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前立腺がん検診

2014年04月12日(土)

今朝の産経新聞兵庫版の連載は、前立腺がん検診について書かせて頂いた。
前立腺がんは増えている。
前立腺がん検診をもっとやる出来だと思う。

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産経新聞検診シリーズ第6回   期待が大きい前立腺がん検診

                50歳を過ぎたらPSA検査を!

 前立腺がんは日本人男性がかかるがんの中で最も患者数の多いがんです。そういえば当院でも外来、在宅を問わず、前立腺がんや前立腺がん疑いで経過観察中の方がたくさんおられます。患者数、死亡者数とも年々増えていて、2025年~2029年には年間の新規発生患者数は11万人を超え、男性がんの1位となり、一生涯で6~7人に1人が前立腺がんを発症すると予測されています。特に、50歳を超えると急増します。前立腺がんといえば高齢者のがんと思われがちですが、決してそうではなく、50歳代からの早期発見対策が必要なのです。


 前立腺がんの多くは無症状です。前立腺肥大症を合併していればその自覚症状がある場合もありますが、50歳以上を対象とした検診による早期発見が重要視されています。そのために、PSAという腫瘍マーカー検査があります。PSAは客観的で信頼性の高い前立腺がんの腫瘍マーカーです。米国では、50歳以上の男性の70~80%が最低年1回の血液検査を受けています。一方、日本におけるPSA検診の普及率は、欧米に比べてまだまだ低いのが現状です。


 日本ではPSA検診により死亡率がどれくらい低下するかという臨床研究が2002年から開始されています。北海道、群馬県、広島県、長崎県の50~79歳が対象です。現在、半数以上の人が10年間に最低1階のPSA検診を受け、高い受診率を達成されています。一般開業医もPSA検診の窓口として機能していますが、基準値を超えていれば必ず専門医療機関に紹介します。専門医の判断で、すぐに精密検査(前立腺生検)を行わず、定期的なPSA観察を行う場合もあります。その場合、PSA値が1年間の1.0ng/ml以上の速度で増加する場合は、やはり精密検査を考慮します。前立腺生検時の痛みは、麻酔の進歩でかなり緩和され、日帰りでも行われています。


 一方、2012年に米国予防医学作業部会(USPSTF)は、PSA検診は死亡率低下効果に対する科学的根拠がないとの理由でPSA検診の中止を勧告し、大きな反響を呼びました。しかしその後の検討でその検討は科学的妥当性が低いことが明らかになりました。米国内でも反対の声が上がり、オバマ大統領は「米国政府が管轄する保険であるメデケアは年1回のPSA検診に対する補助を継続する」という内容の「オバマ宣言」を発表しました。


 PSA検査のがん診断精度は他のがんと比較して高く、検診の普及により前立腺がんによる死亡数の大きな減少が期待されています。PSA検診には2つの大きなメリットがあります。つまり前立腺がんによる死亡リスクと転移リスクの両方を下げます。一方、過剰診断、過剰治療という問題点も指摘されています。過剰治療に対する対策として、PSA監視療法(アクテイブ・サーベイランス)が行われています。生検の結果、がんの性質がおとなしいと分かれば、PSAの定期的測定でまず経過観察をするのです。いずれにせよ、男性は50歳を超えれば機会があれば是非PSA検査を受けてください。

キーワード PSA

血液中のPSA測定は保険診療をはじめ、住民検診や人間ドックなどで広く使われている。基準値は0.04.0ng/mlであるが 5064歳は3.0まで、 6569歳は3.5まで、70歳以上は4.0までと年齢別で少し異なる。

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