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テストステロンと認知機能

2013年10月21日(月)

男性ホルモン(テストステロン)は、女性の認知機能をも改善させる。
男女ともテストステロンを下げないライフスタイルが考えられる。
10月19日の産経新聞・兵庫版より転載させていただく。
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男性医療シリーズ第三話  テストステロンと認知機能

             女性の認知症をも改善させる

 

少し前、「話を聞かない男、地図が読めない女」という本が話題になりました。いわゆる方向音痴は女性のほうに多いという話です。訪問看護師さんを見ていると2つに分かれます。初回訪問時に地図を渡すと患者さんのお宅にスムースに着く女性と、1時間経ってもたどりつけない女性がいます。実はこれは男性ホルモン(テストステロン)の値の違いで説明されています。動物実験の結果を見てもテストステロンが低いマウスは、空間認知能力や記憶力が低いことが明らかになっています。もの覚えが悪いマウスにテストステロンを投与すると学習能力が改善します。テストステロンは認知機能とも深く関係しています。


 両者の関係をもう少し詳しく見てみましょう。閉経後の女性にテストステロンを投与した研究があります。すると記憶力が向上しました。認知症の女性にテストステロンを投与しても認知症が改善。男性ホルモンが、女性の認知症を改善するという結果はちょっと驚きです。施設に入所している高齢者にテストステロンを投与すると男性は女性に対する興味が高まり、女性も男性を意識するようになります。テストステロンは異性に対する関心のみならず、筋肉や骨の老化も防ぎます。今流行りの、「ロコモテイブシンドローム、通称ロコモ」にもテストステロンが有効であることが分かってきました。寝たきりにならないためには、男女ともテストステロンが大きな鍵を握っています。


 老化は自然現象であり、避けられない、避けてはいけないものだとこれまで私も思っていました。年齢とともに枯れることは決して悪いことではないと。しかし一方、生きている限り何歳になっても若々しくありたいと願うのが人の気持ちです。アンチエイジング医学(抗加齢医学)と聞くとアレルギーを示す人でも、「若さを保つ方法」とか「健康長寿の秘訣」と聞くと興味を示します。そのためには若いうちからテストステロンを下げない生活を心がけることが大切なのです。


 具体的方法として、まず夜更かしをしないことです。よく寝る人はテストステロンが低下しません。ストレスを減らしてリラックスすることも大切。自力でテストステロンを造り出すためにはリラックス状態が必要です。ストレスがあると、脳の中にある視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRF)が出ます。CRFは精巣でのテストステロンの産生を低下させます。夜にメールを見ないことも、余計なCRFを放出しないための方策。さらに、メタボにならないことも大切です。内臓脂肪とテストステロンは大いに関係があります。内臓脂肪が増えるとテストステロンが減るという関係にあります。


また意外なことですが未婚の男性のほうが既婚よりテストステロンの値が高いことが分かっています。婚活のために社会性のホルモンであるテストステロンが必要だからでしょうか。しかしそのまま未婚状態が続くと、ある時点からテストステロンの値は既婚男性を下回ってくることも分かっています。結婚を諦めた時点からテストステロンが低下する。ですから、年齢に関係無くできるだけ結婚を諦めないことが大切なようです。

 

キーワード ロコモテイブシンドローム

日本整形外科学会が提唱する身体を動かすのに必要器官(腰や膝など)障害が起こり、自分移動する能力低下して要介護になる危険度が高い状態。日本語名は「運動器症候群」、略称を「ロコモ」という。

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