９年前のこの日のことはハッキリ覚えている。
自分が尼崎市内科医会の会長に就任した日だったからだ。

１日中、心が落ち着かなかった。
さらに翌朝、約２４時間後に最後の生存者が救出される映像をリアルタイムで見た。

ＧＷに旧友とばったり会い、最期の生存者が彼の息子さんであることを知り驚いた。
いずれにせよ、この時期になると尼崎は、どこか異様な雰囲気に包まれる気がする。

一方、韓国船の事故の報道も連日気になる。
叶うならば、日本も救助活動に協力できれば新たな絆が生まれるかもしれない。

両者の事故には、共通点がある。
スピードを上げたままカーブしようとしたことが原因だ。

普通のスピードなら事故にはならない。
しかし何らかの事情があっていつもより早いスピードで曲がろうとしたのだ。

急がば回れ。

昔の人の言ったとうりだった。
日韓で、共通の教訓に対峙することになる。

急がば回れ、は医療においても同様だ。
急いで処置をするとロクなことが起きない。

医療事故は、たいていそんな時に起きる。
こうした事故は、予防可能だ。

しかし予防しても事故が起きてしまうのが、医療の本質でもある。
これを「医療の不確実性」と呼ぶ。

とにかく、急ぎたいときほど、慌てずにゆっくりやったほうが結果がいい場合が多い。
血圧や血糖値を下げるのも、ゆっくりやったほうが間違いない。

裏を返せば、「待てない」時代でもある。
朝日新聞アピタルには、「待つという緩和ケア」で毎日書いている。

ええ？
「待つ」ことが緩和ケアなの？

そう思うひとこそ読んでほしい。
ＧＷまでこのシリーズで書いている。

どうでもいいように見えるかもしれないが、本質だと思い書いている。
是非、これも読んでください。