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訴えるのはいつも遠くの長男
2014年01月21日(火)
親孝行のため、お金が欲しいため、家族は弁護士と相談して裁判を起したがる。
もし訴えられたらしばらく、ないし一生、医療から足を洗うことになる。
80歳代の男性が、1年前に胃が痛いと訴え、受診された。
胃カメラで検査しましょうと何度も説得したが、拒否された。
仕方がないので、酸分泌抑制剤で1年間様子を見ていたが、
その間、何度も胃カメラを勧めたが頑固に拒否された。
1年後、痛みが強くなり、やっと検査を受けたら早期胃がんが発見された。
よかった、と思って病院に紹介したら、遠くの長男が怒鳴りこんできた。
どうして1年前に無理やり検査をしてくれなかったのか?
どうして家族に連絡してくれなかったのか?
早期に発見できていたら、手術ではなく内視鏡手術で終わったかもしれないのに。
どうしてくれるんだ、と。
私は、
・何度も検査を勧めたが強く拒否されたこと
・家族とも相談するように本人に何度も言ったこと
・まだ早期胃がんの段階なので手術をすれば、まず助かるだろうこと
などを説明するも、遠くの長男は納得されない。
以前、家族に連絡して本人にこっぴどく怒られた過去がある。
「いくら家族といえども、病気は個人情報だろうが」と。
だから家族に相談するにも本人の承諾が必要なのだが、
遠くの長男は、そんなことはないはずだ、訴える、と息巻く。
本人と遠くの長男は普段は音信が無い。
だいたいそんな家族が文句を言ってくる。
「そんなに心配なら、本人に調子を聞いてあげるべきでは」とか
「そんなに心配なら、時々診察についてきたらよかったのに」
なんてつい言ってしまったから、もう収集がつかなくなった。
訴えてやる!
そう言えば、あのテレビ番組が、良くなかった。
あんな弁護士軍団が、遠くの長男の後ろに控えているのだろうか。
第一、まだ死んでもいないし、
胃がんの診断が少し遅れただけ。
それも本人がかたくなに検査を拒否したからなのに。
ただそれだけでも、わめき散らす家族に、近藤誠氏の本でも
渡そうかとも思ったが、話が余計ややこしくなるので止めた。
早期がんを発見しても、訴えられる時代。
忙しい診察の中、そのようなモンスター相手に時間が取られるばかり。
回避するには、毎回、遠くの長男や長女に報告しなくてはならないのか。
それでも、今度は遠くの親戚が怒鳴りこんでくることがある・・・・・
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以上は、半分、架空の話だが、知人の医者に実際あった話。
このような類のクレーム対応に
エネルギーの半分が費やされるのが、私のような管理者の日常だ。
がんを治療しては訴えられ、
がんの検査が遅れたら訴えられ、
何もしなかったら、また訴えられる。
訴えるのはすべて家族。
本人はいくら大満足でも、家族は訴えることができる。
だから自己決定なのだが、
自己決定を促すと、これまた自殺勧告だとか、
自己決定しない権利も尊重すべきだ、なんて
訳のわからない論理を振り回して、あげくに
「命は地球より重い」とか、
「どんな生命でも生きていること自体に価値がある」という
論理の飛躍に酔いしてれ、自己決定をよしとしない医師もいる。
家族の権限が本人の自己決定より大きくて、
「命は地球より重い」と声高に叫ぶ医師が良い医師であるという国は、
どう考えても、おかしな国だと思う。
そんな結果が、こんな医療になっているのだが。
マスコミも市民も気がつかないのも不思議だあ。
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