このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

石巻の今

2014年03月06日(木)

3週間後に石巻市のお招きで地域包括ケアの講演をすることになっている。
4日前、浜松で石巻で在宅医療をやっている長純一先生にお会いしたばかり。
m3に長先生のインタビユー記事が出ていたので、予習をしておこうと思った。
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 
あの被災地で、一体、何を話せばいいのか・・・
ずっと頭の中でこれを考えている。

復興の遅れ、避難ストレス、高台移転、など課題は山積。
阪神大震災とひとケタ違う苦難の中にいる。

震災の翌月に行った石巻にまた行く。
スタッフ2人と行くが、たぶん、くだらない話しかできないだろう。

石巻は地域包括ケアで日本でもっとも進んだ地域になる可能性がある。
もっともすぐれた医者を排出する可能性がある。

おせっかいおばちゃん、コミュニテイとくれば、つどい場さくらちゃんを思い出す。
「ばあちゃん・・・」の共著者でもある丸尾多重子さんも一緒に行く。

長純一先生が元気に頑張っておられる姿が嬉しい。
3月27日が楽しみだ。
http://www.drnagao.com/lecture/lec_20140327_01.html

今日は、京都で講演後、東京で勉強会。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

東日本大震災から3年超高齢社会における医療の“最先端”

 

長純一・市立病院仮診療所所長が語る石巻の今

 

201435() 橋本佳子(m3.com編集長) 

 

 

 東日本大震災から、はや3年。岩手、宮城、福島の各県は、沿岸部を中心に甚大な被害を受けた。震災直後の混乱期は過ぎたものの、いまだ仮設住宅に住み、生活の先行きが見えない被災者は多く、震災前に戻ったとは言い難い。

 医療も同様だ。医療機関の施設設備だけでなく、人的被害も受け、震災前から充実していたとは決して言えない各地域の医療は厳しい状況が続く。

 そうした中、短期的支援にとどまらず、ゆかりのない土地に腰を据えて、医療、さらには地域の復興に尽力する医師たちがいる。なぜ彼らは被災地に拠点を移したのか――。震災後、岩手県陸前高田市、宮城県石巻市、福島県相馬市3地域で活躍する3人の医師に、被災地の医療の現状に加え、自身のキャリアという視点から取材した。

 初回にご登場いただくのは、石巻市立病院開成仮診療所所長の長純一氏。

 

 「今の予定では、これからようやく復興公営住宅が立ち始める。1年から3かけて仮設住宅から復興公営住宅に移り、仮設住宅は収斂していく。この3年、特にこの1年が一番大変な時期であり、最悪のシナリオを避けなければならない」。

 

 こう懸念を呈するのは、石巻市立病院開成仮診療所所長の長純一氏。東日本大震災から3年経ったこれからの時期が、真の復興に向けた重要な時期との指摘だ。

 

長純一氏は、復興支援と地域医療に従事する医師養成という両論で取り組む。

 

 宮城県石巻市。震災関連の死者・行方不明者は約4000人に上り、いまだ多くの住民が仮設住宅で暮らす。沿岸部にあった、地域の基幹病院である石巻市立病院は津波の被害に遭い、診療不能に陥った(『現地リポート、震災から3月の石巻の今』を参照)。今は最大の仮設住宅地である「開成地区」に、診療所を構える(『佐久総合を離れ、石巻に来たわけ』を参照)。被災した病院の建物が1年前まではまだ残っていたが、今は周辺部も含め、全て更地に(下記の写真を参照)。病院は20167月の再建を目指し、準備を進めている。

 

 長氏が言う「最悪のシナリオ」とは、「ケアの行き届かない高齢者住宅」が多数できることだ。仕事を見つけ、自立できる人は、既に仮設住宅を離れた。仮設住宅に残っているのは、経済的にも、身体的にも自立度が低い高齢者が大半。しかも、隣に住むのは見知らぬ人。震災は、自宅の土地建物だけでなく、地域のコミュニティも奪ってしまった。

 

 「都会の人であれば、隣同士が知らないマンションでも、そこに住むハードルは低い。しかし、石巻など地方の人、特に高齢者の場合はこうした経験がほとんどない。都会に行かず、その地で一生暮らすことを決めた人が、震災に伴い“強制移住”を余儀なくされた。そこで、“お互いに仲良くなりましょう”と言われても、容易ではない」。こう語る長氏は、医療をはじめとする社会保障だけで高齢者の生活を支えるのは無理であり、地域の人がお互いに支え合うコミュニティの再建にも挑む。

 

 長氏の前任地は、地域医療で全国的にも有名な佐久総合病院(長野県佐久市)。当初は被災地支援の形で石巻に入ったが、今は違う。「石巻は、最先端の取り組みを行っている地域だと思っている。これからの超高齢社会では、医療者がやりたい医療をやるのではなく、社会から何を求められているかを考え、それに対応できる医療者にならなければいない」。こう語る長氏は、医療、介護、福祉、さらには地域をも巻き込んだ、地域包括ケアシステムの構築を進めると同時に、石巻というフィールドを活用し、地域医療に率先して従事する医師の教育、研修にも取り組む。「医療者を石巻だけではなく、宮城県、東北に養成した医師を輩出できるようになればと思っている」(長氏)。

 

津波で甚大な被害を受けた石巻市沿岸部。震災直後はがれきが一面に広がっていたが、今は石巻市立病院も解体され、更地に(左:2014224日、中央:2013220日、左:201143日それぞれ撮影)。

 

 急性期医療はいまだ厳しく、在宅医療は充実

 

 石巻市立病院開成仮診療所は、医師4人体制。うちほぼ毎日、診療に当たっているのは、長氏と、20134月に赴任した、日本プライマリ・ケア連合学会認定の指導医の資格を持つ医師だ。1日当たりの外来患者数は約30人、在宅で診る患者は約40人で、仮設住宅以外の人も多い。

 

 石巻市では震災後、被災を免れた石巻赤十字病院に、救急医療をはじめ、急性期医療が集中した(『石巻日赤、急患数は高止まり状態続く』を参照)。「日赤には依然として、相当負担がかかり、満床に近い状態が続いていると聞いている。石巻市立病院の再建までは、そうした状況は変わらないのではないか」と長氏は見る。

 

 一方で、在宅医療の充実は進んだ。「私は20125月に石巻に来たが、それ以降で見ても、在宅医療のリソースはかなり増えた。石巻市全体では、訪問診療の件数は、震災前の2倍程度になったのではないか。24時間対応の訪問看護ステーションや、サービス付き高齢者向け住宅なども増えてきた」(長氏)。

 

 期待される“世話好きおばちゃん”

 

 長氏が力を入れているのは、自治会やボランティアなど「共助」と、行政も巻き込んだ「公助」の充実だ。医療には直接的には関係しない取り組みと一見映るが、「石巻では、医療が全くなくなったわけではない。医療、介護、福祉、生活支援などのベースにあるコミュニティが壊れたことを、どのように考えるかが重要。コミュニティが壊れている中で、医療は役に立たない。私はこの問題が大きいと考えたからこそ、石巻に来た」(長氏)。

 

 今、育成を進めている一つが、“下駄ばきヘルパー”。自転車やバイク、車ではなく、下駄をはいた距離を守備範囲とするヘルパーだ。主に想定しているのは、女性。「“世話好きおばちゃん”が本当はいるはず。今はコミュニティが失われてきているので、その機能がものすごく下がっている。他人の面倒を見ることができる人を募って、勉強会を開催して、組織化する取り組みをやっている。トレーニングされた“世話好きおばちゃん”が、復興公営住宅などに移った後に、近所の人たちのリーダー、核になってくれることを期待している」と長氏。無償ではなく、介護保険の訪問介護の正規料金よりは低いものの、一定の対価を支払える仕組みも検討している。何らかの活動できる人に、少しでも支える側に回ってもらいたいという発想だ。

 

 機能が低下した、自治会の再建も進める。「石巻には39の自治会があり、約7000戸の仮設住宅のうち、約4000戸が加盟しているとされる。地域包括ケアシステム構築に向けた議論に、各自治会の会長などに入ってもらい、地域包括ケアのスキームの中で、自治会を支援し、協働する。自治会の人は顔が利く。会長などが音頭を取って、声をかけ、元気な住民の方々に集まってもらえば、コミュニティ形成の核になり得る」(長氏)。そのほか、公民館活動や民生委員の支援なども視野に入れる。

 

 石巻市立病院、地域包括ケアシステムの拠点に

 

 石巻市立病院開成仮設診療所は、厚生労働省の事業として2011年度と2012度の2年間にわたり実施された「在宅医療連携拠点事業」の事業者に選定され、医療と介護の垣根を超えた多職種連携に取り組んできた。地域包括支援センターも、20138月に診療所に併設した。

 

 「公助」は、当然ながら、診療所単独および長氏だけでできるものではない。石巻市は、復興庁が企画する東日本大震災からの復興に向けた「新しい東北」先導モデル事業に、「被災者を最後のおひとりまで支える次世代型地域包括ケアの推進」というテーマで応募した。昨年夏以降、石巻市地域包括ケア推進協議会で議論を進めており、報告書をまとめ、この4月以降、本格的に取り組む。

 

 石巻市としての最大の課題は、石巻市立病院の再建。被災前、同病院は、一般病床206床の急性期医療を担う病院だった。しかし、20167月開院予定の新病院は、一般病床140床と療養病床40床のケアミックス型にし、急性期だけでなく、回復期、在宅医療、緩和ケアなどにも取り組む。地域の医療連携、地域包括ケアシステムの拠点として位置付ける方針だ。

 

 後期研修2人の受け入れ開始

 

 地域作り、支え合う社会作りという視点も踏まえた、地域包括ケアシステムの構築を進める石巻市は、「地域を診る」医師養成の絶好の場と言える。

 

 石巻市立病院開成仮診療所では、前述のように、医師が加わり、指導体制が整ったため、この4月から3年目の後期研修医を2人受け入れる。日本プライマリ・ケア連合学会の後期研修のプログラム認定を受けており、3年のうち、2間は診療所で研修し、残る1年は石巻赤十字病院、坂総合病院(宮城県塩釜市)、佐久総合病院のいずれかで研修する。そのほか、東北大学の医学生を受け入れたり、他の臨床研修病院の地域医療研修の一環も担う。

 

 「後期研修のプログラムは決めているが、流動的。ここは、『地域に必要とされることをやる』診療所。佐久と石巻では、コミュニティが異なり、抱える問題も違う。おのずから、その対応法も変わってくる。従来の医学教育、医師の養成では学べないことも多々ある。その意味で、ここ石巻は、超高齢社会のあるべき医療を学べる“最先端”地域。何が求められるかを考える能力、それに対応できる能力を学びたいという医師、地域で働くことが好きな医師に来てもらいたい。ここで学んだ医師が『勉強になった』と思えば、来年も、再来年も後期研修医が来てくれるだろう」。長氏はこう述べ、人材育成の好循環の構築を目指す。

2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ