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台湾の終末期医療を変えた女性

2013年10月11日(金)

台湾は尊厳死の法制化がなされた国であることは日本でほとんど知られれていない。
昨日は、それを成し遂げた台南市にある成功大学の趙可式教授を日本尊厳死協会に
お招きし、法制化前後のいきさつをお聞きして、その後、神楽坂で一緒に食事をした。

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趙教授はかわいい女性。
敬虔なカトリックの信者。

緩和ケアの勉強のため、アメリカに留学。
イギリスのセントクリストファーにシシリーソンダース先生にも従事し、1993年に帰国。

今回、ご縁あって、趙教授が、私の「平穏死10の条件」の台湾翻訳本に
前書きを書いて頂いたのだが、お会いするのは今回が初めて。

台湾版のタイトルは
「善終 ー最美的祝福ー」

善い終わり、なんて素敵な表現だろう。

台湾の書籍では、「死」という文字はタブー。
「末期」もダメとのことで、「終」でギリギリだそうだ。


さて、かつて台湾の医療現場では、全員、心臓マッサージ、人工呼吸が必須であった。
医師たちは、それらが意味がないことが分かっているので、形式的にやっていた。

やらざるを得なかった。
さいばbn
かつての日本と同じ。
もしかしたら現在の日本も同じかも。

趙教授は、まず56名の医師を克明に調査。
医師は全員、形式的な蘇生処置はやりたくないと答えた。

1994年には、7626人の医師にアンケートを取り
1338人から回答を得た。(回収率17.6%は、この種の調査としては高い)

しかしそれをしないと訴訟になる可能性があるためやっていることが分かった。
そこで趙教授は、まずは医師の後ろ立てになる法律が必要だと考えた。

当初は国会議員や医師の激しい反対にあった。
しかし議員を一人一人、6年間かけて法制化の必要性を説得した。

年間100回以上の講演を6年続けた。
17本の管が入って亡くなった人の写真が一番胸を打ったそうだ。

その結果、100%の賛成をもって尊厳死法が可決した。
3分の2どころではない、全会一致で可決したそうだ。

かくして延命治療の非開始も中止も、リビングウイルがあれば合法となった。
不治かつ末期のがんだけであるが。

台湾の事前指示書は大変よくできていてで日本においても極めて参考になる。。
自分のリビングウイルが表明できなくなった時のために代理人を定めておくのだ。

本人のリビングウイルが土台になるのだが、
代理執行人を上位3名まで順位をつけて指名できる仕組みになっている。

第一順位は友人、知人でも構わないそうだ。
遺産相続人ではないので争いにはならないだろう。

台湾の尊厳死の対象は、不治かつ末期のがん患者さんのみに限られている。
臓器不全症や認知症の終末期は法律の対象ではない。

趙教授のいる大学病院では、週に10人以上、管を抜いているという。
法律に基ずいた尊厳死が実行されているというから驚きだ。

成功大学では、施行前は、週に7人が形式的な蘇生処置を受けていたが
施行後は、年間7回以下に減ったという。

国民は、みな趙教授に感謝しているという。
終末期の人間の尊厳が確保されたから。

法律ができて一番に要望してきたのが、台湾のALS協会。
私たちALSも法律の仲間に入れてくれと意思伝達装置(レッツチャト)で言ってきた。

このあたりは、日本と正反対。

台湾の人口は2300万人。
13の医学部がある。

日本緩和医療学会に相当する
安寧医療医師の会員は、1200人。
安寧医療看護師の会員は、3200人。

趙教授は現在も病院で緩和ケアに従事。
年中無休で看護にあたっている。

10月10日に、趙教授に
平穏死10の条件と
抗がん剤10のやめどき、をプレゼントした。

10が4つ並んだことに気がついたのは、
午前零時を回ってから。

なんというご縁。
不思議な因縁。

機会があれば、成功大学を訪問したい。


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