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遺伝子検査への警告
2014年01月18日(土)
遺伝子で、その人の生が全部予測できるわけではないからだ。
貧乏で生まれても大金持ちになれりように、遺伝子の暗号も努力で変えられると思うから。
それが、簡単に全部分かる時代になった。
科学技術の発達は予想を上回るスピード。
診療所で、簡単に遺伝子検査がでいる時代になった。
しかし倫理的課題が多すぎる。
どういうことか。
遺伝子変えられるかもしれないからだ?
なに?設計図を変えられる?
いや、設計図は簡単に変わらないだろうが、
職人さんが設計図のとうりに家を建てるとは限らないように、変更はあり得る。
それをエピジェネチックス、遺伝子の周辺、とりまきだ。
遺伝子は同じでも、とりまきは後天的な努力で変えられる可能性があると思う。
あと病気の遺伝子が分かっても、病気はそれだけで発症するような単純な
仕組みではなく、何重にも未知の複雑なコントロール機構があると思う。
そんな中、米国の警告は、妥当なものであると思う。
以下、m3より転載させていただく。
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Vol.2米警告「遺伝子検査やめろ」の教訓 「医療変異」
─2014年は遺伝子検査時代
第一部「強烈な追い風2013年12月20日
米国FDAによる遺伝子検査最大手23andMeへの検査中止の警告は青天の霹靂に見えた。
遺伝子検査の医療領域への侵食や検査の妥当性に、いったん検証を求めたものだ。
米国の警告をつぶさに見ていくと、教訓も見えてくる。
星良孝(m3.com編集部)
11月に青天の霹靂 |
11月22日、米国FDA(米医薬食品局)が公開で発した遺伝子検査の世界最大手の23andMeへの警告は遺伝子検査の世界にとっては青天の霹靂に見えた。
23andMeのCEO(最高経営責任者)のアン・ウォジツキ氏に対して「個人向けの遺伝子検査の事業を中止せよ」と求めたのだ。ウォジツキ氏は、インターネット検索大手、グーグルの創業者であるセルゲイ・ブリン氏の妻として知られる。2006年の創業から、ブリン氏らから資金提供も受けながら、7年間の間に全世界から50万人分の遺伝子検査を手がけた。
23andMeは、インターネットを介して、世界で大々的に消費者向けの遺伝子検査を受け付ける。日本でも23andMeによる遺伝子検査サービスの知名度は上がっていた。テレビやインターネット上で何度も報道されてきたからだ。いったい何が問題だったのか。
遺伝子検査そのものを否定した動きにも見えたが、そうではない。
FDAを無視した23andMe |
FDAが23andMeに公開で警告文を送った。 |
FDAは「23andMeの遺伝子検査サービスは、米国の連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C ACT)に違反する」と指摘した。23andMeの遺伝子検査は、254の疾患や体質を判定できる遺伝子検査サービスを提供。素因の有無、健康のリスク、薬剤応答性、疾患へのなりやすさといった情報を通知していた。いわば医療の領域に土足で踏み込む状況に鉄槌を下した形だ。
FDAは警告文の中で、23andMeの254疾患に関わる遺伝子検査の内容が、医療機器として承認を受けるものだと強調した。具体例を交えて弊害を詳しく説明している。
一つの例として出したのは、乳癌の検査だ。乳癌の遺伝子検査と言えば、米国の女優アンジェリーナ・ジョリーが2013年5月に、乳癌のリスクを高める遺伝子BRCAの遺伝子検査を受けて、BRCA1陽性のため予防的乳房切除術を受けたと告白。世界的な注目を集めた。
FDAは偽陽性と偽陰性の問題に言及した。「偽陽性だった場合、必要もないのに、予防的乳房切除術を考える人がでてきたり、予防的化学療法を受けたり、侵襲的な検査を受けたりする事例が起こりかねない。また、偽陰性であっても、実際にリスクが存在するにもかかわらず、安心してしまう人が出てくる」と説く。
さらに、抗凝固療法の遺伝子検査についても触れる。血栓や出血の有害事象が、誤った検査結果で導かれる危険を強調した。
23andMeが何もしていなかったわけではない。突き詰めるとFDAを無視したのが問題となった。
2012年7月と9月、23andMeは、FDAに対して、自社の遺伝子検査の一部について、医療機器としての承認を得ようと申請を提出。申請は通らなかった。FDAは追加情報を求めた。その後のやり取りを、「我々は14回以上も直接面談、100回単位で電子メールをやり取り」など、必要以上と思えるほど生々しく今回の警告文では説明している。
その上で、「散々議論した結果、御社の遺伝子検査から得られる不適切な情報は公衆の健康に懸念をもたらすと判断した」と断言。
23andMeはこうしたFDAの助言を受けながらも、承認申請の対象となる一部の検査のみならず、254疾患まで遺伝子検査の対象を大胆に拡大。その上に、テレビコマーシャルまで大々的に開始。完全にFDAの逆鱗に触れた。
米国の報道によれば、FDAは過去25年間、自宅でのHIV検査を認めてこなかった。患者が自殺しかねないと考えたからだ。23andMeの前のめりな疾患検査の拡大は、HIV検査への慎重さからうかがえる過去の経緯から見ても問題だった。
結果として、FDAは直ちに個人向けの遺伝子検査サービスを中止するよう勧告。必要な情報提出を求め、対応しない場合には罰則も求めると強い口調で迫った。
23andMeは12月5日に自社の遺伝子検査サービスのうち、疾患の判断にも関わり問題となっている健康関連サービスを停止した。祖先を調べる検査に加えて、遺伝子検査の解釈を伴わない生データ提供は継続し、声明では「健康関連サービスも将来は展開したい」と強調しており、FDA対23andMeの戦いはしばらく続くと見られている。
医療と非医療の境目 |
米国の動きを見ると、23andMeが行政指導を無視して検査拡大に突き進んだことが問題となったと分かる。23andMeをはじめ海外の遺伝子検査サービスは、疾患に関わる情報にも踏み込んでいた。23andMeならば、254もの疾患に対して、診断とも言えそうな情報を与えていたことになる。
日本でも医療と非医療との境界線をどう引くかは難しい問題となり得る。経済産業省が2013年に発表した「遺伝子検査ビジネスに関する調査」によると、国内でも遺伝性疾患や癌の早期診断といった医療に近い検査を実施する会社はあった。
どこからが医療と言えるだろうか。
「たぬきタイプ」「りんごタイプ」「パパイアタイプ」のような肥満タイプを検査したり、肌質を検査したりする体質の検査にとどまれば非医療と言えるかもしれない。これが高血圧や糖尿病の罹患しやすさ、骨粗鬆症やアルツハイマーの素因の有無になれば、医療と浅からず関係してくる。さらに、単一遺伝子による遺伝病の検査であれば、医療そのものだ。
米国の警告から考えれば、偽陽性による過剰診断や過剰治療の問題、偽陰性による疾病リスクを低く誤認する問題をはじめ、健康被害が生じる可能性がある以上、医療に関わる部分では医療機器と同様な承認を受ける必要性は生じてくると考えるのが妥当かもしれない。その上で問題となるのは、医療と非医療の境界線をいかに設定するかとなるだろう。
医療とともに広げる |
医療と非医療との境と見られる遺伝子検査は、医療機関と協働で広げるのは一つの回答となるだろう。
「これまで1年間で1500件ほどの検査だったが、2013年は3000件ほどに倍増した」
2005年から遺伝子検査事業を手掛ける大阪大学発のサインポストの社長で、大阪大学病院教授の山崎義光氏は振り返る。山崎氏は社会からの遺伝子検査への関心の高まりを実感している。
サインポストは国内の遺伝子検査事業では老舗と言っていい存在だ。今や全国100カ所以上の医療機関と提携し、医療機関で受け付ける遺伝子検査を受託している。山崎氏自身が医師であり、医療との距離の近さは特徴の一つになっている。
山崎氏は「一つのセカンドオピニオンであると考えている。通常、患者はセカンドオピニオンに3万円ほどの料金を払っている。セカンドオピニオン代わりに行うのが遺伝子検査。大血管予防、危険因子を早めに伝えるためのツールになる」と説明する。
山崎氏は遺伝子検査サービスに医療機関を介在させることで、「診療を補助するツール」としての位置付けにこだわろうとしている。
「遺伝子からわかる運動&栄養プログラム」。山崎氏らが現在進めるのは、生活改善と遺伝子検査を組み合わせたサービスだ。遺伝子検査だけでは、単にリスクを示すだけになる。結局、検査をしてもしなくても生活習慣への介入に差は出ない。そこで、20ページから成る冊子に、「脂肪燃焼低下」「細胞内の酸化ストレス」「高血圧」「血栓」「動脈硬化」「インスリン抵抗性」「歯周病」など、計12項目の遺伝子検査の結果を並べた上で、それぞれに遺伝子検査の結果と、「生活習慣に関するアドバイス」「栄養に関するアドバイス」を付けて返す。高血糖であれば、「高血糖になりやすい体質です」といった解説を付けて、有酸素運動を継続的に行う、無酸素運動を控える、大豆やキノコを多めに摂取するといったアドバイスが付いている。
山崎氏らは糖尿病や動脈硬化を専門としてきた。サインポストの遺伝子検査は、およそ6000人分のアジア人を対象としたデータベースの情報を基にしている。2002年から2005年までに大阪大学医学部が中心となって実施したものだ。さらに2007年以降も国立保健科学院や徳島大学と連携し、肥満や糖尿病関連の遺伝子による体質判定の結果を、生活改善に生かす効果を検証するために臨床試験を続けている。これまでのところ遺伝子検査を実施した方が体重、BMI、血糖値、腹囲の改善が大きくなると判明している。
米国の警告からの教訓は主に3つあるかもしれない。一つは、医療領域へ踏み込むからには医療機器並みの妥当性を担保する必要がある点。遺伝子検査の存在意義にも関わる問題として、遺伝子検査の結果の健康に及ぼす効果についての妥当性を継続的に検証すべきであること。最後は、社会への説明を継続し、遺伝子検査の意義を理解してもらうよう努めることである。(続く)
「医療変異」─2014年は遺伝子検査時代
第一部「強烈な追い風」
Vol.1◆「診療所で遺伝子検査」の衝撃
Vol.2◆米警告「遺伝子検査やめろ」の教訓
Vol.3◆診療一変させる遺伝子検査
第二部、第三部は2014年年初に掲載予定
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