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がんを放っている人たち

2013年10月29日(火)

当院には、がんを放置しているひとが10人以上いる。
もとろん末期がんではなく、治療の適応があるがんだ。
患者さんの強い希望で経過観察をしている。
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がんは、時と場合によっては治療しない方がいい場合がある。
たとえば、高齢で寝たきりの場合、治療してもしなくても予後に関係ない。

またQOLの観点から治療していない人もいる。
そんなことは当たり前のことであり、どこの病院でも普通にあることだ。

思いつくまま、放っているがんについて書いてみよう。

1 80歳代の胃がん患者さん
  進行がんだが、1年前はほぼ確実に助かる程度だった。
  強い説得にも患者さんは、かたくなに治療を拒否。
  その原因は、年齢のみ。
  たとえ手術が成功して寿命が延びてもぜいぜい3~5年か、もっと短い。
  ならば体にメスを入れずに、余生を満喫される生き方を選択された。
  その決意は、当院のビデオの中でも語ってくれている。
  しかし最近、痛みが出てモルヒネを投与中。
  体重も減少し、不安でたまらない様子。
  がんは確実に進行しているようで、今なら手術しても助からないかもしれない。
  私の講演には、もう何度も来てくれている。

2 60歳代の肝臓がんの患者さん
  単発だし肝臓の残存機能もいいので強力に手術を勧めるも断固拒否。
  半年以上になるが、もう説得は諦めた。
  99%助かるがんを放っておくのは本当に辛い。
  2週間ごとにご夫婦で来られるのが不思議。
  非常に非常にもったいないが本人の意志があまりにも強い。

3 80歳代の胆管がんの患者さん
  同じような患者さんが2人いる。手術すれば助かる可能性が充分あるが、
  年齢と認知症の関係で、手術をしないことになった。

4 80歳のすい臓がんの患者さん
  おそらくすい臓の早期癌。1cm以内なので珍しい。
  これも手術すれば助かる可能性が高いが、認知症があるので入院もしない。
  家族の強い希望で、経過観察している。

5 甲状腺がん、前立腺がん
  これは病院からの指示で、何人か放っている。

このように、様々な理由で、完治可能ながんを放置している。
一番多い理由は、高齢と認知症。

いずれも患者さんとご家族の意志を尊重している。

エホバの証人に輸血した事件はニュースになった。
生きるか死ぬかという命題だったからだ。

しかし助かるがんを患者さんの希望で放っておけば
将来、家族により訴えられるかもしれない。

それでも本人の希望を優先させないといけない。
板挟みの中で、主治医ももがくことも少なくない。

現場は、理屈だけでは動かない。

今日も生味の相談がいくつかあった。



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