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診療所経営の分水嶺

2014年03月05日(水)

医者の世界は、今、診療報酬改定議論でとても騒がしい。
医療タイムスの連載にも、診療報酬の記事を書いてみた。
この春は、診療所経営者にとって大きな分水嶺になると思う。
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医療タイムス3月号「地域包括ケア改定」は、経営の分水嶺  長尾和宏

 

 診療報酬改定の概要を見て驚きました。病院から地域へ、在宅医療から地域包括ケアへというメッセージを強く感じました。病院には、7:1基準を厳格化して逆三角形をとりあえずビア樽型にしようという強い意図を感じます。診療所では、地域包括診療料(包括制)とその加算(出来高制)が掲げられました。算定要件があまりにも厳しいため算定する医療機関は僅かではないかと予想しますが、2年後の改訂の布石であると読みとれます。すなわち、24時間対応、在宅医療、複数医師といったものが今後の診療所経営のキーワードになるのでしょう。厚労省的には主治医機能の強化であり、日本医師会的にはかかりつけ医の推進です。2025年問題を乗り越えるには、地域包括ケアシステムの構築が急務であり、医療から介護へという流れは加速します。そんな中、在宅医療という考え方はもはや地域包括ケアシステムの一部にしか過ぎない、というメッセージも込められていると感じました。以上のような観点から、私は今春の改定を「地域包括ケア改訂」と勝手に命名させて頂きました。

 
 町医者は椅子に座って患者を丁寧に診ておればいいんだ、という従来の開業医像に大きな選択肢が与えられました。今回の改定で、診療所機能に看取りまで行う在宅医療を加えようとしています。あるいは、いくつかの病気をひとつの診療所で診てもらおうと誘導しています。やや付け焼き刃的な総合性が、専門性をどこまで担保できるのか?という課題は残るものの、高齢者を総合診療して下さいというメッセージを感じます。多くの医師が反対している英国の人頭制までイメージさせられるような強烈な通告であるようにも思います。俺は絶対に往診や看取りなんてしない、という開業医も沢山います。俺は内視鏡1本で食べて行くんだ、糖尿病専門でやっていくんだ、という開業医も沢山おられます。それはそれで腕が良ければ充分に繁盛する出来高払い制は今回も維持されていますから、大きな問題はないかと思います。

私は、以前このコラムで「開業医はいずれ、専門クリニックと在宅も含む総合クリニックに大別されるだろう」と書きました。予想どおり、そうなってきました。今回の改定は、今後の経営方針を見極める大きな道標になるでしょう。すなわち、今回の「地域包括ケア改訂」を受け入れる開業医と受け入れない開業医では、今後の歩みがずいぶん異なってきます。診療所経営者にとっては、今回の改定は大きな分水嶺となるでしょうから、充分な情報収集と決断が求められます。医業は時代とともに需要が変わります。その変化の波に乗るか乗らないか、まさに経営の分岐点だと思います。


 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の報酬がいきなり4分の1になりました。外来とそう変わりません。遠くから訪問しても割が合わないと撤退する在宅専門クリニックが出ています。そうしたサ高住は、今後、その近隣の開業医が受け皿になるのではと予想します。外来で診ても訪問で診てもそう変わらないなら、近くの診療所ほど有利になります。

サ高住も地域ですから、4分の1という劇薬の副産物として「公平性」という果実が得られるかもしれません。いずれにせよ、経営の柱はどこまでも「地域」であると思います。

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