強するとどうなるのか?
幹細胞は、ずっと静止期にいることになり、「冬眠療法」となる。

すなわち、がん幹細胞の静止期維持因子に
人工的な制御を加えることが、がん幹細胞療法のキモ。


人工的な制御を与える因子の研究は、多くの質量分析計を用いて
プロテオミクスという手技で探されている。

25000種類あるといわれる人間のたんぱく質。
ビックデータの活用で、制御物質の選択、同定が可能となる。

それを、「情報基盤定量法」という。

正常幹細胞と
がん幹細胞はかなり似ている。

正常細胞が遺伝子の傷をいくつか受けるとがん幹細胞になると言われている。
白血病幹細胞は、だいだい上記のストーリーで解決することが分かっている。

同様に、神経幹細胞、腸管幹細胞も同定され、神経のがん、消化管のがんも
白血病と同様なメカニズムが同定されている。

腸管幹細胞が、どこから来るのかはよく分かっていない。
実は、22年前、大阪大学第二内科でそんな研究をしていた。

胃の場合、胃底腺の上3分の1に、増殖幹細胞がある。
そこから上下に、腺か上皮細胞や、胃底腺細胞に分化していく。

それを細胞回転という。
しかし肝腎の大元の幹細胞がどこから来るのか分からなかった。

まるで手品みたいに、急に空間に誕生するのが不思議でしょうがなかった。
この疑問は、22年たってもまだ分かっていないことが分かった。

あと、iPS細胞とがん幹細胞の違いが微妙だ。
前者は活発な増殖能を持っているが、後者は奥の院に潜伏している。

「医療否定本に殺されないための48の真実」に書いた、がん幹細胞療法の説明は
間違っていないことをあらためて確信できた。

がん幹細胞療法の第一人者と直接お話ができただけでも
ハマに来た甲斐があった。

ランドマークタワーの中に、ロイヤルパークホテルがある。
その67階の部屋からの景色はいい。

中央に日本丸が見える。
35年前、彼女とデートをした場所だ。

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この記事へのコメント

難解で、理解できない事も多いですけど、興奮しますね。
今、がんの治療を受けていらっしゃる人も、将来がんになる私達も、将来に希望を持てると言う事は、気分的にいいですね。
亡くなられた方達も、喜んでいらっしゃると、思います。
ご家族も、慰めの一つになればと思います。
「数年内に実用化する」とのお言葉に、「頑張ろう」と思います。
長尾先生、日頃のお疲れがでませんように、なさって下さい。

Posted by 大谷佳子 at 2013年10月03日 09:33 | 返信

でも、興奮が冷めますと、「早く、実用化して欲しい!」と思います。
現在、がんの治療中の方は一刻も早く、実用化して欲しいと思われるでしょうね。
ところで、35年前にデートした彼女って、どの彼女?

Posted by 大谷佳子 at 2013年10月05日 09:06 | 返信

今日も、日本経済新聞が、「癌」づいています。
Sunday Nikkeiに、がん、原因は遺伝子の傷と題して、色々書いてありますが、挿絵の中で、「正常な細胞の遺伝子」に(紫外線、ストレス、ウイルス、食べ物など)で、遺伝子に傷がつくと書いてあるのが「フムフム、そうだなあ」と思いました。
水道の水の中の塩素やトリハロメタン、色々な食べ物の農薬や、保存剤や、色素や、乳化剤や、深く考えると食べられません。
一から、全部自分で料理したいと思いながら、掃除、洗濯色々な雑用に追われて、ついつい出来合いの食品を購入してしまう毎日です。

Posted by 大谷佳子 at 2013年10月07日 03:38 | 返信

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